2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

何かの気配を感じさせる音楽 その②

前回(5月6日記事参照)の続きで、不安を掻き立てるような揺らぐ響きのある音楽について書きます。書いているうちに分量が多くなってしまったので、今回はロシアの作曲家のなかでも、リムスキー・コルサコフだけにします。リムスキー・コルサコフのCDは何故…

関川左木夫『ボオドレエル・暮鳥・朔太郎の詩法系列』

関川左木夫『ボオドレエル・暮鳥・朔太郎の詩法系列―「囈語」による《月に吠える》詩体の解明』(昭和出版 1982年) 関川左木夫については、このブログで一度、書物趣味と、ビアズレーの日本への影響に関する二冊の本を取り上げています(2015年5月27日記事…

暇にまかせて古本処分

コロナで閉じこめられているうちにと、何年かぶりに本の整理に取り組みました。不思議なもので、結果は毎回段ボール12~3箱に落ち着きます。本棚の上にキノコのように平積みしていた本も減り、少し部屋が明るくなりました。以前も書きましたが、本の処分の際…

佐藤正彰のボードレール関係二冊

佐藤正彰『ボードレール雑話』(筑摩書房 1974年) 佐藤正彰『ボードレール』(筑摩書房 1956年) これまで読んで来たボードレール関連本がどちらかと言えば全体像を概観したものであったのに対し、この二冊は主として研究史的な視点から書かれています。『…

CHARLES BAUDELAIRE『Les fleurs du mal』(シャルル・ボードレール『悪の華』)

CHARLES BAUDELAIRE『Les fleurs du mal』(Jean-Claude Lattès 1987年) この歳になって、ようやく『悪の華』を原文で読みました。翻訳のあるものはフランス語ではなるべく読まないようにしていますが、詩は別格。再版後の各種拾遺詩篇も入れて全166篇、文…

何かの気配を感じさせる音楽 その①

以前、ヴュータンのヴァイオリン協奏曲第4番について書いたときにも触れたことがありましたが(2011年10月29日記事参照)、ロマン派以降の曲で、何かが起りそうな気配を感じさせ、不安を掻き立てるような揺らぐ響きを聞くことがよくあり、それが最近また気に…

齋藤磯雄『ボオドレエル研究』

齋藤磯雄『ボオドレエル研究』(三笠書房 1950年) 自らも『悪の華』を日夏耿之介風のゴシック浪漫詩体で訳している齋藤磯雄のボードレール論を読んでみました。本人のボードレールへの全面的な心酔がいたる所に感じられ、人柄が濃厚に感じられる読み物とな…