2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

:鶴ヶ谷真一『月光に書を読む』

鶴ヶ谷真一の本はこれで4冊読んだことになりますが、初めて『書を読んで羊を失う』と出会った後は、一度も期待を裏切られたことがありません。 これまでの作品でも共通していますが、和漢籍の書物に造詣深いと同時に、古典から現代に至るまでの西洋の書物に…

:ジャン・ロラン篠田知和基訳『フォカス氏』

『象牙と陶酔の王女たち』を読んだ勢いで、翻訳本を読んでみました。読まずに大事に残しておいたので、得をしたような気分です。 全体的な印象としては、『象牙と陶酔の王女たち』に見られた詩的な凝縮は薄められていて、少し饒舌が過ぎるように感じられまし…

:日夏耿之介『英吉利浪漫象徴詩風』上下ほか

このところ日夏耿之介の本ばかり買っているような気がします。今度はネットで『英吉利浪漫象徴詩風』白水社版を入手しました。日夏耿之介『英吉利浪漫象徴詩風上・下』(白水社、上:昭和15年11月、下:昭和16年2月、2冊3000円) /// 値段の割にはとてもきれ…

最近聴いた曲:ブルッフ「ヴァイオリン、ヴィオラとピアノのための8つの小品 作品83」

17日いずみホールで開催された「室内楽の悦び」というコンサートに行ってきました。プログラムに入っていた標記のブルッフの曲が目当てです。 ブルッフブームが沸き起こっているのか、15日センチュリーの定期でヴァイオリン協奏曲1番、23日には大阪交響楽団…

:Jean Lorrain『Princesses d’ivoire et d’ivresse』(ジャン・ロラン『象牙と陶酔の王女たち』)

/// 生田耕作先生架蔵本で、山本六三によると思われる蔵書票も付いています。 私にとっては少し大きい本なこともありましたが、読み終わるのに40日と少しかかってしまいました。会社へ行かなくなったので、少しはペースが速まるかと思っていましたが、期待し…

:窪田般彌『幻想の海辺』

ずっと昔に読んだつもりになっていたんですが、読んでなかったみたいです。読んでいても覚えていないので同じようなものですが。 著者の比較的早い時期の著作、1950年ごろから70年ごろまでの20年間にわたる雑多な論集を集めたものです。タイトルは「幻想」で…

:日夏耿之介『巴里幻想集』入手

土曜日、雨の中、大阪古書会館のOKK古書ブックフェアに行ってまいりました。 オークションで日夏耿之介を立て続けに2冊買ったので、ツキが回ってきたのか、『巴里幻想集』を発見しました。一昨年、国書刊行会が刊行した『巴里幻想訳詩集』に矢野目源一ら…

:前川祐一『イギリスのデカダンス―綱渡りの詩人たち』

『デカダンスの想像力』を読んだ勢いでこの本も読んでみましたが、全くタッチが違うので戸惑いました。「デカダンス」というタイトルにはなっていますが、デカダンスを正面から論じてはいません。デカダンスの時代と重なる19世紀後半のイギリス作家を7人取…