2011-01-01から1年間の記事一覧
/// 佐藤朔『楕円形の肖像』(人文書院 1977年) 佐藤朔『モダニズム今昔』(小沢書店 1987年) 佐藤朔の評論・エッセイはこれまで読んだことがありませんでした。しばらくまとめて読んで見ようと思います。今回はその第一弾。 アットランダムに取り出した二…
これも生田耕作旧蔵書の一冊。一篇目の終わりに1984年10月15日の書き込みがあります。比較的晩年に読まれたもののようです。 「LA MALLE SANGLANTE(血まみれのトランク)」と「LAQUELLE?(どちらが?)」の二編とFrançois LIVIÈREによる「序文」が収められてい…
/// 剣持武彦『肩の文化、腰の文化―比較文学・比較文化論』(双文社出版 1991年) 剣持武彦『受容と変容・日本近代文学―ダンテからジッドまで』(おうふう 2000年) 比較文学といえば、東京大学教養学部を中心とした複数語学に通じたエリート集団をイメージ…
最近毎日のようにこのCDを聴いています。 GODARDについては、以前、ヴァイオリン協奏曲第2番を取り上げました(09年6月2日)が、この小さなピアノトリオも、同様に浪漫的な美しい情緒がたっぷりと味わえます。 op.32とop.72の二つのピアノトリオと、「ジョスラ…
夏の古本市も終わり、古本購入のペースも徐々に緩やかになってまいりました。 新刊書店にあまり行かないため、ネットで著者名でいろいろ検索していると、新しく出版された本を知ることがあります。今回もBOOK-OFFがネット書店として大々的に展開しているイー…
生田耕作旧蔵書の1冊。1965年7月25日の日付が鉛筆で書いてあるのは読了日でしょうか。またところどころ丁寧な字で単語訳の書き込みがあり、けっこう几帳面な性格だったことがわかります。 読み始めは少してこずりそうな予感がしましたが、字も大きくて、ペー…
/// 杉山平一『詩への接近―詩と詩人への芸術論的考察』(幻想社 1980年) 清水正一『犬は詩人を裏切らない』(手鞠文庫 1982年) 桑島玄二『花ごよみと詩人』(編集工房ノア 1986年) この三冊に共通しているのは、関西の詩人が書いた本で、いずれも1980年代…
前回報告漏れのもの。 先々週末、学生時代の仲間と知多半島へ海の合宿へ行った帰りに、古本好きの有志で名古屋の鶴舞から上前津にかけての古本屋を回りました。お盆休みでみな閉まっているかと思ったら、ほとんどのお店が開いておりました。名古屋の古本屋は…
/// 千田稔『うずまきは語る―迷宮への求心性』(福武書店 1991年) ジル・パース高橋巌訳『螺旋の神秘―人類の夢と怖れ』(平凡社 1983年) 先日この欄でも紹介した篠田知和基『ヨーロッパの形』で螺旋や渦巻について関心を抱いたので、上記2冊を読んでみま…
先週木曜日、下鴨の古本市の初日に行ってまいりました。早く着きすぎたので30分ほど、緋毛氈の涼み台で本を読みながら待機。しかし意気込みの割にはこれといった収穫はありませんでした。 古本仲間と出町柳まで出て、ゆっくり昼飯とお茶をしたため、午前中2…
生田耕作旧蔵の1冊。 ルナールの名前はよく耳にしますがまだ読んでいませんでした。『フランス幻想文学傑作選③』(白水社)に二篇収められていますが、これも置いてあるだけです。 冒頭の一篇を読み始めるや、冒険小説のような波乱に富んだその語り口のうま…
学生時代にW・カイザーの『グロテスクなもの』を読んでグロテスク文様なるものがあることを知り、その後ウフィッツィ美術館かフィレンツェ市庁舎かの廊下の天井に、びっしりと描かれたグロテスク文様を見て感激したことをよく覚えています。以来グロテスク文…
このところ大阪へ出ることもあまりなく、たまに出かけたらいつものT書店が3300円均一でさすがに手が出ず、もっぱらネットとオークションで渉猟することとなりました。 ところが世の中には虎視眈々とうかがっている人が多いのか欲しい本はすぐに値が吊り上が…
ヴァールブルク・コレクションの一冊。堅牢で重たい印象があり長らく寝かしておいた本。 バルトルシャイティスの『幻想の中世』の東方からのイメージの伝播への関心と共通の部分が見られるので読んでみました。印象を言えばバルトルシャイティスのほうが奇形…
/// 林哲夫『喫茶店の時代―あのとき こんな店があった』(編集工房ノア 2002年) 林哲夫『古本屋を怒らせる方法』(白水社 2007年) 林哲夫は関西を拠点に古本に関する著作を執筆している数少ない一人(他には高橋輝次、山本善行ぐらいか)。他に古本に関す…
/// フィオナ・マクラオド松村みね子訳『かなしき女王―ケルト幻想作品集』(沖積舎 1989年) 片山廣子『新編 燈火節』(月曜社 2007年) 松村みね子の名前は大昔『愛蘭土戯曲集』でダンセイニを訳している人というので知っていましたが、何年か前、新聞の書…
1945年が初版で、この本は第2版。六篇の短編が収められており、うち四つが戦前の作品、二つは第2版で付け加えられたもののようです。 「FANTÔME(幽霊)」という言葉があったので幽霊が出てくるのかと思ったら、少しはそれらしいのが出ますが、ほとんどは幽…
先日、会社OB麻雀会で大阪へ出た折、大江橋T書店にて下記2冊を購入。 1100円均一と少し高めだったので買える本があるか心配でしたが、長年探していた本が見つかりました。 /// アンリ・フォション辻佐保子訳『ロマネスク彫刻―形体の歴史を求めて』(中央…
最近新刊書店で偶然目にしたもの。古本屋ばかりに出入りしていると新刊情報に疎くなります。 ポルトガルの教会や宮殿で口から葉っぱを出している彫像をあちこち見たのでグロテスク文様の一種かと思っていましたが、グリーンマンというひとつのジャンルを形成…
この本も随分長い間寝かしていた本。 前に同著者の『異形のロマネスク』を読んだときも凄いと思いましたが、今回も強烈なインパクトを受けました。 なにが凄いと言って、建物や彫刻の装飾や、写本欄外装飾、絵画、版画、古代彫石、印章、織物など、様々な装…
先日のポルトガル旅行で、コインブラでファドのコンサートを聴いた時に購入したCDにはまっています。 コインブラの町に着いて歩いていると、黒いマントの女性がコンサートの呼び込みをしていました。事前の旅行ガイドブックでコインブラのファドのことを知…
先日このブログでもご紹介した『フランス幻想文学の総合研究』で面白かったので、珍しく新刊で購入。篠田知和基は幻想文学研究の後、民話伝説研究の方に向かって行ったところまでは知っていましたが、さらに、こうした文化史文明史の分野にまで触手を伸ばし…
昨年、ホームページと東京古書会館洋書市出品の双方でG堂の生田耕作旧蔵書を何冊か購入しましたが、見落としていたのか、こちらの興味が変わったのか、それとも新たに追加があったのか、見た覚えのない本をG堂のホームページでまた見つけたので、慌てて購…
昨年大阪古書会館の古本市で購入したもの。著者についてはまったく知りませんでしたが、思い切って購入してよかったと思います。 バロック期から現代までのドイツ詩の厖大な財宝のなかから、泉に触れた詩を取り上げ、独自の鑑賞眼をもって、自由闊達な解説を…
ベルギーのマラブ社幻想小説シリーズの1冊。これも学生時代購入の本。ずっと大事に読まずにおいていました。いま読んでみると、文章は難しい単語も少なく、比較的やさしい。 ネットで調べてみると、「幻想文学3号 特集:幻想純文学」に「ダム町の道化」(今回読…
ポルトガル旅行の帰りの飛行機のなかで読了。長旅にはうってつけのぶ厚さと面白さです。 大昔古本屋で200円で買っていたものですが、734ページもあり、コストパフォーマンスは最大級。 物語は、フランス革命の真っ只中という不安定な時代が舞台で、主人公モ…
先週金曜日、大阪古書会館で行なわれた標記古書市へ行ってまいりました。 昼過ぎに到着したら、会場は朝から滞留しているとおぼしきお客さんでけっこう一杯の状態。 第一書房の『ポオ全集』全五巻が比較的安値1万5千円で出ていましたが結局買わず、いつも…
『フランス幻想文学の総合研究』で書かれていた文章が気に入ったので、積読になっていた本を取り出して読んでみました。この本でも文章はたいへん読みやすく、気取りもおごりもなくて好感が持てました。 この本は、花にまつわる詩をとおしてヨーロッパの文学…
先週は、弁天町の古本祭り初日、久しぶりに古本を堪能してきました。 弁天町古本祭りが不作のような予感がして、先に480円均一初日の堺筋本町T書店へ寄りましたが、正解でした。とくにこの2冊。 /// 西條八十『詩作の傍らより』(新潮社、大正14年1月、480…
5月の末から6月上旬にかけてポルトガルへ行ってきました。 その時に見た不思議な彫り物や図柄をご紹介します。 まずは建物の壁に飾られた彫り物から。 これはシントラのペーナの宮殿の本殿入口の上にあった彫り物です。入場する人を威嚇するかのような奇怪な…