2011-01-01から1年間の記事一覧

:年末千林界隈の古本屋めぐり

今年もあと十数時間となってしまいました。 先日、老骨に忍び寄る寒さにもめげず、古本仲間との古本屋めぐり忘年会を決行いたしました。 古本屋めぐりの部では、岡崎武志、山本善行氏らが学生時代荒らしまわっていた千林界隈の古本屋へ。3名が集結。うち1…

:芳賀徹『詩の国詩人の国』(筑摩書房 1997年)

蕪村の句の評釈が中心で、ほかにテーマ別に日本の詩歌を回顧した文章や、クローデル『百扇帖』について、尾崎紅葉の翻訳翻案の話、本の感想など、種々の文章が収められています。 クローデルの文章とか、金素雲、名ごりの夢など、どこかで読んだことのある気…

:自転車の本二冊

/// 白鳥和也『七つの自転車の旅』(平凡社 2008年) 伊藤礼『こぐこぐ自転車』(平凡社 2011年) 両方とも比較的新しく出版された本ですが、『七つの自転車の旅』は古本。 執筆時、白鳥和也は48歳、伊藤礼は70歳という年の差が、自転車の乗り方や文章の雰囲…

:矢野峰人譯詩集『志るえっと』、花崎采琰訳『中国詞選 花譜』

先日、オークションで矢野峰人譯詩集が出品されているのを見つけ、スタート価格が6000円とすでに高いものでしたが、どうせまた負けるだろうと思い切って入札したところ、誰も競争相手が現れずすんなりと落札してしまいました。嬉しいやら恐ろしいやら。「高…

:篠田知和基『人狼変身譚―西欧の民話と文学から』(大修館書店 1994年)

『竜蛇神と機織姫』(11月21日記事参照)に引き続いて読んでみました。 『竜蛇神』同様に、繰り返しや重複記述がかなり目につきました。例えば、「はじめに」があって本文があり、「おわりに」があって、さらに「付記」があり、その上「あとがき」まであって、…

:ヴュータンその後

ビュータンのヴァイオリン協奏曲4番にはまって以来(10月29日の記事参照)、他の曲をネットで購入して聴いております。残念ながらヴィオラ作品が入手困難で断念しましたが、集めたCDは下記のとおり。 「Henri Vieuxtemps Complete Violin Concertos」Avan…

:メリュジーヌの物語に関する本二冊

/// ジャン・マルカル中村栄子・末永京子訳『メリュジーヌ―蛇女=両性具有の神話』(大修館書店1997年) クードレット森本英夫/傳田久仁子訳『妖精メリュジーヌ伝説』(社会思想社 1995年) 篠田知和基の『竜蛇神と機織姫』を読んで、もう少し分かり易い本…

:玉川信明の本二冊

/// 『放浪のダダイスト 辻潤―俺は真性唯一者である』(社会評論社 2005年) 『大正アウトロー奇譚―わが夢はリバータリアン』(社会評論社 2006年) 昨年10月9日の『エコール・ド・パリの日本人野郎』に続いて、玉川信明の胸をわくわくさせるようなタイトルの…

:GOBINEAU 『NOUVELLES Ⅰ』(Jean-Jacques Pauvert 1962年)(ゴビノー『小説集Ⅰ』)

昔パリの古本市で同じ著者の『小説集Ⅱアジア小説集』とともに購入した1冊。ゴビノーは『ルネサンス』という訳書がみすず書房と角川文庫から出ていたようですが、見たことはありません。古書価は随分と高いようです。ゴビノーという人は、ウィキペディアによ…

:天神橋三丁目プチ古書即売会ほか

今回は冊数が少ないですが、定期的な掲載を心掛けているので、ご報告します。 前回、天神橋プチ古書即売会へ行った時おまけに11月末期限の金券300円をもらったので、行ってまいりました。少し高くても300円があるからと気が大きくなって。 中野美代子『綺想…

:篠田知和基『竜蛇神と機織姫―文明を織りなす昔話の女たち』(人文書院 1997年)

日本語の本にしては珍しく、読み終えるのに1週間以上もかかってしまいました。神話や伝承研究の素養がないうえに、齢とともに理解力が悪くなったせいか、頭にすとんと落ちません。しかし著者の精力的な冗舌は留まるところを知りません。目まぐるしく話題が次…

:生田耕作の評論集二冊

/// 『文人を偲ぶ―生田耕作評論集成Ⅱ』(奢灞都館 1992年) 『異端の群像―生田耕作評論集成Ⅲ』(奢灞都館 1993年) これも長らく大事にしまっておいた本、他にⅠ(シュルレアリスム評論集)とⅣ(セリーヌ論?)が出ていますが、いくぶんか興味薄のためまだ買っ…

:予告どおり高い本を購入

11月5日の日誌で、これからは高くても欲しい本を買おうと宣言したとおり、矢継ぎ早に高い値付けの本を買いました。 まずは、長い間、S書林のネット目録に掲載されていて、いつ買われて消えてしまうかと怯えていた下記の本。 鈴木漠詩集『車輪』(海の会、68…

:哲学の本2冊。入不二基義『足の裏に影はあるか?ないか?』、土屋賢二『猫とロボットとモーツァルト』

/// 入不二基義『足の裏に影はあるか?ないか?―哲学随想』(朝日出版社 2009年) 土屋賢二『猫とロボットとモーツァルト―哲学論集』(勁草書房 1998年) 久しぶりに哲学の本を読んでみました。難しいところもたくさんありましたが、両方とも不必要に堅苦し…

:喜国雅彦『本棚探偵の冒険』(双葉文庫 2005年)

古本好き、とくにミステリーの好きな皆さんはとっくに読んでいて、なんだ今頃と思われるかもしれませんが。 百万遍の古本市に行く途上の電車で読もうと、取り出したものです。文庫本だし内容も軽そうだし、古本買いの雰囲気を盛り上げてくれると期待して。 …

:京都百万遍秋の古本まつり

先週の土曜日、京都百万遍の恒例秋の古本まつりに行ってまいりました。 出町柳から会場まで歩いて行く途中R書店で古書バーゲンがあり、フランス文学関係の安いのが大量に出ていたので足止めを食らってしまいました。プレイヤード叢書も500円均一で出ていま…

:ヴュータン「ヴァイオリン協奏曲第4番 二短調 作品31」

アンリ・ヴュータン「ヴァイオリン協奏曲 第4番 二短調 作品31」「ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ短調 作品37」(PHILIPS) ヴァイオリン:アルチュール・グリュミオー コンセール・ラムール管弦楽団 指揮:マニュエル・ロザンタール このところ、このCDをよ…

:ピエール・ロチ遠藤文彦訳『倦怠の華』(水声社 2009年)

ピエール・ロティの物語をもう一つ読んでみました。彼の比較的初期の作品(四番目)ですが、他の作品と違ってロティとプラムケットという友人との対話の形式になっています。 刊行者による注では「ロチとプラムケットとの共同制作」ということになっており、…

:ピエル・ロティが若き日を回想する物語三篇

/// ピエル・ロティ津田穰譯『少年の物語』(岩波文庫 1943年) ピエール・ロチ大塚幸男譯『青春』(白水社 1941年) ピエール・ロチ大塚幸男譯『死と憐れみの書』(白水社 1952年) 岡谷公二の『ピエル・ロティの館』に感銘を受けて(10月5日記事参照)、異…

:天神さんの古本まつりほか

報告が遅くなりましたが、先々週末、関西の古本仲間三名と一緒に、天満宮の古本市に行ってきました。 早く着いたのに百円均一の棚が二つあるのに気づかず、別のところをぶらぶらしている間に、仲間に何冊か抜かれてしまいました。 がY書房で『虵本稗史小説…

:CLAUDE FARRÈRE『L’autre côté...―CONTES INSOLITES』(ERNEST FLAMMARION 1928)(クロード・ファレール『彼岸―奇譚集』)

これも生田耕作旧蔵書。ファレールにも幻想的な作品があることは聞き及んでおりましたが、この本はそのうちの一つに違いありません。 「autre côté(彼岸)」というタイトルに見られるように、現実離れした話を集めた短編集。「RÊVES(夢)」「FANTÔMES(幽霊たち)…

:神谷光信『へりくだりの詩学』(マイブックル 2011年)

9月20日の日記で話題にしたオンデマンド本です。 さまざまな雑誌に掲載した現代詩人論を集めたものと「あとがき」に書いてありますが、ここに取り上げられた多田智満子、高橋睦郎、呉茂一、有田忠郎、神谷美恵子らの詩人に共通するのは、宗教性や聖性につな…

:四天王寺秋の古本祭り

四天王寺秋の古本祭り初日に行ってまいりました。 心配していた雨も上がり暑いぐらいの良いお天気でしたが、地面が一部ぬかるんでいて、運動靴の底からじわりと湿り気が伝わってきました。 四天王寺はなにせ安い。3冊500円、5冊1000円のコーナーがあちこち…

:岡谷公二『ピエル・ロティの館―エグゾティスムという病い』(作品社 2000年)

むかし『Azyade』を読みそのフランス語の美しさに感嘆したことがあったこと、また異郷趣味への興味から読んでみました。とても面白く読めました。導入部はなかなか読ませます。自らの体験から入って行く姿勢に説得力があって好ましく感じられます。 全体を通…

:佐藤朔のエッセイ第三弾

/// 佐藤朔『ボオドレエル覺書』(講談社 1949年) 佐藤朔『セーヌ河畔みぎひだり』(章文社 1958年) 佐藤朔『近代詩人論』(理想社 1971年) 『ボオドレエル覺書』はボオドレエル関連が190ページ近く、残りもフランス詩についてのものばかり、『セーヌ河畔…

:久しぶりに古本屋めぐり

先週末、東京の古本仲間が大阪に現われたので、関西の仲間と三人で、天神橋から中崎町に抜けるコースで古本屋めぐりをしました。このところオークションか古本市ばかりだったので、わいわい言いながら行き当たりばったりに喫茶店に入る古本屋めぐりは楽しい…

:H. Rider Haggard、Jean Petithuguenin訳『L’ESCLAVE REINE』(Nouvelles Éditions Oswald 1984年)(H・R・ハガード『奴隷の女王』)

またまた生田耕作旧蔵の一冊。巻末にこの叢書の目録がついていて、他にもハガード作品の仏訳も十数冊リストアップされています。生田氏の書いたものか不明ですが、そのいくつかに鉛筆で印がついています。買いもとめようとした本でしょうか。 原題は「The Mo…

:佐藤朔のエッセイ第二弾

/// 佐藤朔『超自然と詩―フランス文学と日本文学』(思潮社 1981年) 佐藤朔『反レクイエム』(小沢書店 1983年) この二冊はほぼ同じ時期に発行されたにもかかわらず、面白さでは断然『超自然と詩』の方が優っていました。これまで読んだ四冊の中でもいちば…

:神谷光信『へりくだりの詩学』などオンデマンド出版の本を購入

初めてオンデマンド出版の本を購入しました。と言っても買い方はネットで本を買うのとまったく同じです。出版側が注文を受けてから印刷し製本するので、装幀は簡易なものになるのが違いで、またそういう理由で1冊500円と値段が安いということが言えます。 鷲…

:ネットで買うか、店頭で買うか、双方の利点

前にも、ネットで古本検索をしていたら、新しく出ていた本を知ることができたと書いたことがありますが、ネットでの検索で知らない本を見つけたときは大変うれしいものです。今回も『石の声』は出ていないかと「宇佐見英治」で検索をかけたら、宇佐見英治の…