最近読んだ本

タイムトラベルテーマの短篇集2冊

フィニイ、ヤング他/中村融編『時の娘』(創元SF文庫 2009年) P・J・ファーマー他/伊藤典夫・浅倉久志編『タイム・トラベラー―時間SFコレクション』(新潮文庫 1987年) フィニイのタイムトラベルものをずっと読んできましたが、次はタイムトラベルの短篇集…

ジャック・フィニイの2冊

ジャック・フィニイ山田順子訳『夢の10セント銀貨』(ハヤカワ文庫 1990年) ジャック・フィニイ福島正実訳『マリオンの壁』(角川書店 1975年) 引き続きフィニイを2冊読んでみました。いずれもタイムトラベルを扱った長編ですが、『夢の10セント銀貨』は多…

フィニイ『時の旅人』

ジャック・フィニイ浅倉久志訳『時の旅人』(角川書店 1996年) 『ふりだしに戻る』の続編ということなので、続けて読みました。この本も文庫にすれば上下二冊になるほどの分量で、読みごたえがありました。続編と言っても、『ふりだしに戻る』から25年もの…

ジャック・フィニイ『ふりだしに戻る』

ジャック・フィニイ福島正実訳『ふりだしに戻る(上)・(下)』(角川文庫 1991年) 時間旅行をテーマにしたフィニイの長編を読んでみました。あとがきで訳者も書いているように、『ゲイルズバーグの春を愛す』などの短篇のテイストがあり、それを目いっぱ…

ジャック・フィニイの二冊

フィニイ福島正実訳『レベル3』(早川書房 1961年) ジャック・フィニイ福島正実訳『ゲイルズバーグの春を愛す』(ハヤカワ文庫 1980年) 幻想都市、迷宮都市、架空の国、地図にない町などの本を読んでいますが、これはSFで扱う時間テーマのテイストにかなり…

『どこにもない国』と『地図にない町』

S・ミルハウザーほか柴田元幸編訳『どこにもない国―現代アメリカ幻想小説集』(松柏社 2006年) フィリップ・K・ディック仁賀克雄編訳『地図にない町―ディック幻想短篇集』(ハヤカワ文庫 1976年) 「どこにもない」とか「地図にない」とか幻の町がテーマと…

東雅夫編『架空の町』

東雅夫編『架空の町』(国書刊行会 1997年) 国書刊行会の「書物の王国」という幻想小説アンソロジー・シリーズの第1巻目。アジアの架空の村の原点ともいえる陶淵明の桃源郷の小話を皮切りに、前半では、マンデヴィルの『東方旅行記』や千夜一夜物語など、遠…

『幻影都市のトポロジー』と『もうひとつの街』

A・ロブ=グリエ江中直紀訳『幻影都市のトポロジー』(新潮社 1979年) ミハル・アイヴァス阿部賢一訳『もうひとつの街』(河出書房新社 2013年) この二冊に共通するのは、夢のなかの出来事のように、支離滅裂、意味不明、何でもありの、書きたい放題、とも…

『方形の円』と『迷宮都市』

ギョルゲ・ササルマン住谷春也訳『方形の円―偽説・都市生成論』(東京創元社 2019年) デヴィッド・ブルックス実川元子訳『迷宮都市』(福武書店 1992年) タイトルに「都市」と名がついて、架空の、幻影の、迷宮の、異次元のといった形容詞のついた、幻想小…

カルヴィーノ『マルコ・ポーロの見えない都市』

イタロ・カルヴィーノ米川良夫訳『マルコ・ポーロの見えない都市』(河出書房新社 1983年) これからしばらくは、架空都市、幻想都市、迷宮都市、異次元都市…に関連した小説、評論、詩を読んで行きたいと思います。まず第一弾は、この分野の先陣を切ったカル…

長谷川正海『日本庭園雑考』

長谷川正海『日本庭園雑考―庭と思想』(東洋文化社 1983年) これで庭の本はいったん終わりにします。著者略歴を見れば医学の教授とあり、趣味が高じて庭の研究に打ち込まれたみたいですが、相当熱心に調べていて、庭の研究者としても十分やっていけそうに思…

庭園に関する本三冊

野田正彰『庭園との対話』(日本放送出版協会 1996年) 円地文子編『日本の名随筆―庭』(作品社 1983年) 高木昌史編訳『庭園の歓び―詞華による西欧庭園文化散策』(三交社 1998年) とにかく庭に関しての本。『庭園との対話』はNHK教育テレビの番組のテキス…

日本の庭に関する本二冊

宮元健次『月と日本建築―桂離宮から月を観る』(光文社新書 2003年) 栗田勇/岩宮武二(写真)『石の寺』(淡交社 1965年) 異質な本ですが、同時期に読み、また二冊とも日本の庭に関連しているので並べてみました。かたや、月を軸に日本の建築や庭を論じた…

作家の書いた「日本の庭」二冊

室生犀星『日本の庭』(朝日新聞社 1943年) 立原正秋『日本の庭』(新潮文庫 1983年) 日本の庭についての本。同じ作家で、しかも二人とも寺で育ったという境遇も同じ。しかし印象がまるで違った本になっています。生きていた時代が異なるせいもありますが…

日本の庭についての本二冊

海野弘『都市の庭、森の庭―未知なる庭園への旅』(新潮選書 1983年) 奈良本辰也『京都の庭』(河出新書 1966年) いよいよ日本の庭が中心の本です。この二冊に共通するのは、アットランダムな個々の庭の探訪が主軸になっているところです。正面を切って、庭…

西沢文隆『庭園論Ⅰ』

西沢文隆『西沢文隆小論集2 庭園論Ⅰ―人と庭と建築の間』(相模書房 1975年) 庭についての本の続き。西洋から日本の庭の方に移行していきます。この本は、庭と建築の関係を空間の視点から論じているのが特徴で、西洋の空間にも目を配りつつ、日本の庭につい…

『庭園の詩学』

チャールズ・W・ムーア/ウィリアム・J・ミッチェル/ウィリアム・ターンブル・ジュニア有岡孝訳『庭園の詩学』(鹿島出版会 1995年) この本には、これまで読んだ庭園の本とは違うテイストがありました。タイトルどおり、詩的な着眼点がすばらしいこと、広…

岡崎文彬の二冊

岡崎文彬『ヨーロッパの名園』(朝日新聞社 1973年) 岡崎文彬『名園のはなし』(同朋舎出版 1985年) 引き続き岡崎文彬。前回の『ヨーロッパの造園』が概説とすれば、この二冊は、著者のお気に入りの庭園を個別に紹介した本。『名園のはなし』のなかで、「…

岡崎文彬『ヨーロッパの造園』

岡崎文彬『ヨーロッパの造園』(鹿島出版会 1975年) いつの頃からか、塔や聖堂、墓地、桃源郷などとともに、庭園に興味が出て、少しずつ古本を買い集めてきました。岡崎文彬の本が未読のまま3冊ありますので、少しずつ読んでいきます。先日読んだ独文・美学…

鼓常良『西洋の庭園』

鼓常良『西洋の庭園』(創元社 1961年) 針ヶ谷鐘吉、岡崎文彬らと並んで、日本人が西洋庭園のことを書いたかなり初期の書物です。 あとがきで、庭園の写真を集めるのに、ヨーロッパに留学している人の手を煩わせて、わざわざ撮影に行ってもらったり、現地の…

庭についての二冊

梅津忠雄『愛の庭―キリスト教美術探究』(日本基督教団出版局 1981年) ジャック・ブノワ=メシャン河野鶴代/横山正訳『人間の庭』(思索社 1985年) 庭という言葉がタイトルにある本を適当に選んだら、かなり色合いの異なる本が二冊並んでしまいました。『…

ジャン・ドリュモー『地上の楽園』

ジャン・ドリュモー西澤文昭/小野潮訳『楽園の歴史① 地上の楽園』(新評論 2000年) 前回に引き続き楽園についての本。これは楽園がどう誕生し、どう考えられてきたかを文献に基づいて歴史的に展望した書物です。全体の構成もしっかりしていて、この本を一冊…

マーリオ・ヤコービ『楽園願望』

マーリオ・ヤコービ松代洋一訳『楽園願望』(紀伊國屋書店 1988年) 今回と次回は、楽園についての本を取りあげます。まず、楽園願望をユング派精神分析の立場から解説したこの本から。歴史、文学、文化人類学の知見も交えながら、人間の本性を深く掘り下げ…

雑誌「is 特集:庭園」

「is 特集:庭園」(ポーラ文化研究所 1984年) 「is」は何冊か所持しております。執筆者に私好みの人が多く、また毎回取り上げられているテーマも面白そうですが、読んでおりませんでした。よく考えてみると、昔は忙しかったせいか雑誌はパラパラ見をするぐ…

「ユリイカ 特集:空中庭園」

「ユリイカ 特集:空中庭園」(青土社 1996年) 建築のテーマからの流れで、これからしばらく庭についての本を読みたいと思います。まず建築と庭の両要素を兼ね備えた空中庭園から。というのはバビロンにあったという空中庭園は幾重にも層をなした露壇に土を…

建築に関する本二冊

函 中 植田実『真夜中の家―絵本空間論』(住まいの図書館出版局 1989年) 澁澤龍彦『城―夢想と現実のモニュメント』(白水社 1981年) 異質な二冊ですが、建築関連で同時期に読んだので、一緒に取りあげました。『真夜中の家』は先日読んだ『真夜中の庭』の…

幻想の建築に関する二冊

坂崎乙郎『幻想の建築』(鹿島出版会 1969年) 「ユリイカ 特集:幻想の建築―〈空間〉と文学」(青土社 1983年) 「幻想の建築」という題のある本を二冊読んでみました。片方は、建築に関連した幻想美術について、塔、回廊、室内、庭園、牢獄、宮殿、大伽藍…

ウィル・ワイルズ『時間のないホテル』

ウィル・ワイルズ茂木健訳『時間のないホテル』(東京創元社 2017年) タイトルと表紙の絵に惹かれて購入した本。次元SFの一種ですが建築幻想小説のジャンルに入るものと思います。「あとがき」によると、著者は建築やデザイン畑のノンフィクション・ライタ…

高層ビル都市が舞台の小説二作品

ヤン・ヴァイス深見弾訳『迷宮1000』(創元推理文庫 1987年) JAN WEISS『la maison aux mille étages―L’humanité prise au piège(1000階の家―罠にかかった人類)』(MARABOUT 1967年) テア・フォン・ハルボウ秦豊吉譯『メトロポリス』(改造社 1928年) …

建物に関連した幻想文学についての二冊

「幻想文学48 特集:建築幻想文学館」(アトリエOCTA 1996年) 植田実『真夜中の庭―物語にひそむ建築』(みすず書房 2011年) 建築の本の続きですが、しばらく物語の世界に入って行きたいと思います。その道案内となる本を二冊読みました。「幻想文学48」は…