2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

東雅夫編『架空の町』

東雅夫編『架空の町』(国書刊行会 1997年) 国書刊行会の「書物の王国」という幻想小説アンソロジー・シリーズの第1巻目。アジアの架空の村の原点ともいえる陶淵明の桃源郷の小話を皮切りに、前半では、マンデヴィルの『東方旅行記』や千夜一夜物語など、遠…

『幻影都市のトポロジー』と『もうひとつの街』

A・ロブ=グリエ江中直紀訳『幻影都市のトポロジー』(新潮社 1979年) ミハル・アイヴァス阿部賢一訳『もうひとつの街』(河出書房新社 2013年) この二冊に共通するのは、夢のなかの出来事のように、支離滅裂、意味不明、何でもありの、書きたい放題、とも…

BRUNO GAY-LUSSAC『Dialogue avec une ombre』(ブリュノ・ゲー=リュサック『影との対話』)

BRUNO GAY-LUSSAC『Dialogue avec une ombre』(GALLIMARD 1972年) ゲー=リュサックの本はこれで二冊目です。前に読んだ『L’AUTRE VISITE(他者の訪れ)』(2015年10月15日記事参照)と同様、難しい単語も少なく平明なフランス語で、現在形で淡々と語られ…

『方形の円』と『迷宮都市』

ギョルゲ・ササルマン住谷春也訳『方形の円―偽説・都市生成論』(東京創元社 2019年) デヴィッド・ブルックス実川元子訳『迷宮都市』(福武書店 1992年) タイトルに「都市」と名がついて、架空の、幻影の、迷宮の、異次元のといった形容詞のついた、幻想小…

また二つの古本市へ

前回古本報告のあと、またふたつの古本市へ行きました。やや過熱気味。 ひとつは阪神百貨店の秋の阪神古書フェア。昔の職場の関係で芦屋に用事があり、帰りしなに1時間ほど立ち寄ることができました。 矢野書房で、 荒俣宏/松岡正剛『月と幻想科学』(工作舎…

JEAN-PIERRE BOURS『celui qui pourrissait』(ジャン・ピエール・ブール『腐っていった男』)

JEAN-PIERRE BOURS『celui qui pourrissait』(marabout 1977年) 5年ほど前、パリの幻想小説・SF専門古書店「L’amour du NOIR」で大量買いした中の一冊。あまり聞いたことのない作家ですが、1977年のジャン・レイ賞を受賞した人で、本業は弁護士のようです…