最近読んだ本

中平解の回顧随筆二冊

中平解『霧の彼方の人々』(清水弘文堂 1991年) 中平解『冬の没(い)りつ日』(清水弘文堂 1993年) 前回読んだ『フランス語學新考』の戦前の文章と比べると書き方がずいぶんやさしくなっています。中平解が晩年に人生を振り返って、主に人との交流の思い…

中平解『フランス語學新考』

中平解『フランス語學新考 改訂版』(三省堂 1943年) 著者が1935年に最初に書いた本の改訂版。この後、もう一度改訂しているようです。初歩の文法では些末なこととしてあまり説明されないが、実際の読書ではひっかかるような27の表現を取りあげて、本国の文…

中平解のフランス動植物随筆二冊

中平解『風流鳥譚―言語学者とヒバリ、その他』(未来社 1983年) 中平解『鰻のなかのフランス』(青土社 1983年) この二冊は、中平解のなかでは、『郭公のパン』と並んで、かなりまともな随筆の部類ではないでしょうか。『語源漫筆』や『フランス語博物誌』…

中平解『フランス文学にあらわれた動植物の研究』

中平解『フランス文学にあらわれた動植物の研究』(白水社 1981年) フランスの小説からの原文の引用が大半を占め、550ページもあるうえに細かい字で印刷された大部の書。いつもフランス書を読む時間枠を使って何とか読み終えました。引用している文章は比較…

中平解のフランス語語源解説4冊

中平解『フランス語語源漫筆』(大学書林 1958年) 中平解『フランス語語源漫筆(2)』(大学書林 1961年) 中平解『フランス語博物誌〈植物篇〉』(八坂書房 1988年) 中平解『フランス語博物誌〈動物篇〉』(八坂書房 1988年) 中平解の語源随筆の続きです…

中平解の語学随筆二冊

中平解『言葉―風土と思考』(芳文堂 1943年) 中平解『郭公のパン―ことばの随筆』(大修館書店 1955年) 先日読んだ『日本の名随筆 香』のなかの中平解「フランス文学と花」を読んで、フランスの小説がたくさん引用されていたのに驚いたので、しばらく中平解…

朱 捷『においとひびき』

朱 捷『においとひびき―日本と中国の美意識をたずねて』(白水社 2001年) 引き続き香りについての本。今回は、中国人で日本在住の研究者が、日本の匂いと中国の響きに関する感じ方考え方の比較を行ったものです。来日して、「におい」に関する微妙な使い方…

北原白秋晩年の二冊

北原白秋「香ひの狩猟者」(『白秋全集23』〔岩波書店 1986年〕所収) 北原白秋『薄明消息』(アルス 1946年) 先日読んだ塚本邦雄編『香―日本の名随筆48』に収められていた白秋の文章がすばらしかったので、「香ひの狩猟者」を読み、さらに同時期に書かれた…

塚本邦雄絡み、香りの本二冊

塚本邦雄『芳香領へ―香気への扉』(ポーラ文化研究所 1983年) 塚本邦雄編『香―日本の名随筆48』(作品社 1988年) 塚本邦雄が香りについて書いた本と、塚本邦雄が香りに関する随筆を編集した本の二冊です。『芳香領へ』は、芳香の花、悪臭の花、香辛料とな…

コンスタンス・クラッセンほか『アローマ―匂いの文化史』

コンスタンス・クラッセン、デイヴィッド・ハウズ、アンソニー・シノット時田正博訳『アローマ―匂いの文化史』(筑摩書房 1997年) 香りについてこれまで読んできたなかでは、好事家的な興味だけでなく、幅広い視野を持ち、人間生活との関係を歴史的社会的に…

香りについての二冊

山田憲太郎『香談―東と西』(法政大学出版局 1981年) 諸江辰男『香りの歳時記』(東洋経済新報社 1985年) 山田憲太郎は小川香料、諸江辰男は高砂香料と、ともに香料会社に勤務していた方で、山田憲太郎は22年勤務の後に大学での研究の道に進み、諸江辰男は…

村山貞也『人はなぜ匂いにこだわるか』

村山貞也『人はなぜ匂いにこだわるか―知らなかった匂いの不思議』(KKベストセラーズ 1989年) 読み始めて、前回読んだ『匂い遊びの博物誌』に比べると、緻密で科学的な書きぶりだと思いましたが、それは最初の部分だけで、あとはきわめて文学的、事例の羅列…

高藤由明『匂い遊びの博物誌』

高藤由明『匂い遊びの博物誌』(現代出版 1986年) しばらく香りについての本を読みます。これはボードレールの詩に南洋の果実や香料の単語がたくさん出てきたので興味が湧いたからです。最初は読みやすそうな本からと思い、「メディアジャーナリスト」と紹…

川島昭夫の二冊

川島昭夫『植物園の世紀―イギリス帝国の植物政策』(共和国 2020年) 川島昭夫『植物と市民の文化』(山川出版社 1999年) ともに私の古本の師であり友人であった川島昭夫さんの本。『植物園の世紀』は遺著ですが、収められた論稿を実際に執筆した時期は1989…

山田兼士とヒドルストンのボードレール論

山田兼士『ボードレールの詩学』(砂子屋書房 2005年) J・A・ヒドルストン山田兼士訳『ボードレールと「パリの憂愁」』(沖積舎 1991年) これで、ボードレールについて書かれた単行本で私の所持しているものは最後です。今年1月から半年間ずっとボードレー…

ベンヤミン『ボードレール』

ヴァルター・ベンヤミン川村二郎/野村修/円子修平訳『ボードレール』(晶文社 1975年) そろそろボードレール関係の本を読むのにも疲れてきました。頭が朦朧としてきたのか、意味がつかめない文章がたくさんありました。とくに「セントラル・パーク」の箴言…

多田道太郎編『ボードレール 詩の冥府』

多田道太郎編『ボードレール 詩の冥府』(筑摩書房 1988年) 前回読んだ杉本秀太郎の論文を含め、9名のボードレール論が収められています。多田道太郎による「あとがき」によると、当初、多田と杉本それに途中で亡くなった大槻鉄男の三人でボードレールを読…

山村嘉己と杉本秀太郎のボードレール論

山村嘉己『遊歩道のボードレール』(玄文社 1986年) 杉本秀太郎「ボードレール」(『杉本秀太郎文粋1エロスの図柄―ボードレール/ピサネロまたは装飾論』所収)(筑摩書房 1996年) 二人の文章の印象がまるで違っているのは、ご本人の性格もあるでしょうが…

出口裕弘『ボードレール』と矢野峰人の「ボードレール」

出口裕弘『ボードレール』(紀伊國屋書店 1969年) 矢野峰人「ボードレール」(『欧米作家と日本近代文学 フランス篇』所収)(教育出版センター 1974年) 出口裕弘の『ボードレール』は読みだしてすぐ、以前読んでこのブログでも取り上げたことに気づきまし…

関川左木夫『ボオドレエル・暮鳥・朔太郎の詩法系列』

関川左木夫『ボオドレエル・暮鳥・朔太郎の詩法系列―「囈語」による《月に吠える》詩体の解明』(昭和出版 1982年) 関川左木夫については、このブログで一度、書物趣味と、ビアズレーの日本への影響に関する二冊の本を取り上げています(2015年5月27日記事…

佐藤正彰のボードレール関係二冊

佐藤正彰『ボードレール雑話』(筑摩書房 1974年) 佐藤正彰『ボードレール』(筑摩書房 1956年) これまで読んで来たボードレール関連本がどちらかと言えば全体像を概観したものであったのに対し、この二冊は主として研究史的な視点から書かれています。『…

齋藤磯雄『ボオドレエル研究』

齋藤磯雄『ボオドレエル研究』(三笠書房 1950年) 自らも『悪の華』を日夏耿之介風のゴシック浪漫詩体で訳している齋藤磯雄のボードレール論を読んでみました。本人のボードレールへの全面的な心酔がいたる所に感じられ、人柄が濃厚に感じられる読み物とな…

辰野隆『ボオドレエル研究序説』

辰野隆『ボオドレエル研究序説』(酣燈社 1951年) 20年前に一度読んだ本。まったく覚えていないので、新鮮な気持ちで読めました。前回読んだ矢野文夫/長谷川玖一『ボオドレエル研究』と比べて、文章が引き締まって理路整然としている印象があります。原詩を…

矢野文夫/長谷川玖一『ボオドレエル研究』

矢野文夫/長谷川玖一『ボオドレエル研究』(叢文閣 1934年) ボードレールについての本を続けて読んでいますが、いよいよ日本人の著作に移ります。時代的に古いと思われるものから。巻末に「ボオドレエル書誌」があり、それを見ると、ボードレールについての…

ポーとボードレールについての二冊

パトリック・F・クィン松山明生訳『ポオとボードレール』(北星堂書店 1978年) 島田謹二『ポーとボードレール―比較文學史研究』(イヴニング・スター社 1948年) たしか中学生の頃にポーとボードレールを読んで、ポーについては「盗まれた手紙」とかの推理…

ボードレール論3つ

ピエール・エマニュエル山村嘉己訳『ボードレール』(ヨルダン社 1973年) ピエール・ジャン・ジューヴ道躰章弘訳「ボードレールの墓」(『ボードレールの墓』せりか書房 1976年) フーゴー・フリードリヒ飛鷹節訳「ボードレール」(『近代詩の構造』人文書…

フランス文人のボードレール論

ヴァレリー佐藤正彰訳「ボードレールの位置」(『ヴァレリー全集7』筑摩書房 1973年) プルースト鈴木道彦訳「ボードレールについて」(『プルースト文芸評論』筑摩書房 1977年) ジャン=ピエール・リシャール有田忠郎訳「ボードレールの深さ」(『詩と深さ…

ドミニック・ランセ『ボードレール』

ドミニック・ランセ鈴木啓司訳『ボードレール―詩の現代性』(白水社 1992年) 文庫クセジュの薄い本ですが、概説書だけあって全般に目を届かせていて、かつ内容はしっかりしてとても充実しておりました。まず簡単に生涯を追い、次いで文学史上でボードレール…

ビュトール『ボードレール』

M・ビュトール高畠正明訳『ボードレール』(竹内書店 1970年) アンチ・ロマン作家によるボードレール論。さすがに作家らしく、評論として、とてもユニークな構成を採用していて、ボードレールが1856年3月13日に友人アスリノーに宛てた、前の晩に見た夢につ…

精神病理的観点からのボードレール論二冊

サルトル佐藤朔訳『ボードレール』(人文書院 1966年) 松井好夫『ボードレール―生涯と病理』(煥乎堂 1969年) 今回は、ボードレールの生涯を精神分析的視点で追った評論を読みました。サルトルのボードレール論は、詩作品にはほとんど触れず、手紙や覚書を…