最近読んだ本

村山貞也『人はなぜ匂いにこだわるか』

村山貞也『人はなぜ匂いにこだわるか―知らなかった匂いの不思議』(KKベストセラーズ 1989年) 読み始めて、前回読んだ『匂い遊びの博物誌』に比べると、緻密で科学的な書きぶりだと思いましたが、それは最初の部分だけで、あとはきわめて文学的、事例の羅列…

高藤由明『匂い遊びの博物誌』

高藤由明『匂い遊びの博物誌』(現代出版 1986年) しばらく香りについての本を読みます。これはボードレールの詩に南洋の果実や香料の単語がたくさん出てきたので興味が湧いたからです。最初は読みやすそうな本からと思い、「メディアジャーナリスト」と紹…

川島昭夫の二冊

川島昭夫『植物園の世紀―イギリス帝国の植物政策』(共和国 2020年) 川島昭夫『植物と市民の文化』(山川出版社 1999年) ともに私の古本の師であり友人であった川島昭夫さんの本。『植物園の世紀』は遺著ですが、収められた論稿を実際に執筆した時期は1989…

山田兼士とヒドルストンのボードレール論

山田兼士『ボードレールの詩学』(砂子屋書房 2005年) J・A・ヒドルストン山田兼士訳『ボードレールと「パリの憂愁」』(沖積舎 1991年) これで、ボードレールについて書かれた単行本で私の所持しているものは最後です。今年1月から半年間ずっとボードレー…

ベンヤミン『ボードレール』

ヴァルター・ベンヤミン川村二郎/野村修/円子修平訳『ボードレール』(晶文社 1975年) そろそろボードレール関係の本を読むのにも疲れてきました。頭が朦朧としてきたのか、意味がつかめない文章がたくさんありました。とくに「セントラル・パーク」の箴言…

多田道太郎編『ボードレール 詩の冥府』

多田道太郎編『ボードレール 詩の冥府』(筑摩書房 1988年) 前回読んだ杉本秀太郎の論文を含め、9名のボードレール論が収められています。多田道太郎による「あとがき」によると、当初、多田と杉本それに途中で亡くなった大槻鉄男の三人でボードレールを読…

山村嘉己と杉本秀太郎のボードレール論

山村嘉己『遊歩道のボードレール』(玄文社 1986年) 杉本秀太郎「ボードレール」(『杉本秀太郎文粋1エロスの図柄―ボードレール/ピサネロまたは装飾論』所収)(筑摩書房 1996年) 二人の文章の印象がまるで違っているのは、ご本人の性格もあるでしょうが…

出口裕弘『ボードレール』と矢野峰人の「ボードレール」

出口裕弘『ボードレール』(紀伊國屋書店 1969年) 矢野峰人「ボードレール」(『欧米作家と日本近代文学 フランス篇』所収)(教育出版センター 1974年) 出口裕弘の『ボードレール』は読みだしてすぐ、以前読んでこのブログでも取り上げたことに気づきまし…

関川左木夫『ボオドレエル・暮鳥・朔太郎の詩法系列』

関川左木夫『ボオドレエル・暮鳥・朔太郎の詩法系列―「囈語」による《月に吠える》詩体の解明』(昭和出版 1982年) 関川左木夫については、このブログで一度、書物趣味と、ビアズレーの日本への影響に関する二冊の本を取り上げています(2015年5月27日記事…

佐藤正彰のボードレール関係二冊

佐藤正彰『ボードレール雑話』(筑摩書房 1974年) 佐藤正彰『ボードレール』(筑摩書房 1956年) これまで読んで来たボードレール関連本がどちらかと言えば全体像を概観したものであったのに対し、この二冊は主として研究史的な視点から書かれています。『…

齋藤磯雄『ボオドレエル研究』

齋藤磯雄『ボオドレエル研究』(三笠書房 1950年) 自らも『悪の華』を日夏耿之介風のゴシック浪漫詩体で訳している齋藤磯雄のボードレール論を読んでみました。本人のボードレールへの全面的な心酔がいたる所に感じられ、人柄が濃厚に感じられる読み物とな…

辰野隆『ボオドレエル研究序説』

辰野隆『ボオドレエル研究序説』(酣燈社 1951年) 20年前に一度読んだ本。まったく覚えていないので、新鮮な気持ちで読めました。前回読んだ矢野文夫/長谷川玖一『ボオドレエル研究』と比べて、文章が引き締まって理路整然としている印象があります。原詩を…

矢野文夫/長谷川玖一『ボオドレエル研究』

矢野文夫/長谷川玖一『ボオドレエル研究』(叢文閣 1934年) ボードレールについての本を続けて読んでいますが、いよいよ日本人の著作に移ります。時代的に古いと思われるものから。巻末に「ボオドレエル書誌」があり、それを見ると、ボードレールについての…

ポーとボードレールについての二冊

パトリック・F・クィン松山明生訳『ポオとボードレール』(北星堂書店 1978年) 島田謹二『ポーとボードレール―比較文學史研究』(イヴニング・スター社 1948年) たしか中学生の頃にポーとボードレールを読んで、ポーについては「盗まれた手紙」とかの推理…

ボードレール論3つ

ピエール・エマニュエル山村嘉己訳『ボードレール』(ヨルダン社 1973年) ピエール・ジャン・ジューヴ道躰章弘訳「ボードレールの墓」(『ボードレールの墓』せりか書房 1976年) フーゴー・フリードリヒ飛鷹節訳「ボードレール」(『近代詩の構造』人文書…

フランス文人のボードレール論

ヴァレリー佐藤正彰訳「ボードレールの位置」(『ヴァレリー全集7』筑摩書房 1973年) プルースト鈴木道彦訳「ボードレールについて」(『プルースト文芸評論』筑摩書房 1977年) ジャン=ピエール・リシャール有田忠郎訳「ボードレールの深さ」(『詩と深さ…

ドミニック・ランセ『ボードレール』

ドミニック・ランセ鈴木啓司訳『ボードレール―詩の現代性』(白水社 1992年) 文庫クセジュの薄い本ですが、概説書だけあって全般に目を届かせていて、かつ内容はしっかりしてとても充実しておりました。まず簡単に生涯を追い、次いで文学史上でボードレール…

ビュトール『ボードレール』

M・ビュトール高畠正明訳『ボードレール』(竹内書店 1970年) アンチ・ロマン作家によるボードレール論。さすがに作家らしく、評論として、とてもユニークな構成を採用していて、ボードレールが1856年3月13日に友人アスリノーに宛てた、前の晩に見た夢につ…

精神病理的観点からのボードレール論二冊

サルトル佐藤朔訳『ボードレール』(人文書院 1966年) 松井好夫『ボードレール―生涯と病理』(煥乎堂 1969年) 今回は、ボードレールの生涯を精神分析的視点で追った評論を読みました。サルトルのボードレール論は、詩作品にはほとんど触れず、手紙や覚書を…

ボードレール論二冊

ゴーティエ田邊貞之助譯『ボードレール論―附・ゴーティエ論』(創元社 1948年) アルベエル・チボオデ笹森猛正譯『ボオドレエル論』(白水社 1941年) 本国の人たちによるボードレール論。ゴーチェはボードレールと10歳上で親交があり、『悪の華』の献辞も受…

ボードレールの概説書二冊

セシェ/ベルトゥ齋藤磯雄訳『ボードレールの生涯』(立風書房 1972年) パスカル・ピア福永武彦訳『ボードレール』(人文書院 1966年) ボードレールについての本を読んでいこうと思いますが、まずは、海外の翻訳本から。ボードレールについての基本的な情報…

横張誠『侵犯と手袋』

横張誠『侵犯と手袋―「悪の華」裁判』(朝日出版社 1983年) ボードレールを続けて読もうと思いますが、手始めとして「悪の華」裁判に焦点を当てた本を取り上げました。「悪の華」詩篇が雑誌に掲載され始めてから、『悪の華』が出版され、裁判が終わるまでを…

フランス詩の本二冊

宇佐美斉『フランス詩 道しるべ』(臨川書店 1997年) 谷口正子『フランス詩の森―神を探した詩人たち』(国書刊行会 1999年) これからボードレールに関連した本を読んでいこうと思います。まずフランスの近代詩についての概説本から読んでみようと、無作為…

岩﨑昇一の詩集二冊

岩﨑昇一『無みする獣』(日本図書刊行会 1997年) 岩﨑昇一『藍染の家』(ふらんす堂 2011年) 以前、『無みする獣』を買ったとき、簡単な感想を書いたら、著者の方からお礼のコメントをいただきました(2014年10月18日記事参照)。今回、イロジスム(非論…

幻想美術の入門書

千足伸行監修、冨田章、新畑泰秀『すぐわかる画家別幻想美術の見かた』(東京美術 2004年) 本は手元にずっと置いておきたいという性分なので、ずっと図書館での貸し出しは利用しなくなっていましたが、最近ある用ができて他の本を借りたときに目に留まった…

土方巽の4冊

函中 土方巽『病める舞姫』(白水社 1983年) 土方巽/合田成男ほか「極端な豪奢・土方巽リーディング」(UPU 1985年) 土方巽『美貌の青空』(筑摩書房 1987年) 土方巽/筆録吉増剛造『慈悲心鳥がバサバサと骨の羽を拡げてくる』(書肆山田 1992年) 前回読…

吉岡実の詩集二冊

『吉岡実詩集』(思潮社 1968年) 『新選吉岡実詩集』(思潮社 1978年) 引き続いてイロジスムの詩、これも学生時分に心酔していた吉岡実です。シュルレアリスム詩と言えばいいのでしょうか、その手の難しさがあります。初期の詩について本人も北園克衛が格…

谷川雁『大地の商人』

谷川雁『大地の商人』(母音社 1954年) イロジスム(非論理性)の観点から詩を読んでいます。前回取り上げた石原吉郎と同様、若き日情熱を燃やした谷川雁の詩を再読してみました。この本は最近、と言っても今から10年ほど前に買ったものです。昔読んでいた…

石原吉郎の三冊

「現代詩読本 石原吉郎」(思潮社 1978年) 『石原吉郎詩集』(思潮社 1969年) 『新選石原吉郎詩集』(思潮社 1979年) 日本の現代詩の続き。イロジスムの観点から、高木敏次や貞久秀紀の先達である詩人たちを読んでいきたいと思います。まずは石原吉郎から…

イロジスムの詩集二冊

髙木敏次『私の男』(思潮社 2015年) 『貞久秀紀詩集』(思潮社 2015年) 定年後に、学生時分によく読んでいた日本の現代詩をまた読み始めましたが、なかなか昔のようには心に突き刺さるような詩が見当たりません。私の知らないだけで、なかには気に入る詩…