2012-01-01から1年間の記事一覧

:今年最後の古本購入、神保町他

年末、仙台へ温泉ツアーに行った帰りに、神保町古本街に寄ってまいりました。 仙台では、有名なM堂書店K店にも行きましたが、時間が短かったせいもあり、焦るのみで一冊も買えず手ぶらで退散する羽目となりました。その反動もあり、神保町では勢いよく購入…

:渡辺一夫の本、二冊

/// 渡辺一夫『亀脚散記』(朝日新聞社 1947年) 渡辺一夫『乱世逸民問答(ひかれもののこうた)』(読売新聞社 1954年) フランス文学者シリーズで読んでみました。渡辺一夫の本は、以前『へそ曲がりフランス文学』『うらなり先生ホーム話し』と『語学誤学 …

:前川道介『愉しいビーダーマイヤー』

前川道介『愉しいビーダーマイヤー―19世紀ドイツ文化史研究』(国書刊行会 1993年) 先日読んだドイツ・ロマン派絵画に関する本で、美術の世界では、後期ロマン派がビーダーマイヤー時代に重なるという指摘があり、その時代のことをもう少し知ろうと読んでみ…

:Georges Rodenbach『Bruges-la-Morte』(ジョルジュ・ローデンバック『死都ブリュージュ』)

Georges Rodenbach『Bruges-la-Morte』(GF Flammarion 1998) ローデンバックのこの作品は、学生時代に江間俊雄訳世界名作文庫版で読んで感銘を受け、その30年後ぐらいに、ブルージュに旅行したとき飛行機のなかで再読した愛読書。(実際に見たブルージュは観…

:矢野峰人『片影』ほか

金沢古本ツアーの後も、余韻を楽しむかのごとく、ちょこちょこと買い続けております。まずはネットで。これは難波のT書房で見つけたが少々高かったので帰ってから検索してみたらヒットしたもの。 矢野峰人『片影』(研究社、昭和6年9月、2000円)→矢野峰人が実…

:雑誌「ユリイカ―特集:デカダンス―爛熟と退廃の美学」

「ユリイカ―特集:デカダンス―爛熟と退廃の美学」(青土社 1978年) 若い頃「ユリイカ」の特集は興味のあるテーマはとりあえず買っていましたが、全部読み通したものはほとんどありません。なぜなら、字が小さくて読む気が起こらないのと、これを買っておけ…

:キンドル購入、マラルメ訳マネ挿画のポー『大鴉その他の詩篇』を100円で入手。

新聞の折り込みチラシに、近所の電気店で「キンドル」を売っているのを見つけ、早速買いに行きました。ペーパーホワイトの一番安い奴です。 とりあえずためしに、本では所持しているレニエ森鴎外訳「不可説」をダウンロードして読んでみると、なかなか字の感…

:ピエール・マルチノ木内孝訳『高踏派と象徴主義』

ピエール・マルチノ木内孝訳『高踏派と象徴主義』(審美社 1969年) ロマン主義も象徴主義も大好きですが、その間にある高踏派というのがよく分かっておりませんでした。この本は、ロマン主義から象徴主義が終わるまでのフランス詩壇の動きが整理されつつ詳…

:MAURICE MAGRE『LUCIFER』(モーリス・マーグル『ルシファー』)

MAURICE MAGRE『LUCIFER』(ALBIN MICHEL 1929年) 生田耕作旧蔵書の一冊。モーリス・マーグルを読むのは初めてです。ネットで見た略歴や本のタイトルなどから、エキセントリックな強面の神秘主義者で近寄りがたく難しそうに見えた割には、文章は短く単語も平…

:金沢古本ツアーほか

今週初め、東京の古本仲間と金沢古本ツアーを決行しました。40年近く前の大学時代にもその相棒と一緒に行った思い出の地です。近江町市場近くのK書房ぐらいしか覚えておりませんが。 あいにくの雨でしたが、まず一軒目はK書店。ここは新しく開店したばかり…

:ドイツ・ロマン派絵画に関する本二冊と展覧会図録二冊

/// ///H・J・ナイトハルト相良憲一訳『ドイツ・ロマン主義絵画―フリードリヒとその周辺』(講談社 1984年) 藤縄千艸編・解説『ドイツ・ロマン派画集―フリードリヒ・ルンゲ・ナザレ派・ビーダーマイヤー』(国書刊行会 1985年) 『フリードリヒとその周辺』…

:古本ツアー関連本三冊

/// 北尾トロ『ぶらぶらヂンヂン古書の旅』(風塵社 2007年) 北原尚彦『古本買いまくり漫遊記』(本の雑誌社 2009年) 「古本の雑誌―別冊本の雑誌16」(本の雑誌社 2012年)(読んだ順) 来週、金沢へ古本ツアーに出かけるので、気分を盛り上げようと、古本…

:たにまち月いち古書即売会ほか

月末に金沢古本ツアーに出かける予定で、古本ツアー関連本を読んでいるうちに、むずむずと古本が買いたくなって、昨日、大阪古書会館の古本市に出かけました。午後三時ごろだったので、漁り尽くされていたのか、気持ちは焦れどなかなか良い本に巡り合えず、…

:鈴木信太郎三冊、『ヴィヨン雑考』『半獣神の午後其他』『記憶の蜃気楼』

/// 鈴木信太郎『ヴィヨン雑考』(創元社 1941年) 鈴木信太郎『半獣神の午後其他』(要書房 1947年) 鈴木信太郎『記憶の蜃気楼』(文藝春秋新社 1961年) 『ヴィヨン雑考』は前回読んだ『文學遁走』とかなりの部分(7割がた)重複していたので、重複部分は…

:鈴木信太郎の二冊『文學外道』『文學遁走』

/// 鈴木信太郎『文學外道』(東京出版 1948年) 鈴木信太郎『文學遁走』(改造社 1949年) 今回は、読書の楽しさをたっぷりと味わえました。こういう本をソファで寝転がって読むのが至福の時です。何よりも素直さ、読みやすさ、それでいて味わいのある文章…

:Jean-Louis Bouquet『Aux portes des ténèbres』(ジャン=ルイ・ブーケ『闇の間近で』)

Jean-Louis Bouquet『Aux portes des ténèbres』(Denoël 1956年) この本も生田耕作旧蔵書。いつもの「奢灞都館呈蔵」の印はありませんでしたが、ページのあいだに大阪旭屋から生田耕作宛て、J・Ray『Le Livre des fantomes』品切の通知ハガキが入っていま…

:京都百万遍秋の古本まつり

昨日は京都百万遍の古本市に行ってまいりました。まず出町柳駅で降りて近くのR書店のバーゲンセールで、景気づけにと買った下記の本が見事にW買い。 田中清光「堀辰雄―魂の旅」(文京書房、78年9月、300円) 古本まつりの会場智恩寺の手前で、Y書店の棚に引…

:バルトルシャイティス著作集3『イシス探求―ある神話の伝承をめぐる試論』

ユルギス・バルトルシャイティス有田忠郎訳『イシス探求―ある神話の伝承をめぐる試論』(国書刊行会 1992年) いよいよこのシリーズも最終です(『アベラシオン』は刊行時に読んだので)。この一冊だけ視覚や見え方を問題にした他の三冊と少し色合いが違うと…

:畑耕一『随筆 愚人の祭壇―変質文斈者として』ほか

今回はいつになく高い本を買ってしまいました。というのは、オークションで2800円スタートの本を誰かが落札してくれるだろうと高をくくってジャスト2800円をつけたところ、誰も競合者が現われずすんなりと落札してしまったからです。こういうこともあるので…

:バルトルシャイティス著作集4『鏡』

ユルギス・バルトルシャイティス谷川渥訳『鏡―科学的伝説についての試論、啓示・SF・まやかし』(国書刊行会 1994年) 三巻目の『イシス探究』をすっ飛ばして、『アナモルフォーズ』にテーマが近いと思われる『鏡』から先に読んでみました。訳者の谷川渥、栞…

:バルトルシャイティス著作集2『アナモルフォーズ』

ユルギュス・バルトルシャイティス高山宏訳『アナモルフォーズ』(国書刊行会 1992年) 見る角度を変えて見ると、正面から見たのとまったく別の像が見えてくるというアナモルフォーズの絵をはじめて知ったのは、ちょうど出たばかりの澁澤龍彦の『幻想の画廊…

:浜本隆志・柏木治・森貴史編著『ヨーロッパ人相学―顔が語る西洋文化史』

浜本隆志・柏木治・森貴史編著『ヨーロッパ人相学―顔が語る西洋文化史』(白水社 2008年) 偶然古本屋の店頭で見つけた本です。こんな本が出ているのは知りませんでした。著者陣も知らない人ばかりですが、関西の先生方で、共同研究をまとめたものです。 「…

:秋古本シーズン到来。四天王寺秋の大古本祭りと天神さんの古本まつり。

大阪のふたつの古本市に行ってきました。 まず、四天王寺は初日。天気予報は曇のち晴なのに、朝からずっと小雨が降り続いて、開場の10時になっても100円均一や各書店均一平棚のテントは蔽われたままの状態。仕方なく、テントの中の高い本から見て行きました…

:JEAN MISTLER『Gare de l’Est』(ジャン・ミストレール『パリ東駅』)

JEAN MISTLER『Gare de l’Est』(Grasset 1975年) マルセル・シュネデールの『フランス幻想文学史』のミストレールの項では「ドイツ・ロマン派の後継者で、数多くの幻想的な作品を世に出し」と紹介されていましたが、この小説は幻想小説というよりは正統的…

:古本購入減退すれど収穫多し

このところ古本を買う機会、点数ともに減少しているという実感があります。いろんな要素があると思いますが、ひとつはやはり高齢なだけにこれ以上買っても読めるのかと内心うすうす思っていること、50年も買い続けて買うべき本はだいたい買ってしまったとい…

:小沼丹『椋鳥日記』と結城信一『空の細道』

/// 小沼丹『椋鳥日記』(河出書房新社 1974年) 結城信一『空の細道』(河出書房新社 1980年) 小沼丹の本は、山田稔の『マビヨン通りの店』の「小沼丹で遊ぶ」の文章に触発されて読んでみようと思いました。小沼丹について次のように紹介していたからです…

:山田稔の本二冊

/// 山田稔『マビヨン通りの店』(編集工房ノア 2010年) 山田稔『北園町九十三番地―天野忠さんのこと』(編集工房ノア 2000年) 山田稔の本は、学生の頃は、若気の至りで激越な調子のものを崇拝していたせいで物足りなく感じ、ほとんど読まずにいました。10…

:JEAN-PAUL RAEMDONCK『HAN』(ジャン・ポール・レムドンク『ハン』)

JEAN-PAUL RAEMDONCK『HAN』(MARABOUT 1972年) 発音がよく分からないので、「レムドンク」とか「ハン」とか勝手につけています。この本も学生時代注文して買ったまま大事に置いておいた本(だと思う)。「ジャン・レイ賞」という幻想文学賞を1972年に受賞…

:大阪古書会館のたにまち月いち古書即売会ほか

しばらく古本報告を怠っておりました。というのも、フランスでの大量購入の後、若干ペースが緩くなってきているからです。 昨日、大阪古書会館の古書即売会に行ってまいりました。建物に入った途端篠突く雨、2時間近く居て出たときは太陽がまぶしいくらいで…

:柳宗玄『西洋の誕生』

柳宗玄『西洋の誕生』(新潮社 1971年) 私の持っている柳宗玄の本はこれが最後になりました。読む順番が逆になって初期の著作を後になって読むことになってしまいました。若くしてすでになじみのテーマがこの本にはほとんど顔を出しています。この本で扱っ…