最近読んだ本
梅原猛『日本人の「あの世」観』(中公文庫 1993年) タイトルに惹かれて昔買っていたもの。恥ずかしい話ですが、梅原猛を読むのは初めてです(と思う)。学生の頃、『隠された十字架』や『水底の歌』がベストセラーになっていて、その頃からすでに表立って…
金岡秀友『日本の神秘思想』(講談社学術文庫 1993年) 神秘学の関連で、日本の神秘思想について書いた本を読んでみました。日本の神秘思想と言えば、素人考えでは、神道、仏教、それに道教の影響を受けた民間信仰や、明治以降の西洋の影響の混じり合った霊…
高橋巌+荒俣宏『神秘学オデッセイ―精神史の解読』(平河出版社 1982年) 引き続いて高橋巌を読みます。大学のポストを捨てすでにシュタイナー研究の神秘学者として確立していた高橋巌と、まだ翻訳中心の活動をしている若き荒俣宏の対談です。はっきり言って…
高橋巌『神秘学講義』(角川選書 2018年) 高橋巌を続けて読んでいます。美術史美学の分野から神秘学のテーマに移ります。この本は、朝日カルチャー・スクールで行なった講義内容に加筆したもので、ですます調で丁寧な語り口で、とても分かりやすい。5つの章…
高橋巌『美術史から神秘学へ』(書肆 風の薔薇 1982年) 前回に続いて、高橋巌の本を取り上げました。美学美術史に関する初期の論考をまとめたもので、『ヨーロッパの闇と光』以前に書かれた論文もいくつかありましたが、ほとんどは以後の作品。『ヨーロッパ…
高橋巌『ヨーロッパの闇と光』(新潮社 1970年) 高橋巌については、以前から現代日本の数少ない神秘主義者という認識で、何冊か本を購入しておりましたが、6月に読んだ神谷光信『片山敏彦 詩心と照応』で、高橋巌が片山敏彦の精神的嫡子であったというのを…
久保和彦『帰還―Wiederkebr』(皆美社 1993年) 30年以上前に久保和彦の『夕べの窓』というエッセイ集を読み、とても感銘を受けました。当時の読書ノートには、「トラークルに通じる詩的な文章。敬虔な調べ、思索的な雰囲気・・・久しぶりに落ち着いた大人の…
井村君江『日夏耿之介の世界』(国書刊行会 2015年) 前回読んだ井村君江『私の万華鏡』のなかで、「長谷川潔氏や富士川英郎氏、斎藤磯雄氏、関川左木夫氏や岸野知雄氏等は、拙著『日夏耿之介の世界』に書いた」とあったので、読んでみました。他にも、城左…
井村君江『私の万華鏡―文人たちとの一期一会』(紅書房 2015年) 私の好みの文人や画家が並んでいる目次を見て、8年ほど前にネット古書で買っていたのものです。井村君江はケルト神話についての本や、『講座比較文学 日本文学における近代』収録の「日夏耿之…
久保田万太郎『いまはむかし』(和田堀書店 1946年) 久保田万太郎の俳句関連本を読んだついでに、随筆集を読んでみました。昔書いた随筆集から抜粋したもののようで、俳句の人らしく季節感に敏感で、春夏秋冬の4章に分けて編集され、春は桜、夏は夜店、秋は…
高柳克弘『どれがほんと?―万太郎俳句の虚と実』(慶応義塾大学出版会 2018年) 小島政二郎『俳句の天才―久保田万太郎』(彌生書房 1980年) 久保田万太郎『句集 道芝』(ほるぷ 1980年) 久保田万太郎/久米正雄『互選句集』(文藝春秋新社 1946年) 久保田…
G・R・ホッケ種村季弘訳『マグナ・グラエキア―ギリシア的南部イタリア遍歴』(平凡社 1996年) ギッシングの『南イタリア周遊記』を読んでいるとき、そう言えば、大ギリシア(マグナ・グラエキア)について書いた本があったと思い出して、読んでみました。G…
大塚幸男『花のある窓』(第三書房 1978年) 続けて大塚幸男を読んでいますが、これでいったん終わりにします。大塚の著作としては、最後の作品ではないかと思います。西日本新聞の連載をまとめた「花のある窓」、その続篇として各紙に寄稿したものをまとめ…
大塚幸男『フランス文學随攷』(あけぼの社 1946年) 大塚幸男『近代フランス文学論攷』(朝日出版社 1973年) 大塚幸男の『閑適抄』を読んだついでに、同著者のフランス文学についてのエッセイを読んでみました。長らく書棚で温めて置いた本です。『フラン…
大塚幸男『閑適抄―ギッシングとともに』(第三書房 1975年) ギッシング小池滋訳『南イタリア周遊記』(岩波文庫 1994年) 文学的香気のある落ち着いた随筆を読もうと思って、『閑適抄』を手に取りました。福田陸太郎が序で、「文学のもたらす至福とはこうい…
神谷美恵子『生きがいについて』(みすず書房 1994年) 若松英輔が『生きる哲学』で、神谷美恵子について一章をあてて論じていたこと、神谷光信の『片山敏彦 夢想と戦慄』で神谷美恵子の神秘主義的側面が紹介されていたこと、また同著者の『ヘリくだりの詩学…
谷川渥『図説 だまし絵―もうひとつの美術史』(河出書房新社 1999年) 種村季弘/高柳篤『だまし絵―新版・遊びの百科全書2』(河出書房新社 1995年) 錯視の本に続いて、だまし絵に関する本を読んでみました。谷川渥は美学、美術史の研究者なので、どちらかと…
表 裏 白石和也『錯視の造形―メノトリックス』(ダヴィッド社 1978年) R・N・シェパード鈴木光太郎/芳賀康朗訳『視覚のトリック―だまし絵が語る〈見る〉しくみ』(新曜社 1994年) 『錯視の造形』を古本屋で買ったのをきっかけに、長らく積読していただまし…
清水茂『地下の聖堂―詩人片山敏彦』(小沢書店 1988年) 先日読んだ神谷光信の片山敏彦論でよく引用されていたので、読んでみました。片山敏彦について論評した単著としては、神谷光彦を除けば、この本ぐらいしかないのではないでしょうか。清水茂は、17歳の…
神谷光信『片山敏彦 夢想と戦慄』(マイブックル 2011年) 神谷光信『片山敏彦 詩心と照応』(マイブックル 2011年) 志村ふくみの『語りかける花』のなかに、片山敏彦の形而上的な短歌が紹介されていたこともあり、神秘主義関連で片山敏彦についての本を読…
須賀敦子『霧のむこうに住みたい』(河出書房新社 2003年) これで須賀敦子を読むのはいったん終わりにします。この本は、単行本化されていなかった新聞雑誌への寄稿を、彼女の死後にまとめたもので、イタリア生活の思い出、イタリア各都市の素描、日本の学…
須賀敦子『地図のない道』(新潮社 1999年) 須賀敦子『時のかけらたち』(青土社 1998年) この二冊は、須賀敦子の中期から後期にかけての作品。これまで読んできた物語の続篇のような世界が描かれつつも、語り口が少し変わって来ていて、『地図のない道』…
須賀敦子『ヴェネツィアの宿』(文春文庫 1999年) 須賀敦子『トリエステの坂道』(みすず書房 1998年) 須賀敦子を続けて読んでいます。前回は比較的初期の作品として、『イタリアの詩人たち』(1977~79)と『コルシア書店の仲間たち』(92)を取りあげま…
須賀敦子『コルシア書店の仲間たち』(文藝春秋 1992年) 須賀敦子『イタリアの詩人たち』(青土社 1998年) 若松英輔の本に須賀敦子のことが出てきて、以前、『ミラノ霧の風景』と『ユルスナールの靴』を読んで感銘を受けたことを思い出したので、しばらく…
篠田桃紅『墨いろ』(PHP 2016年) 以前、『日本の名随筆 香』というアンソロジーに収められていた篠田桃紅の「香」の文章がとても気に入ったので買っていたもの。前回まで読んでいた志村ふくみの文章と、片や染織、片や書という違いはありますが、どこか通…
志村ふくみ『語りかける花』(人文書院 1993年) 志村ふくみ/志村洋子『たまゆらの道―正倉院からペルシャへ』(世界文化社 2001年) また志村ふくみの続き。今回は、1980年代から新聞や雑誌に連載または掲載された随筆を集めた『語りかける花』と、娘の志村…
志村ふくみ『母なる色』(求龍堂 1999年) 志村ふくみ・文/井上隆雄・写真『色を奏でる』(ちくま文庫 1998年) 志村ふくみを続けて読んでいます。『母なる色』は書き下ろしを中心とした随筆集、『色を奏でる』は、『色と糸と織と』(岩波書店1986年)を文庫…
志村ふくみ『一色一生』(講談社文芸文庫 1999年) 志村ふくみについては、以前、宇佐見英治との対談『一茎有情』を読んで面白かったので、少しずつ買いためていましたが、そのうちの一冊。先日読んだ若松英輔の本にも名前が出てきていたので、また読むこと…
若松英輔/小友聡『すべてには時がある―旧約聖書「コヘレトの言葉」をめぐる対話』(NHK出版 2022年) 旧約聖書のなかの昔「伝道の書」と言われていた「コヘレトの言葉」について、このところ読んでいる若松英輔と、神学の専門家で牧師でもある小友聡のテレビ…
若松英輔『神秘の夜の旅』(トランスビュー 2011年) タイトルに惹かれて買いましたが、内容は、越知保夫という50歳で亡くなった文芸批評家についての評論。若松英輔が書いた二冊目の本です(一冊目は、井筒俊彦について書いた本)。前回読んだ二冊に比べる…