ドン・ジョヴァンニとゲルンスハイムのヴァイオリン協奏曲

しばらくぶりで音楽の話題。今年の後半は、モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」とゲルンスハイムのヴァイオリン協奏曲にはまっておりました。ドン・ジョヴァンニは8月末に予定していたドイツ旅行で、ベルリンでドイッチュ・オーパーの公演を見ること…

イロジスムの詩集二冊

髙木敏次『私の男』(思潮社 2015年) 『貞久秀紀詩集』(思潮社 2015年) 定年後に、学生時分によく読んでいた日本の現代詩をまた読み始めましたが、なかなか昔のようには心に突き刺さるような詩が見当たりません。私の知らないだけで、なかには気に入る詩…

百万遍秋の古本まつりほか

先週、京都知恩寺で行われた秋の古本市初日に行ってまいりました。いつものように出町柳から百万遍の途中にある臨川書店の大安売り路上即売会に立ち寄り、下記を購入。 中込純次『文学に現れたパリ』(三笠書房、78年2月、100円) Anna de Noailles『L’Offra…

小林康夫ほか『「光」の解読』

小林康夫ほか『「光」の解読』(岩波書店 2000年) 引き続いて光についての本です。「宗教への問い」というシリーズの中の一冊。小林康夫「祈りのコロナ」、小池寿子「闇から光への上昇」、大貫隆「ロゴスの受肉とソフィアの過失」は分かりやすく、感心する…

暗さについての本二冊

乾正雄『夜は暗くてはいけないか―暗さの文化論』(朝日選書 2004年) 谷崎潤一郎『攝陽隨筆』(中央公論社 1935年)のなかの「陰翳禮讃」のみ 光の哲学について読んだ後は、現実の空間における暗さについての本です。乾正雄の『夜は暗くてはいけないか』で、…

光に関する哲学書二冊

山崎正一『幻想と悟り―主体性の哲学の破壊と再建』(朝日出版社 1977年) H・ブルーメンベルク生松敬三/熊田陽一郎訳『光の形而上学―真理のメタファーとしての光』(朝日出版社 1977年) どちらも「エピステーメー叢書」なので本の装丁は同じ(たぶん杉浦康…

四天王寺秋の大古本祭りと天神さんの古本まつりほか

少し間を置きましたが二つの古本市の報告。最近古本市に行っても、大きな本は買うのをためらわれることが多くなりました。これはわれわれ年寄り古本仲間の共通の傾向です。四天王寺の古本市は、用事があって三日目の日曜日に馳せ参じました。三日目ともなる…

随想風哲学書二冊

庭田茂吉『ミニマ・フィロソフィア』(萌書房 2002年) 山内得立『ホモ・ヴィアトール―旅する人』(能仁書房 1958年) 哲学書らしきもののなかから、あまり哲学用語が出てこない随想風の本を選んでみました。『ミニマ・フィロソフィア』は、タイトルにフィロ…

MONIQUE WATTEAU『LA COLÈRE VÉGÉTALE』(モニク・ワトー『植物の怒り』)

MONIQUE WATTEAU『LA COLÈRE VÉGÉTALE―La révolte des Dieux Verts(緑の神の反乱)』(marabout 1973年) marabout叢書の一冊。マルセル・シュネデール『フランス幻想文学史』や「小説幻妖 ベルギー幻想派特集」の森茂太郎評論でも、取り上げられていた女流…

ベルリンの古本屋ほか

前回古本報告からずいぶん間が開いてしまいました。この間ドイツへ旅行しましたが、昨年パリでの作戦に味を占めて、ベルリンで家内らをアルカーデンという大型ショッピングセンターに残して、地下鉄を乗り継いで古本屋に一軒行ってきました。事前にネットで…

原章二『人は草である』

原章二『人は草である―「類似」と「ずれ」をめぐる考察』(彩流社 2013年) ローデンバックの『死都ブリュージュ』についての章があったので購入した本。著者はジャンケレヴィッチに学んだ哲学者です。全編、オリジナルとコピー、類似と差異に関連した文章が…

辻昌子『「ジャーナリスト作家」ジャン・ロラン論』

辻昌子『「ジャーナリスト作家」ジャン・ロラン論―世紀末的審美観の限界と「噂話の詩学」』(大阪公立大学共同出版会 2013年) 何年か前にジョルジュ・ノルマンディ、先日はオクターヴ・ユザンヌと、本国のジャン・ロランに関する本を読んだ流れで、手元にあ…

OCTAVE UZANNE『JEAN LORRAIN』(オクターヴ・ユザンヌ『ジャン・ロラン』)

OCTAVE UZANNE『JEAN LORRAIN―L’ARTISTE-L’AMI SOUVENIRS INTIMES LETTRES INÉDITES(ジャン・ロラン―芸術家でありまた友人 その思い出と手紙)』(Édouard 1913年、Facsimile Publisher 2016年) 1913年の初版のリプリント版。字がぼやけて読みにくい。フラ…

A・デュマ『王妃マルゴ』

A・デュマ榊原晃三訳『王妃マルゴ 上・下』(河出文庫 1994年) 奈良日仏協会のシネ・クラブで、シェロー監督『王妃マルゴ』を鑑賞するというので、ドイツ旅行の行き帰りの機中で原作を読んでみました。これまでデュマ作品は、フランス語で『Mille et un fan…

マイヤー=フェルスター『アルト=ハイデルベルク』

マイヤー=フェルスター丸山匠訳『アルト=ハイデルベルク』(岩波文庫 1980年) 実は1週間ほどドイツへ旅行に行っておりました。ハイデルベルクも行程に入れたので、出発前にこの本を読んでみました。学生のころ文庫本でよく見かけましたが、あれは角川文庫…

JEAN LORRAIN『LA MANDRAGORE』(ジャン・ロラン『マンドラゴラ』)

JEAN LORRAIN『LA MANDRAGORE』(LE CHAT ROUGE 2018年) フランス書を読むときは、原文を5分の1程度に要約しメモしながら読むようにしていますが、途中でパソコンが壊れたので、そのメモが全部消えてしまい、またやり直さないといけなくなりました。ただ、…

ボルノウ『気分の本質』

O・F・ボルノウ藤縄千艸訳『気分の本質』(筑摩叢書 1973年) このところパソコンが壊れて暗い気分になっておりますが、それでこの本を取り上げたわけではなく、この本を読んだのはまだ壊れる前のことで、感覚やリズム、身体など哲学の周縁的な問題への一連…

下鴨神社の納涼古本まつりほか

4日ほど前パソコンが急に開けなくなり、古本購入メモをせっかく作っていたのに、取り出せなくなってしまいました。急遽新しいパソコンを買って、古本仲間から、すでに送っていた古本報告のメールを送り返してもらい、なんとか今回の記事に間に合わせることが…

Jean Lorrain『VILLA MAURESQUE』(ジャン・ロラン『ムーア風別荘』)

Jean Lorrain『VILLA MAURESQUE』(LIVRE MODERNE 1942年) 向うの古本屋でよく見かけた「LE LIVRE MODERNE ILLUSTRÉ」というシリーズの一冊。MICHEL CIRYという人の挿絵がついていました。 ジョルジュ・ノルマンディの序文によると、ジャン・ロランの2作目…

古東哲明『瞬間を生きる哲学』

古東哲明『瞬間を生きる哲学―〈今ここ〉に佇む技法』(筑摩選書 2011年) 知らない人でしたが、同世代で、テーマも面白そうだし、文章が分かりやすかったので購入。文章のやさしさはどこかで読んだことがあるなと思っていたら、内容、書き方ともに森本哲郎に…

リズムに関する本二冊

ルートヴィヒ・クラーゲス杉浦実訳『リズムの本質』(みすず書房 1977年) 山崎正和『リズムの哲学ノート』(中央公論新社 2018年) 以前から気になっていたリズムの本を読んでみました。クラーゲスの本は、学生時代に話題になった本で、当時友人がクラーゲ…

プレイヤード版のボードレールとヴェルレーヌを買う

今月は、フランス書は下記の三冊。ユベール・アダは先月フランスの古本屋に発注していたもの。ボードレールとヴェルレーヌのプレイヤード版は、昔から手元にと思いつつ高くて買えなかったのが、オークションで少し安く出ていたので買ったもの。読むはずはな…

『ギュスターヴ・モロー展』カタログ

喜多崎親ほか『ギュスターヴ・モロー展―サロメと宿命の女たち』カタログ(パナソニック汐留美術館、あべのハルカス美術館ほか 2019年) 奈良日仏協会で美術クラブ鑑賞会があったので、その準備としてカタログを読みました。昨年の『プーシキン美術館展』のと…

JEAN RICHEPIN『LE COIN DES FOUS』(ジャン・リシュパン『狂気の縁』)

JEAN RICHEPIN『LE COIN DES FOUS―HISTOIRES HORRIBLES』(Le Chat Rouge 2011年) タイトルは、「au coin de feu(炉辺で)」をもじっています。前回読んだ『Les morts bizarres(風変わりな死)』よりはよくできていて、まだリシュパンは3冊しか読んでませ…

河本英夫『哲学の練習問題』

河本英夫『哲学の練習問題』(講談社学術文庫 2018年) 日に日に頭もぼけてきたので、考える訓練でもしようかと手に取りました。昔から、大きな視野でものを言う大言壮語的な理論が好きでしたが、この本には大胆な着想、ドラスティックな思考が溢れていて、…

原田武『共感覚の世界観』

原田武『共感覚の世界観―交流する感覚の冒険』(新曜社 2010年) 4年ほど前に、当時四天王寺にあった一色文庫の100円均一で買った本。目次を見て面白そうだと思ったとおり、興味を刺激する内容でした。何より冒頭から引用される文学作品の文章が、どれも心に…

アンスティチュフランセ関西のbouquinerie solidaire(古本出店)

フランス語の先生から、京都のアンスティチュフランセ関西で、29日にマルシェがあり、その中で古本も売られるという情報を聞き、雨天中止に冷や冷やしながら、行ってみました。たしかに建物の入り口の一角に古本コーナーがありましたが、残念ながら量が少な…

井本英一『夢の神話学』

井本英一『夢の神話学』(法政大学出版局 1997年) これで井本英一を最後にしたいと思います。この本も読んでいて目がちらちら頭がくらくらしてきました。年のせいかとも思いますが、やはり、説明不足のまま話題が急に変わったり、例話が次から次へとめまぐ…

Jean Richepin『Les morts bizarres』(ジャン・リシュパン『風変わりな死』)

Jean Richepin『Les morts bizarres』(Arbre vengeur 2009年) リシュパンはこれまで『CONTES DE LA DÉCADENCE ROMAINE(羅馬頽唐譚)』(2017年9月29日記事参照)を読んだだけです。『Les morts bizarres』は、バロニアンがリシュパンの中でも高く評価して…

井本英一『習俗の始原をたずねて』

井本英一『習俗の始原をたずねて』(法政大学出版局 1992年) 井本英一の本は相変わらず重複の多い話ばかりですが、慣れてきたのか、読み物として面白い章節もありました。例えば、「あべこべの世界」などは、澁澤龍彦や種村季弘が書いてもおかしくないよう…