井本英一『輪廻の話』

井本英一『輪廻の話―オリエント民俗誌』(法政大学出版局 1991年) 井本英一の本は、『古代の日本とイラン』、『飛鳥とペルシア』に次いで読みました。この二冊は2014年12月30日の記事で取りあげていますが、その時書いているのと同じ感想を持ちました。次か…

J・キャンベル『宇宙意識』

J・キャンベル鈴木晶/入江良平訳『宇宙意識―神話的アプローチ』(人文書院 1991年) 古代の宇宙観に関連した本を引き続き読んでみました。キャンベルの本は、20年ほど前に、『神話の力』と『生きるよすがとしての神話』の二冊を読んだ記憶があります。当時の…

吉村貞司の本二冊

吉村貞司『原初の太陽神と固有暦』(六興出版 1984年) 吉村貞司『日本神話の原像』(泰流社 1980年) 古代の宇宙論への関心の延長で『原初の太陽神と固有暦』を手に取り、ついで『日本神話の原像』を読みました。吉村貞司は初めてですが、語り口の異様さに…

四天王寺春の大古本祭りと京都春の古書大即売会ほか

春恒例の二つの古本市を覗いてきました。四天王寺春の大古本祭りは三日目の日曜日に友人らと集まりましたが、途中で家内から指を切ったと連絡があり、途中で引きあげたので不完全燃焼。神戸アーカムハウス出品の デューマ竹林章譯『ラインの古城』(三崎書房…

G.-O.CHÂTEAUREYNAUD『Le goût de l’ombre』(G・O・シャトレイノー『闇への愛着』)

G.-O.CHÂTEAUREYNAUD『Le goût de l’ombre』(Grasset 2016年) 7作品を収めた短篇集。シャトレイノーを読むのは5冊目です。「La Belle Charbonnière(美しき炭焼き女)」や『Les Messagers(使者)』のような神話的な雰囲気は後退して、どちらかというとト…

荒川紘『古代日本人の宇宙観』

荒川紘『古代日本人の宇宙観』(海鳴社 1981年) 引き続き荒川紘を読みました。この本のほうが古いようです。この分野の本はあまり読んだことがなかったので、初めて知ったことも多く、推理小説のようなわくわく感を感じるところもたくさんありました。古代…

神田の田村書店、天牛書店江坂店ほか

4月初旬に、昔お世話になった先生の文化勲章受章を祝う会があり、東京へ日帰りで行ってきましたが、ついでに神保町を少し回遊いたしました。古書モールと大島書店がなくなっていたのが寂しい。結局買ったのは、田村書店の2階だけ。 JEAN RICHEPIN『LES CARES…

荒川紘『東と西の宇宙観 東洋篇』

荒川紘『東と西の宇宙観 東洋篇』(紀伊國屋書店 2005年) 宇宙論の続き。この本は、インド、中国の宇宙論を古代から近代にいたるまで解説していますが、宗教思想史のようなところがあり、国の興亡や社会の変遷とともに記述していて、久しぶりに東洋史を勉強…

『古代の宇宙論』

C.ブラッカー、M.ローウェ編矢島祐利/矢島文夫訳『古代の宇宙論』(海鳴社 1978年) 『天地創造神話』からのつながりで、古代の宇宙論に関する本を読みました。古代エジプトからバビロニア、ユダヤ、中国、インド、イスラム、スカンジナヴィア、ギリシアな…

G.-O.CHÂTEAUREYNAUD『LE HÉROS BLESSÉ AU BRAS』(G・O・シャトレイノー『腕を負傷した英雄』)

GEORGE-OLIVIER CHÂTEAUREYNAUD『LE HÉROS BLESSÉ AU BRAS』(BABEL 1999年) 15篇からなる短篇集。うち一篇「Essuie mon front, Lily Miracle(額を拭いてくれ、リリー・ミラクル)」は、読んでいるうちに聞いたことがある話のような気がしてきて、調べてみ…

吉田敦彦『天地創造神話の謎』

吉田敦彦『天地創造神話の謎』(大和書房 1985年) 引き続き、吉田敦彦を読みました。この本は『天地創造99の謎』(サンポウブックス、1976年)に加筆・増補したものということなので、前に読んだ二冊よりは古いものです。オイディプス神話の構造分析や南米…

水の都の古本市とたにまち月いち古書即売会など

今月は二つの古書市を覗いてきました。ひとつは、3月中旬の「水の都の古本市」で、二日目がうまく大阪の麻雀会と当ったので行ってきました。二日目ともなると、朝なのに客の姿は少なく、のんびりと見ることができました。室内が暗く、私の視力では背文字が読…

吉田敦彦『神話の構造』

吉田敦彦『神話の構造―ミト‐レヴィストロジック』(朝日出版社 1978年) 前回読んだシンポジウムの報告と違い、学術的で、扱っているテーマも専門的な話題になり、難しくなっています。内容は、4つの論文から成り、そのいずれもが副題にあるように、レヴィ=…

Claude Seignolle『La Malvenue』(クロード・セニョール『異子』)

Claude Seignolle『La Malvenue』(Phébus 2000年) これまで読んだセニョール作品のなかでは最高作と思います。物語の展開がとても興味を惹くようにできていて、これが日本語なら巻措く能わずというところでしょう。フランスの横溝正史、あるいは夢野久作か…

吉田敦彦ほか『神話学の知と現代』

吉田敦彦+山崎賞選考委員会『神話学の知と現代―第8回哲学奨励山崎賞授賞記念シンポジウム』(河出書房新社 1984年) 山崎賞というのは、哲学者の山崎正一が大学退職金の一部を基金として、哲学の研究で優れた業績を上げつつある人の将来の研究に期待する意…

神話の本二冊

大林太良『神話の系譜―日本神話の源流をさぐる』(講談社学術文庫 1997年) 大脇由紀子『徹底比較 日本神話とギリシア神話』(明治書院 2010年) 引き続き神話に関する本を読んでいきます。前回も書きましたが、酒を飲みながら、ギリシア神話と日本神話が似…

藤縄謙三『ギリシア文化と日本文化』

藤縄謙三『ギリシア文化と日本文化―神話・歴史・風土』(平凡社 1994年) 飲んでいて、ギリシア神話と日本神話の類似について喋っていたら、また興味が湧いてきて、その関連の本を読んでみました。藤縄謙三という名前は学生時代から知っていて、たしか『ホメ…

たにまち月いち古書即売会ほか

天牛堺書店がなくって以来、何とか大阪で古書市があるタイミングで飲み会が来ないかと思っていたら、ちょうどうまい具合に、大阪城集合の飲み会が、大阪古書会館の古書市の初日に当たりました。つい興奮して下記を購入。 鈴木信太郎譯『マラルメ詩集』(創元…

菅谷規矩雄『詩とメタファ』

菅谷規矩雄『詩とメタファ』(思潮社 1983年) 「メタファ」という言葉につられて読んでみました。2部に分かれていて、第Ⅰ部は「現代詩手帖」に長らく連載していた時評をまとめたもの、第Ⅱ部は、詩の音数律やメタファについて書かれています。菅谷規矩雄は以…

CLAUDE SEIGNOLLE「Le Rond des Sorciers」(クロード・セニョール「呪術師たちの輪舞」)ほか

CLAUDE SEIGNOLLE『Le Rond des Sorciers』(PHÉBUS 1993年) CLAUDE SEIGNOLLE『LES CHEVAUX DE LA NUIT et autres récits cruels』(marabout 1967年)(『夜の馬車―残酷譚集』) 2冊も並べていますが、実際に読んだのは、『Le Rond des Sorciers』15篇の…

近世民謡『山家鳥虫歌』ほか

浅野建二校注『山家鳥虫歌―近世諸国民謡集』(岩波文庫 1984年) 藤沢衛彦『図説 日本民俗学全集2 ことば・ことわざ・民謡・芸能編』(高橋書店 1971年)の「民謡編」のみ ポール・クローデルが『Dodoitsu』に訳している元の日本語の都々逸を読んでいるうち…

佐久間隆史『詩と東洋の叡知』

佐久間隆史『詩と東洋の叡知―詩は、計らいの、遥か彼方に』(土曜美術社出版販売 2012年) これまで読んできた海外ハイクについての本のなかで、「西洋では、俳句は見えないものが見えてくる瞬間をスナップショットのように捉えるものであり、禅と共通点があ…

天牛堺書店破産

今年初の古本報告ですが、悲しいお知らせから始めなければなりません。28日(月)、飲み会の前に、恒例の堺筋本町の天牛書店へ行ったら、シャッターが下りていて、「破産により差し押さえ」との破産管財人弁護士の貼り紙がありました。大阪に用事のある時は…

CLAUDE SEIGNOLLE『HISTOIRES VÉNÉNEUSES suivi de LA BRUME NE SE LÈVERA PLUS』(クロード・セニョール『毒のある物語集―「もう霧は晴れることはない」併載』)

CLAUDE SEIGNOLLE『HISTOIRES VÉNÉNEUSES suivi de LA BRUME NE SE LÈVERA PLUS』(MARABOUT 1976年) 新年初のフランス書。クロード・セニョールを読んでみました。セニョールを読むのは、『HISTOIRES ÉTRANGES(不思議な話)』を読んで以来(2010年12月31…

ドイツのハイク本三冊

/// 渡辺勝『比較俳句論―日本とドイツ』(角川書店 1997年) 加藤慶二『ドイツ・ハイク小史―比較文学の視点より』(永田書房 1986年) ギュンター・クリンゲ加藤慶二訳『句集 イカルスの夢』(永田書房 1986年) 今回はドイツのハイクに関する本です。『ドイ…

毬矢まりえ『ひとつぶの宇宙』

毬矢まりえ『ひとつぶの宇宙―俳句と西洋芸術』(本阿弥書店 2015年) この本は、海外俳句についてはあまり触れられていませんが、俳句を西洋芸術や西洋思想の視点から語ったものなので読んでみました。著者は国際俳句協会にも所属されているようです。少し若…

マブソン・ローラン『詩としての俳諧 俳諧としての詩』

マブソン・ローラン『詩としての俳諧 俳諧としての詩―一茶・クローデル・国際ハイク』(永田書房 2005年) フランスの日本文学研究者であり、自らも俳句を作っている人が一茶や、クローデルの短詩について書いた本。クローデルの『百扇帖』はまだ全訳が出て…

P=L・クーシュー『明治日本の詩と戦争』

P=L・クーシュー金子美都子/柴田依子訳『明治日本の詩と戦争』(みすず書房 1999年) また新しい一年を迎えました。今年もよろしくお願いします。年末から引き続き、海外の短詩に関する本、とりわけ必ずといって引用されるクーシューの著書を読みました。昔…

Marcel Brion『L’ermite au masque de miroir』(マルセル・ブリヨン『鏡面の隠者』)

Marcel Brion『L’ermite au masque de miroir』(Albin Michel 1982年) 前回読んだ『Le Journal du visiteur(訪問者の日記)』よりさらに晩年の作。RomanでもRécitでもなく、Capriccioと銘うたれているとおり、脈絡が茫洋としたものになっています。『Le J…

全大阪古書ブックフェアほか

先週日曜日、大阪古書会館の全大阪古書ブックフェアに行ってまいりました。古本仲間の忘年会に合わせたため、最終日のしかも閉会間際となったにもかかわらず、けっこういい買い物ができました。まず、寸心堂ではフランス書がたくさん出ていて、その中から下…