:ネットで買うか、店頭で買うか、双方の利点

 前にも、ネットで古本検索をしていたら、新しく出ていた本を知ることができたと書いたことがありますが、ネットでの検索で知らない本を見つけたときは大変うれしいものです。今回も『石の声』は出ていないかと「宇佐見英治」で検索をかけたら、宇佐見英治の妹さんがお兄さんの死後に遺された詩や文章(既出の本から抜粋)をまとめた次の本を発見することができました。
宇佐見英治/前川佳子『続 風に薔薇がそよぐように』(私家版、06年9月、100円)
「続」と書いてあるからには「正」があるに違いありません。


 しかしネットでは、どんな本なのか詳細を知ることができません。上記の本も中身は分からないまま発注しました。また検索では著者名で検索をかけることが多いので、共同執筆で隠れている場合は検索にはかかりません。例えば次のような本などは、ネットでは永久に買うことができなかったものだと思います。

国文学資料館共同研究報告書『文学における「向こう側」』(明治書院、昭和60年6月、250円)
これは、「向こう側」という言葉が非日常空間、幻想空間、異界、桃源郷を意味していて、説話や近代文学で異界がどう扱われているかを何人かの筆者が寄稿しているものです。平川祐弘が「東と西の桃源郷」、芳賀徹が「大正日本の小桃源」を執筆しています。


 この本を含め、下記八冊を大阪のいつものT書店二店で購入。堺筋本町のT書店は980円均一の初日でしたが、新たに200円均一棚が常設されているのを発見、安さのあまりたくさん買い込んでしまいました。大江橋のT書店は250円均一。
///
バイロン土井晩翠譯『チャイルド・ハロルドの巡禮』(新月社、昭和24年4月、200円)→名のみ高いが本はあまり見たことがなかった。
亀井俊介編『現代比較文学の展望』(研究社、72年6月、200円)→この本にも平川祐弘芳賀徹が書いています。
ピーター・ミルワード/石井正之助監修『形而上詩と瞑想詩』(荒竹出版、昭和51年9月、200円)
クラーゲス杉浦実訳『リズムの本質』(みすず書房、77年12月、200円)→むかし持っていたが最近見当たらなかったので。
中込純次『印象派以後』(審美社、83年7月、200円)
///
中野美代子『北方論―北緯四十度圏の思想』(新時代社、72年11月、250円)→あまり見たことのない本。
鈴木亨『現代詩鑑賞―20人の詩人たち』(桜楓社、昭和62年4月、250円)
福本邦雄炎立つとは―むかし女ありけり』(講談社、04年6月、250円)→雑誌「選択」で連載されているのをいつも真っ先に読んでおりました。何年か前に突然亡くなられ連載が終了してしまい残念に思っていたところです。本になっていたことは知りませんでした。


 ネットとオークションでは下記を購入。
//////
森豊『花喰鳥文様展開』(六興出版、昭和49年7月、300円)→唐草文様への興味の延長線上で。
横森元弘『死者のホンネ―英国墓碑銘の世界』(主婦の友社、平成9年10月、350円)→大昔ギリシアの墓碑の言葉のトーンに魅せられて以来、墓碑銘の本を探していますが、日本ではあまり出ていません。
菅野昭正『明日への回想』(筑摩書房、09年8月、1100円)→新刊同様。