2015-01-01から1年間の記事一覧

:倉阪鬼一郎の俳句の本二冊

///倉阪鬼一郎『怖い俳句』(幻冬舎新書 2012年) 倉阪鬼一郎『悪魔の句集』(邑書林 1998年) 私に向けて書かれたのではないかというぐらい、私の趣味にあった俳句本です。著者についてはその昔「金羊毛」や創刊頃の「幻想文学」に載った短篇の幻想的味わい…

:HENRI DE RÉGNIER『Histoires incertaines』(アンリ・ド・レニエ『さだかならぬ話』)

HENRI DE RÉGNIER『Histoires incertaines』(MERCURE DE FRANCE 1919年) レニエの詩集『Les Médailles d’Argile(粘土牌)』を入手したのがきっかけで、訳詩などを眺めているうちに、『碧玉の杖』などの美しい文章を思い出したので、しばらくレニエを読もう…

:全大阪古書ブックフェア

年末恒例になってきた全大阪古書ブックフェアに行ってきました。夜の飲み会にあわせたので、あまり荷物になってはと少し抑え気味にして、5冊購入。 石邨幹子訳編『サアディの薔薇―マルスリイヌ・デボルド=ヴァルモオルの詩と生涯』([サアディの薔薇]の会、…

:中村苑子のエッセイ三冊

/// 中カバー付中村苑子『俳句礼賛―こころに残る名句』(富士見書房 2001年) 『俳句自在』(角川書店 1994年) 『私の風景』(蝸牛社 1997年) 読んだ順番です。重複している文章が幾つかありました。『俳句礼賛』のなかの「鎌倉文庫のこと」「高柳重信物語…

:引き続き平井照敏の俳句の本

平井照敏『有季定型―現代俳句作法』(飯塚書店 1982年) 続いてもう一冊平井照敏の俳句入門書です。四部に分れ、第一部は季語を中心に切れ字やリズムなど俳句の型にも触れ、俳句を成り立たせる核心を探っています。第二部は俳句雑誌に掲載した時評、第三部は…

:フランスから続々と安本届く

フランステロ事件もあり、しばらくフランスへ古本買いに行けなくなるかもと、意を決して、ネットで取り寄せることにしました。その第一弾。1軒の古本屋から次の2冊。いずれも「小説幻妖 弐 ベルギー幻想派特集号」所収の森茂太郎論文で知った作家です。この…

:平井照敏『新・俳句入門』

平井照敏『新・俳句入門』(思潮社 1982年) 平井照敏の本はこれまでも何冊か読みました。昔の読書ノートを見ると、この本で読んだのと同じようなことが書いてありましたが、すっかり忘れてしまっていたので、今回も新たな発見と驚きがありました。 著者は、…

:赤瀬雅子『永井荷風とフランス文学』

赤瀬雅子『永井荷風とフランス文学』(荒竹出版 1976年) アンリ・ド・レニエをフランス語で読み始め、これがなかなか面白いので、永井荷風とレニエのことが取りあげられていたのを思い出して、本棚から引っ張り出しました。 実は荷風の作品は、『ふらんす物…

:阿部筲人『俳句―四合目からの出発』

阿部筲人『俳句―四合目からの出発』(講談社学術文庫 1998年) 江國滋の『阿呆旅行』で激賞されていたので読んでみました。なるほど、初心者の私には、実際の句作に参考になるような注意書きがたくさんあったので、勉強になりました。いくつかの点をあげてみ…

:古本購入もいよいよ先細りか

最近古本屋へ行っても手ぶらで店を出ることが多くなってきました。大阪に出るときは、いつも堺筋本町と難波のT書店に立ち寄っているのですが、なかなか買えません。昔のように、いつか読むだろうと興味の範囲を広げて買うことが少なくなってきたんだと思いま…

:GÉRARD PRÉVOT『LE SPECTRE LARGE et autres contes fantastiques』(ジェラール・プレヴォ『大きい幽霊―幻想短篇集』)

GÉRARD PRÉVOT『LE SPECTRE LARGE et autres contes fantastiques』(marabout 1975年) GÉRARD PRÉVOTは、これで4冊目です。タイトルどおり幽霊譚、しかも幽霊が復讐する話が多いですが、彷徨譚あり、酩酊小説あり、ミステリーあり、ドタバタSFあり、チェス…

:続けて江國滋の三冊

/// 江國滋『スペイン絵日記』(新潮社 1986年) 『伯林感傷旅行―旅券は俳句』(新潮社 1991年) 『イタリアよいとこ―旅券は俳句』(新潮社 1996年) これで手持ちの江國本は全部読んでしまいました。今回は海外旅行記ばかりで、うち二冊は「旅券は俳句」シ…

:江國滋の三冊

/// 江國滋『江國滋俳句館』(朝日新聞社 1986年) 『旅はプリズム』(朝日新聞社 1982年) 『阿呆旅行』(新潮文庫 1984年) 読んだ順で執筆の順は逆です(『阿呆旅行』の単行本は1973年刊)。それぞれ特徴があって、『江國滋俳句館』は文字どおり、自作も…

:ローデンバック『樹』とその訳者村松定史の本

/// ジョルジュ・ローデンバック村松定史訳『樹』(森開社 2009年) 村松定史『旅と文学』(沖積舎 2011年) 村松定史『たそかれ』(芸林書房 2001年) 読んだ順です。まずレオン・ブロワのごてごてした文章を読んだ後の口直しとして、優しく静かな本を読も…

:百万遍秋の古本まつり他

百万遍秋の古本まつりの初日、町内会の用事をすばやく済ませて出かけました。出町柳駅着が10時すぎ。近くのR書店バーゲンセールに駆けつけるもすでに人影はまばらで収穫なく、途中のY書店の路上展示もなし。本会場に入っても期待していたA堂でなし。今日はダ…

:GÉRARD PRÉVOT『LA NUIT DU NORD―La nuit des grandes ombres』(ジェラール・プレヴォ『北方の夜―亡霊たちの跋扈する夜』)

GÉRARD PRÉVOT『LA NUIT DU NORD―La nuit des grandes ombres』(marabout 1974年) 数年前パリのミステリー専門古本屋「L’Amour du Noir」で購入した本。GÉRARD PRÉVOTは以前、『LE DÉMON DE FÉVRIER ET AUTRES CONTES FANTASTIQUES (2月の悪魔―幻想短編集)…

:レオン・ブロワ『絶望者』

レオン・ブロワ田辺貞之助訳『絶望者』(国書刊行会 1984年) 『薄気味わるい話』で辛辣な語り口に驚きましたが、これを読めばまだおとなしい方だったことが分かります。訳者の田辺貞之助も巻末で次のように認めています。「古来フランス文学に例を見ない悪…

:レオン・ブロワ『薄気味わるい話』

レオン・ブロワ田辺保訳『薄気味わるい話』(国書刊行会 1989年) ボルヘス編纂の「バベルの図書館」の一冊。フランス世紀末の作品だしタイトルも面白そうなので、読んでみました。ブロワの本では、他に『絶望者』『貧しき女』『フィアンセへの手紙』を持っ…

:遠藤周作のフランス滞在記

///遠藤周作『ルーアンの丘』(PHP 1998年) 遠藤周作『フランスの大学生』(新風舎 2005年) 日本人のフランス滞在シリーズ。だんだん飽きてきました。今回は、新しいところで遠藤周作の二冊。『ルーアンの丘』は留学当時日本の雑誌に寄稿した「赤ゲットの…

:天神さんの古本まつりと四天王寺秋の大古本祭り

大阪での二つの古本市の同時開催初日。今年は気分を変えて、まず天神さんに行きました。というのはY書房がいつも私好みの本を出していたからです。15分前ぐらいに着いて、会場をぶらぶらしていると、K書店だけがビニールでテントの中が見られるようになっ…

:BRUNO GAY-LUSSAC『L’AUTRE VISITE』(ブリュノ・ゲー=リュサック『他者の訪れ』)

BRUNO GAY-LUSSAC『L’AUTRE VISITE』(GALLIMARD 1993年) 学生時代、ラルースの文学事典で「形而上学的苦悩、夢、エロティスム、子ども時代へのノスタルジーを描いた」という説明を見て、名前をリストアップしていたのを、数年前パリのブラッサンス公園古本…

:中村光夫の二冊

///中村光夫『戦争まで―仏蘭西紀行集』(實業之日本社 1942年) 中村光夫『憂しと見し世―文学回想』(中公文庫 1982年) 『世界紀行文學全集 フランスⅡ』で中村光夫の文章に惹かれたので読んでみました。その時読んだ「ロアルの宮殿」という文章は、今回読ん…

:フランスの詩集原書二冊ほか

オークションで、珍しい詩集を二冊落札しました。いずれも格調高くルリュールされています。 HENRI DE RÉGNIER『Les Médailles d’Argile』(MERCURE DE FRANCE、1900年、2000円) COMTESSE DE NOAILLES『L’OMBRE DES JOURS』(CALMANN-LÉVY、1917年10月、200…

:杉捷夫『フランスだより その他』

杉捷夫『フランスだより その他』(東京学風書院 1959年) 『世界紀行文學全集 フランス』を読んで面白かった人の著書を続けて読んでいます。がこの本は少々失望してしまいました。というのは、文学者の割に、政治や社会の動向についての関心が強すぎて、肝…

:CLAUDE FARRÈRE『LA SONATE À LA MER』(クロード・ファレール『海のソナタ』)

CLAUDE FARRÈRE『LA SONATE À LA MER』(FLAMMARION 1952年) 何年か前、パリの古本屋の店頭均一コーナーで見つけた本。ファレールの晩年に書かれた作品のようで、「NUIT TURQUE(トルコの夜)」「L’ILE AUX IMAGES(心のなかの島)」「RÊVE ET CAUCHEMAR(…

:竹中郁『巴里のてがみ』

竹中郁『巴里のてがみ』(編集工房ノア 1986年) 引き続き日本の文人のフランス報告で、今回は竹中郁。1928年から30年までパリに滞在していたようです。この本は、その時パリの芸術界の動向を日本に知らせた通信「巴里だより」と、帰国後パリでの生活を思い…

:岩田豊雄『脚のある巴里風景』

岩田豊雄『脚のある巴里風景』(白水社 1932年) なかなかしっかりした造本で、紙質もよく、大きい割に本が軽い。白水社のこの頃の出版物には同様の印象があります。また各ページにタイトルどおり脚の飾りが添えられているのが面白い。 岩田豊雄は獅子文六の…

:ルバイヤート本二冊ほか

学生時代『千夜一夜物語』や『ルバイヤート』を読んで、中近東趣味に浸っていたのがぶり返して、定年前からまたぼつぼつと各種翻訳本を集め始めました。ルバイヤートも16冊(仏訳2冊含む)ほどになりましたが、今回またオークションで新たに2冊増えました。 …

:村松嘉津『巴里文學散歩』『續巴里文學散歩』

///村松嘉津『巴里文學散歩』(白水社 1959年) 村松嘉津『續巴里文學散歩』(白水社 1959年) 引き続き村松嘉津を読んでいます。今回は彼女の代表作とも言える二冊。前にも書きましたが、野田宇太郎氏と親交があったようで、なるほどと頷けます(ちなみに野…

:CLAUDE FARRÈRE『Dix-sept Histoires de Marins』(クロード・ファレール『船乗りの物語17話』)

CLAUDE FARRÈRE『Dix-sept Histoires de Marins』(PAUL OLLENDORFF 1914年) 何年か前、京都勧業館古本市の百円均一コーナーで買ったもの。ファレールを読むのは『L’autre côté...―CONTES INSOLITES(彼岸―奇譚集)』(2011年10月14日記事参照http://d.hate…