:畑耕一『随筆 愚人の祭壇―変質文斈者として』ほか

 今回はいつになく高い本を買ってしまいました。というのは、オークションで2800円スタートの本を誰かが落札してくれるだろうと高をくくってジャスト2800円をつけたところ、誰も競合者が現われずすんなりと落札してしまったからです。こういうこともあるので気をつけないといけないですね。時間がたてば値段のことは気にしなくなりますが。

 畑耕一は『怪異草紙』を長らく探していて、いちど松江の駅近くの古本屋でガラスケースに入っているのを見て手を出しかねたことを覚えていますが(以前にこの話を書いた記憶がある)、肝心のその本を買えないまま、他の本をついでに買ったりなんぞして、知らぬ間に『ラクダのコブ』『微笑の園』『劇場壁談義』などを所持しています。この本はタイトルの「変質文学者」という言葉に惹かれて買いました。
畑耕一『随筆 愚人の祭壇―変質文斈者として』(大學書房、昭和2年7月、2800円) 

 内容は、目次の怪異ものを抜粋すると、「煙草の怪異」「自分の影を買ふ男」「鑛夫奇譚」「奇婚」「化物の形容」「吸血鬼」「怪談會」「婆妖」「香暈」「幽霊の統計」「西洋の魔性の動物」といった感じです。


 他には、いずみホールのコンサートを聴きに行ったついでに、ツイン21の古本フェアで買った本。『荷風ふらんす漫談』は、荷風の写真が表に貼り付けられ、中も各ページ上にパリの写真やイラストが小さくあしらわれていて、洒落たつくりの本です。長谷川郁夫は富士川英郎堀口大學など執筆者の回想を綴ったものですが、以前新古書店で500円均一セールの際に買いそびれ後で後悔していたもの。結局倍の値段になってしまいました。田中香涯は「猫化けの話」「我国における霊魂恐怖と幽霊」「鬼筋」「人面瘡と人面犬」など面白そうな目次を見て。プルタルコスはいま読んでいるバルトルシャイティス『イシス探究』に触発されて。
小門勝二『荷風ふらんす漫談』(冬樹社、昭和49年9月、800円)
長谷川郁夫『藝文往来』(平凡社、2007年2月、1000円)
田中香涯『続奇・珍・怪』(鳳鳴堂書店、昭和37年12月、500円)
プルタルコス柳沼重剛訳『エジプト神イシスとオシリスの伝説について』(岩波文庫、96年4月、300円)
バイロン島田謹二訳『カイン』(岩波文庫、93年9月、200円)
上田三四二『うつしみ―この内なる自然』(平凡社、94年2月、300円)

///


 昨日、大阪で飲み会のついでに、いつもの堺筋本町T書店にて。480円セールの最終日であまり期待はしていなかったが、日夏耿之介を発見。大きな平べったい活字で読みやすそう。
日夏耿之介『谷崎文學』(朝日新聞社、昭和25年3月、480円)
森内俊雄『微笑の町』(集英社、80年11月、300円)
///