2018-01-01から1年間の記事一覧
Marcel Brion『L’ermite au masque de miroir』(Albin Michel 1982年) 前回読んだ『Le Journal du visiteur(訪問者の日記)』よりさらに晩年の作。RomanでもRécitでもなく、Capriccioと銘うたれているとおり、脈絡が茫洋としたものになっています。『Le J…
先週日曜日、大阪古書会館の全大阪古書ブックフェアに行ってまいりました。古本仲間の忘年会に合わせたため、最終日のしかも閉会間際となったにもかかわらず、けっこういい買い物ができました。まず、寸心堂ではフランス書がたくさん出ていて、その中から下…
佐藤和夫『海を越えた俳句』(丸善ライブラリー 1991年) 海外で作られている俳句というかハイクについて書いた本。著者は英文学がご専門で比較文学の研究者。長年、海外でのハイク活動に関わり、みずからも俳句を作られるだけあって、海外の俳句の動きにつ…
鶴岡善久『超現実主義と俳句』(沖積舎 1998年) 12年前に一度読んだ本の再読。といってもほとんど覚えていないので、初めて読むのと同じ。俳人20人の一人一人について、シュルレアリスムとのかかわりあいの視点から鑑賞したもの。各人の俳句について代表作…
/// 嶋岡晨『イメージ比喩―俳句創作百科』(飯塚書店 1996年) 嶋岡晨『詩のある俳句』(飯塚書店 1994年) 短詩の次は、詩人の書いた俳句の本。イメージや比喩という詩の理論を援用して、詩人の目で俳句を見るとどうなるか期待して読みました。結論から言う…
篠原資明『心にひびく短詩の世界』(講談社現代新書 1996年) 以前から短詩に興味がありましたが、俳句や短歌の本はたくさん出ていても、短詩に関してまとまった本があまり見当たりませんでした。この本は広く日本の詩人の作品のなかから短詩を拾い出して、…
昔勤めていた部署のゴルフ会に呼ばれて、東京へ行ったついでに、昨日、神保町の和洋会と高円寺の西部展を覗いてまいりました。昔は二つも古本市を回れば、リュックがはち切れるほど満杯になっていたのに、今回は7冊。歳のせいですかな。 神保町和洋会では、…
「ユリイカ 総特集―ステファヌ・マラルメ」(青土社 1986年) 440頁もある大部の本で、いろんな人がいろんな角度からマラルメを論じています。なかには、本人も自分で何を書いているのか本当に分かっているのかと首を傾げるような意味不明な論文もけっこうあ…
Marcel Brion『Le journal du visiteur』(Albin Michel 1980年) マルセル・ブリヨン最晩年84歳のときの作品です。もともとブリヨンの小説は、展開が少なく冗長な印象がありますが、この小説はとくに、年寄りからくどい話を聞かされるように、少しずつ変化…
恐ろしいことに、音楽の話題から、1年半以上も遠ざかっておりました。コンサートにまったく行かなかったわけではありませんが、タイミングを失して書きそびれてしまいました。CDでは、相変わらず19世紀のチェロ音楽を中心に聴いておりました。前回、「フィッ…
渡辺守章訳『マラルメ詩集』(岩波文庫 2014年) 岩波文庫のマラルメ詩集は鈴木信太郎というのが学生の頃からの定番でしたが、ついに世代交代しました。新刊書店にあまり行かなくなったので、ついぞ知らぬままに過ごしていました。時々は岩波文庫棚を見てい…
/// ステファヌ・マラルメ秋山澄夫訳『イジチュールまたはエルベノンの狂気』(思潮社 1976年) ステファヌ・マラルメ長谷川四郎訳『マラルメ先生のマザー・グース』(晶文社 1977年) マラルメ詩集に続いて、マラルメ詩作品及び詩の解説本。両者はともにマ…
昨日、秋晴れのなか、百万遍秋の古本まつりの初日に行ってまいりました。出町柳から会場に向かう途中の臨川書店で、さっそく収穫あり。とにかく破格の値段。ほとんどが100円から300円ぐらいまで。RACHILDEはたくさん出ていましたが、とても持ち切れないので1…
/// 鈴木信太郎訳『マラルメ詩集』(岩波文庫 1991年) 加藤美雄訳『マラルメ詩集』(関西大学出版部 1987年) ヴァレリーが言うように、マラルメは音韻が重要ということになると、訳詩だけを読んでいては、半分も理解できないということになりますが、訳詩…
/// 福井芳男/丸山圭三郎『ボンジュール パリ―フランス語のこころ』(三修社 1977年) 小林正『フランス語の話し方』(大修館書店 1984年) パリへ行く前に読もうとした本です。『フランス語の話し方』は行きの機内で読む予定でしたが、ゴルフゲームに熱中し…
ALBERT SAMAIN『AUX FLANCS DU VASE』(GEORGES CRÈ ET Cie 1914年) サマンを読むのは、短篇集『Contes(物語)』以来二冊目(2017年8月10日記事参照)。サマンの生前出版された第二作品集の再刊です。25篇の本編と、付録として、この詩集のために書かれた…
しばらくお休みをいただいていたのは、家内と家内の姉を連れて、パリへ観光に行っていたからです。ヨーロッパは初めてという姉に短時間でパリの名所を案内しようと、かなりハードなスケジュールを組みました。モン・サン・ミシェル一日、ヴェルサイユ宮殿ほ…
/// ステファヌ・マラルメ松室三郎訳『詩と散文』(筑摩書房 1989年) ステファヌ・マラルメ岩田駿一訳『ヴィリエ・ド・リラダン』(東京森開社 1977年) マラルメについての本ばかり読んできましたが、マラルメ本人の作品に移ります。他にもマラルメについ…
山梨俊夫ほか『プーシキン美術館展―旅するフランス風景画』(朝日新聞社 2018年) 今回は番外編と言ってもいいぐらいで、美術に関する話題。先日、奈良日仏協会で美術鑑賞会を開催した際に訪れた展覧会とカタログの感想です。 私のベスト7は、クロード・ロラ…
jean louis bouquet『MONDES NOIRS』(UNION GENERALE D’EDITIONS 1980年) 初めてパリのブラッサンス広場古本市へ行った時に買った本。この本を買うときに、店の人が「この本は面白い。いい作家だ」と聞きもしないのに喋ってきたことを覚えています。ブーケ…
ギィ・ミショー田中成和訳『ステファヌ・マラルメ』(水声社 1993年) 本国の方のマラルメ論を読んでみました。訳文はきわめて読みやすく、二段組280頁という比較的大部の本ですが早く読めました。この本は、著者も自認しているように、執筆当時全盛を誇って…
前回古本報告から1ヵ月近く経ったので、冊数は少ないですが月例報告といたします。特筆すべきは、先月下旬に秋田へ大曲の花火大会を見に行ったついでに、古本友だちと秋田市の古本屋に行ったこと。ただ残念ながら体力も時間もなかったので、市内中心部に限ら…
柏倉康夫『マラルメ探し』(青土社 1992年) 柏倉康夫の三冊目。三冊のなかでは、いちばんマラルメ詩の秘密に接近しているように思えました。とくに、マラルメの詩のあり方の基礎を作った若き日の詩作について、詳細に語られていました。詩のテクストの異同…
柏倉康夫『パリの詩・マネとマラルメ』(筑摩書房 1982年) この本は、前回読んだ『マラルメの火曜会』より前に書かれた本で、この本の結末の文章には、「マラルメの火曜会」について将来書くことを予告するような文章がありました。読む順序が逆だったよう…
柏倉康夫『マラルメの火曜会―世紀末パリの芸術家たち』(丸善株式会社 1994年) これからしばらくマラルメ関係の本を読むつもりですが、いちばん読みやすそうなこの本から。この著者については以前『マラルメの「大鴉」』というのを読んだことがあります。 …
/// 谷崎精二訳『エドガア アラン ポオ全集5』(春秋社 1970年) エドガ・A・ポオ吉田健一譯『マルジナリア』(創元社 1948年) マラルメを読もうと思っていますが、その前に彼に多大な影響をあたえたと言われているポーの詩論を中心に、評論を読んでみまし…
G・O・CHÂTEAUREYNAUD『La Belle Charbonnière』(Bernard Grasset 1976年) 『Les Messagers(使者)』に引き続き読んでみましたが、期待にたがわず、ますますシャトレイノーが好きになりました。いろんな趣向の短篇が10篇集められています。いずれもどこか…
昨日、下鴨納涼古本まつりの初日に行ってまいりました。「納涼」の意味を解しかねるほどの暑さで、参ってしまいました。10時ジャストに到着して、いちばん端の福田屋書店の均一棚をちらっと見て、新しい本しか見えなかったので素通りしましたが、これが失敗…
ウィリアム・エンプソン岩崎宗治訳『曖昧の七つの型』(研究社 1980年) この本を読んだのは、この本のタイトルに惹かれたからで、象徴主義との関連のことが書かれてるのではという興味からです。ずいぶん昔に博学の友人からこの本の存在を教えてもらって以…
新倉俊一『ノンセンスの磁場』(れんが書房新社 1980年) この本は、20年近く前に一度読んだことがあります。このところ、ことば遊びの本を読んでいるうちに、ノンセンス詩についてまた興味が湧いたため再読してみました。もちろん内容はほとんど覚えており…