:日夏耿之介歌集『文人畫風』そのほか

 新年第二弾は、オークションとネットが中心です。
いつものようにオークションで競り負けて、「日本の古本屋」を見たらそれより安く出ていたので、飛びついて買ったのが、
日夏耿之介歌集『文人畫風』(關書院、昭和22年8月、1600円)→大戦中の生活を反映したものが多いなかで、意味はよく分からないが字づらが日夏耿之介らしい歌もある。例えば「黄を帯ぶる澹青のみすまるひかり淪み寂然としてかたちうかべる」「黒漆古の手結ひに呪文の科斗を雕りしはここらあたりの慾界をうしはくとや」「紫摩黄金金時劫に鏽びて黒くかそけく落居たりといへその音剡し」と謂うが如き。吉江喬松への弔歌もあり。

 オークションでは、
粒来哲蔵『相姦記』(鱏書房、85年10月、1350円)→見覚えのない詩集。ぱらぱらと見た程度だが、「椿」「砂の上の魚」「砂」「伝説」がすばらしい。
「本の手帖 特集:詩の雑誌」(昭森社昭和36年5月、450円)→創刊第3号でまだ45頁のペラペラの状態。野田宇太郎「『屋上庭園』と『朱欒』」、城左門「『奢灞都』と『汎天苑』」など。
「好色文學批判」(ロゴス、昭和23年9月、100円)→佐藤輝夫「接吻の詩人ロンサール」、矢野目源一「カザノヴァの『回想録』」、奥野信太郎「『金瓶梅』覺書」、日夏耿之介「明治自然派の猥褻描寫」など。「批判」という言葉が隠れ蓑になっているのだが、文字が小さく印刷されているところが面白い。
船岡末利編訳『ロチのニッポン日記―お菊さんとの奇妙な生活』(有隣堂、昭和54年2月、340円)

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 今年初めての古本市は、ツイン21。時間があまりなかったので、駆け足で見て回りました。年末の全大阪ブックフェアで大量に仙花紙本を出品していたI書店で、残りがまだ出ていたので、そこから、
高橋義孝著『獨逸浪曼派』(青木書店、昭和18年11月、500円)→W買いだが、きれいなカバーがついているので良しとしよう。
ザイツェフ米川正夫訳『リラの花』(柏書房、昭和21年7月、200円)→露西亜短篇叢書なるものは初めて見た。
 他に別の出展者から、
ハドソン柏倉俊三訳『緑の館―熱帯林のロマンス』(岩波文庫、01年4月、300円)
を購入。
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