2009-01-01から1年間の記事一覧

:Patrick Modiano(パトリック・モディアノ)『Les boulevards de ceinture(環状大通り)』

パトリック・モディアノ『環状大通り』 神保町T書店店頭100円均一購入本。今まで読んだModianoのなかではいちばん起伏がなくまた理解に苦しむところが多かった。 父と子の物語。ふがいない父とそれを見守る子、最後に子が父を守り復讐する。Mon pèreという…

:名古屋本2冊、岩中祥史『名古屋学』、清水義範『笑説大名古屋語辞典

古本報告がないので、最近読んだ名古屋に関する本について。 この2冊を読んでの感想は、名古屋は関東よりは関西に近い!というものです。(実際に距離も近いが) 『名古屋学』のなかで名古屋の特徴として挙げられているものは関西の特徴でもあります。 タク…

:石井洋二郎『異郷の誘惑』、菊地章太『フランス東洋学ことはじめ』

このところ、古本屋へも行かず、オークションもはかばかしくないので、時間稼ぎに最近の読書から話題を。 フランスの東洋へのまなざしを扱った二著を続けて読みました。石井洋二郎はフランス文学者の作品と行動を通して、菊地章太はフランス東洋学の発展の歴…

:JEAN LORRAIN(ジャン・ロラン)『Monsieur de Bougrelon(ブーグロン氏)』

ジャン・ロラン『ブーグロン氏』 神保町のT書店の2階で昨年購入しました。個人できれいに製本し直した立派な本です。ジャン・ロランの比較的初期の3つの作品が収められていて、それぞれの初出本は別ですが、初出が出て間もない時期に、3作品をまとめて出版し…

:PATRICK MODIANO(パトリック・モディアノ)「Dans le café de la jeunesse perdue(あの若き日のカフェで)」

パトリック・モディアノ『あの若き日のカフェで』 栄の丸善で購入。モディアノの最新作だと思います(と言っても2007年刊)。人気作家のまだ訳されていない新しい本を読むのは原書で読む楽しみの一つです。タイトルがいかにもモディアノらしい。表紙の写真が…

:大手拓次『詩日記と手紙』、『大手拓次詩集』2種

オークションで『詩日記と手紙』を落札したのをきっかけに、手元にあった大手拓次詩集の岩波文庫版と創元選書版も読んでみました。 『詩日記と手紙』は戦時中の本で紙質の少し悪いのがなんとも言えず味わいがあります。日記には、「青銅の丘」「『悪の華』の…

:仏教関係2冊、玄侑宗久『禅語遊心』、宮元啓一『日本奇僧伝』

玄侑宗久さんは「中央公論」連載の歯切れの良い文章が気に入っていますが、この『禅語遊心』も分かり易くかっこよくまとめられています。 昔から、ことわざとかアフォリズムに何となく気を惹かれてきました。短い言葉で一瞬の悟りを開いたような気になれる。…

:植村達男『神戸の本棚』

これは少し前に読んだ本の紹介。 ほんとに懐かしくなる本というのがあるものです。 テーマなどという以前に、個人の生と切っても切れない強いつながりを持つ本。これほど強い本はありません。東京本や地域誌などが根強い人気を保っているのは、そうした理由…

:バルトルシャイティス馬杉宗夫訳『異形のロマネスク』、馬杉宗夫『黒い聖母と悪魔の謎』

バルトルシャイティスの新刊とこの本を訳している馬杉宗夫の本2冊もあわせて読みました。 『異形のロマネスク』はとにかく凄い本です。 あまりの凄さに読み始めはわくわくしてどうなるかと思ったくらいでした。多少中だるみがあったのですが、その理由は翻訳…

:Marcel Brion(マルセル・ブリヨン)“De l’autre côté de la forêt(森の向こう側へ)”

マルセル・ブリヨン『森の向こう側へ』 2ヶ月近くかかってようやく1冊読み終えました。高い山に登った気分です。 まったく見たことのない単語はあまりない文章なのに、長文でどうも意味がつかみづらい。夢と現実の境を行ったり来たりするのみで、具体的な話…

最近はまっている曲:ゴダール「ヴァイオリン協奏曲第2番」

CDウォークマンと密閉型のヘッドフォンを最近新しく購入して、寝る前に少しずつ音楽を聴いています。別に出勤時にデジタルウォークマンでも聴いていますが、さすがにCDの音の方が優れています。音が鮮明、表情豊かで、一音一音に厚みがあると言えばよい…

:H.H.EWERS(エーヴェルス)『dans l’épouvante(恐怖小説集)』

H・H・エーヴェルス『恐怖小説集』 なぜドイツ語の仏訳本をわざわざ読むのかと尋ねられれば、たまたま古本市で見つけた本が手元にあったからとお答えするほかはありません。 他国語を翻訳した文章は読みやすいという定石どおり、最近読んだフランス語本の…

:M・エリアーデ『ダヤン・ゆりの花蔭に』

この本は新刊で買いそびれて以来、ずっと古本で探していたものの長年見つからなかったが、全集が出てから、なぜかよく見かけるようになった。 最近と言っても一月以上も前に読んだ本。最近はとある事情で徒歩通勤となったため、通勤電車で本を読むというサラ…

:Charles Barbara(シャルル・バルバラ)『L’Assassinat du Pont-Rouge(赤い橋の殺人)』

シャルル・バルバラ『赤い橋の殺人』 1855年に刊行され当時ベストセラーになりガボリオなど後続の探偵小説に影響を与えたとされる本です。 正直私のフランス語力ではなかなかしんどいものでした。抽象的な議論が展開される場面になると、途端に判読が難しく…