最近読んだ本・フランス書

Rachilde『LA FEMME AUX MAINS D’IVOIRE』(ラシルド『象牙の手をした女』)

Rachilde『LA FEMME AUX MAINS D’IVOIRE』(J.FERENCZI ET FILS 1937年) 原著は1929年刊ですが、「LE LIVRE MODERNE ILLUSTRÉ」というシリーズでの再刊本。このシリーズは、数冊所持していますが、少し幅広の判型で表紙のデザインも統一され、版画の挿画が…

J.-H.Rosny ainé『L’ÉNIGME DE GIVREUSE』(J=H・ロニー兄『ジヴリューズの謎』)

J.-H.Rosny ainé『L’ÉNIGME DE GIVREUSE suivi de LA HAINE SURNATURELLE』(Bibliothèque nationale de France 2017年) フランスSFの祖の一人と言われるロニー兄の作品を読んでみました。これまで『フランス幻想文学傑作選3』(白水社)や『19世紀フランス…

Frédérick Tristan『Dieu, l’Univers et madame Berthe』(フレデリック・トリスタン『神と宇宙とベルト夫人』)

Frédérick Tristan『Dieu, l’Univers et madame Berthe』(FAYARD 2002年) 10年ほど前のパリ古本ツアーで、ジベール・ジョゼフ書店で買ったもの。フレデリック・トリスタンを読むのは初めて。たぶんトリスタン作品は一篇も翻訳が出てないはずです。名前を知…

LÉON-PAUL FARGUE『haute solitude』(レオン=ポール・ファルグ『気高い孤独』)

LÉON-PAUL FARGUE『haute solitude』(GALLIMARD 1982年) 珍しくパリで新刊で買った本。原著は、1941年刊。何かの本で高い評価がされていたので、読んでみましたが、読み始めた途端、この本を選ぶのではなかったと後悔しました。散文詩なのでとてつもなく難…

G.-O.CHÂTEAUREYNAUD『LA FACULTÉ DES SONGES』(シャトレイノー『夢見大学』)

GEORGES-OLIVIER CHÂTEAUREYNAUD『LA FACULTÉ DES SONGES』(France-Loisirs 1983年) 引き続き、シャトレイノーを読みました。長編で、本作でルノードー賞というのを受けています。幻想小説ではなく普通の小説の体裁をしていますが、変わった味わいを醸し出…

Châteaureynaud『Le Jardin dans l’île』(シャトレイノー『島の庭園』)

Georges-Olivier Châteaureynaud『Le Jardin dans l’île et autres nouvelles』(Librio 1996年) 久しぶりにシャトレイノーを読みました。シャトレイノーを読んだのはこれで7冊目。この短篇集は、比較的初期の短篇集で、10篇の作品が収められていますが、『…

marcel béalu『PASSAGE DE LA BÊTE』(マルセル・ベアリュ『獣道』)

marcel béalu『PASSAGE DE LA BÊTE』(pierre belfond 1969年) 続いて、マルセル・ベアリュ。今回は、あまり気持ちのいい読書ではありませんでした。冒頭しばらくは落ち着いた筆致で、たまに洗練された表現が出てきて期待を抱きましたが、途中から一転、夫…

MARCEL BÉALU『la grande marée』(マルセル・ベアリュ『大潮』)

カバー 中 MARCEL BÉALU『la grande marée』(belfond 1973年) 6年ほど前、セーヌ河岸の古本屋で買ったもの。フランスの本にしては珍しくカバーがかかっています。ベアリュは、短篇集『水蜘蛛』を翻訳で読んで以来、『Mémoires de l’ombre(影の記憶)』な…

CATULLE MENDÈS『ZO’HAR』(カチュール・マンデス『ゾハール』)

CATULLE MENDÈS『ZO’HAR―ROMAN CONTEMPORAIN』(G.CHARPENTIER 1886年) 文学史や評論などで、よく名前を目にするカチュール・マンデスを読んでみました。4年ほど前に、神田の田村書店で購入したもの。そう言えばコロナのせいで、神田にもずっと行けてません…

NOËL DEVAULX『LA DAME DE MURCIE』(ノエル・ドゥヴォー『ムルシアの貴婦人』)

NOËL DEVAULX『LA DAME DE MURCIE』(GALLIMARD 1987年) 私の愛でるフランス幻想小説の一群のなかに、また新たな作家がつけ加わりました。前回、マルセル・ブリヨンの記事でも触れた『現代フランス幻想小説』というアンソロジーで、表題作「ムルシアの貴婦…

marcel brion『l’ombre d’un arbre mort』(マルセル・ブリヨン『枯木の木蔭』)

marcel brion『l’ombre d’un arbre mort』(albin michel 1970年) ブリヨンの比較的後期の長編小説。これでウィキペディアに載っている小説19篇のうち、残すのは初期の『Un enfant de la terre et du ciel(地と空の子)』と没後編まれたらしき『Ivre d’un …

Maurice Pons『Le passager de la nuit』(モーリス・ポンス『夜の同乗者』)

Maurice Pons『Le passager de la nuit』(Points 2017年) 引き続き、モーリス・ポンスを読みました。1959年に書かれた初期の作品です。前回読んだ『La passion de Sébastien N.』(1968年)に比べて、こちらは一転してまっとうな小説。共通点は、車が主人…

Maurice Pons『La passion de Sébastien N.―Une histoire d’amour』(モーリス・ポンス『セバスチャン・Nの情熱―愛の物語』)

Maurice Pons『La passion de Sébastien N.―Une histoire d’amour』(Denoël 1968年) 久しぶりにモーリス・ポンスを読みます。ポンスを読むのは、これでたぶん翻訳1冊を含めて11冊目になります(このページの検索欄で「Maurice Pons」で検索してみてくださ…

ANDRÉ DHÔTEL『Les voyages fantastiques de JULIEN GRAINEBIS』(アンドレ・ドーテル『ジュリアン・グレヌビスの不思議な旅』)

ANDRÉ DHÔTEL『Les voyages fantastiques de JULIEN GRAINEBIS』(PIERRE HORAY 1958年) アンドレ・ドーテルは、大学時代に三笠書房から出ていた『遥かなる旅路(LE PAYS OÛ L’ON N’ARRIVE JAMAIS)』を翻訳で読み好きになった作家です。それで15年ほど前に…

GÉRARD PRÉVOT『L’INVITÉE DE LORELEI』(ジェラール・プレヴォ『ローレライからの招待』)

GÉRARD PRÉVOT『L’INVITÉE DE LORELEI』(FLEUVE NOIR 1999年) プレヴォの長篇3つ、短篇23、それに日記断片が収められている総ページ数635の大部の本。このうち短篇の19は『LE SPECTRE LARGE(大きい幽霊)』(2015年11月19日記事)で読んでいたので省略。…

BRUNO GAY-LUSSAC『Dialogue avec une ombre』(ブリュノ・ゲー=リュサック『影との対話』)

BRUNO GAY-LUSSAC『Dialogue avec une ombre』(GALLIMARD 1972年) ゲー=リュサックの本はこれで二冊目です。前に読んだ『L’AUTRE VISITE(他者の訪れ)』(2015年10月15日記事参照)と同様、難しい単語も少なく平明なフランス語で、現在形で淡々と語られ…

JEAN-PIERRE BOURS『celui qui pourrissait』(ジャン・ピエール・ブール『腐っていった男』)

JEAN-PIERRE BOURS『celui qui pourrissait』(marabout 1977年) 5年ほど前、パリの幻想小説・SF専門古書店「L’amour du NOIR」で大量買いした中の一冊。あまり聞いたことのない作家ですが、1977年のジャン・レイ賞を受賞した人で、本業は弁護士のようです…

MICHEL DE GHELDERODE『SORTILÈGES et autres contes crépsculaires』(ミシェル・ド・ゲルドロード『魔法―薄明物語集』)

MICHEL DE GHELDERODE『SORTILÈGES et autres contes crépsculaires』(bibliothèque marabout 1962年) 大学時代に買った本。単語の意味を余白に丁寧に書き込んでいて、読もうと努力したあとが見えます。がそれもあえなく数ページで挫折しているのが可愛ら…

MAURICE MAGRE『CONFESSIONS』(モーリス・マグル『告白録』)

MAURICE MAGRE『CONFESSIONS―SUR LES FEMMES, L’AMOUR, L’OPIUM, L’IDÉAL, ETC... (告白録―女性、愛、阿片、理想など)』(BIBLIOTHÈQUE-CHARPENTIER 1930) マグルの晩年(といっても64歳の生涯で53歳のとき)の回想録。25篇からなり、前半は、若き日の作…

CLAUDE SEIGNOLLE『HISTOIRES MALÉFIQUES』(クロード・セニョール『不吉な物語』)

CLAUDE SEIGNOLLE『HISTOIRES MALÉFIQUES』(marabout 1965年) 久しぶりに、クロード・セニョールを読みました。中篇、短篇取りまぜて、14篇収められています。中篇「Le rond des sorciers(呪術師たちの輪舞)」は、フランス語で既読なので今回読まず(201…

HENRI DE RÉGNIER『L’ESCAPADE』(アンリ・ド・レニエ『束の間の逃避行』)

HENRI DE RÉGNIER『L’ESCAPADE』(MERCURE DE FRANCE 1926年) 5年ほど前、パリのブラッサンス公園の古本市で買った本。レニエの後期の長編小説です。人物造形、ストーリー展開、話を面白くするような筆運びなど、ハーレクイン・ロマンスのような大衆小説の…

DANIEL MALLINUS『MYRTIS et autres histoires de nuit et de peur』(ダニエル・マリニュス『ミルティス―夜と恐怖の物語集』)

DANIEL MALLINUS『MYRTIS et autres histoires de nuit et de peur』(marabout 1973年) この本は昔の思い出深いパリ古本ツアーで、「L’Amour du Noir」という店を見つけて爆買いをしたうちの1冊(2012年7月16日記事参照)。 Maraboutの幻想小説叢書はライ…

Jacques Sternberg『Le coeur froid』(ジャック・ステルンベルグ『冷酷』)

Jacques Sternberg『Le coeur froid』(CHRISTIAN BOURGOIS 10/18 1973年) ジャック・ステルンベルグは、シュネデールの『フランス幻想文学史』でもバロニアンの『フランス幻想文学展望』でも取り上げられている作家ですが、いずれにもこの作品への言及はあ…

Jean Lorrain『LES LÉPILLIER』(ジャン・ロラン『レピリエ一家』)

Jean Lorrain『LES LÉPILLIER』(DU LÉROT 1999年) 長編「Les Lépillier」と、4つの短編「Madame Herbaud(エルボー夫人)」、「Un coup de fusil(発砲)」、「Dans un boudoir(婦人部屋にて)」、「Installation(引っ越し)」が収められています。初版…

Jean Lorrain『MA PETITE VILLE―SOUVENIRS DE PÉRONNE』(ジャン・ロラン『私の小さな町―ペロンヌの思い出』)

Jean Lorrain『MA PETITE VILLE―SOUVENIRS DE PÉRONNE』(la Vague verte 2003年) 『Venise』に引き続いて、土地にまつわる思い出の書を読んでみました。1898年に300部のみ出版されたものの改訂版で、80ページほどの小冊子。「Ma Petite Ville」、「Le Mira…

Jean Lorrain『Venise』(ジャン・ロラン『ヴェニス』)

Jean Lorrain『Venise』(La Bibliothèque 1997年) 今回は、90ページほどの薄っぺらい本ですが、やたらとイタリア語やヴェニスの建物の固有名詞が出てくるので読みにくい。1905年に「絵入り雑誌」に寄稿したヴェニスについてのエッセイと、1898年から1904年…

marcel brion『nous avons traversé la montagne』(マルセル・ブリヨン『われわれはその山を通り抜けた』)

marcel brion『nous avons traversé la montagne』(albin michel 1972年) 引き続いてブリヨンを読みました。前回読んだ『Les Vaines Montagnes(辿り着けぬ峰々)』の序文で、奥さんのLiliane Brionが本作に言及して、ブリヨンの最上作品のひとつと書いて…

Marcel Brion『Les Vaines Montagnes』(マルセル・ブリヨン『辿り着けぬ峰々』)

Marcel Brion『Les Vaines Montagnes』(Albin Michel 1985年) 久しぶりにまたブリヨンを読んでみました。これで17冊目。Vaines Montagnesの訳が難しい。単純に訳すと「虚しい山々」となりますが、これでは意味がよく分からないし、山というのが平凡すぎま…

ROLAND DORGELÈS『Le château des brouillards』(ロラン・ドルジュレス『霧の館』)

ROLAND DORGELÈS『Le château des brouillards』(Le Livre de Poche 1962年) 生田耕作旧蔵書。ロラン・ドルジュレスの作品は日本でも翻訳がいくつか出ているようです。何かの本で、ネルヴァルが収容されていた精神病院の建物が舞台になっていると読んだよ…

CLAUDE FARRÈRE『L’Homme qui assassina』(クロード・ファレール『殺した男』)

CLAUDE FARRÈRE『L’Homme qui assassina』(PAUL OLLENDORFF 1915年?) クロード・ファレールの本はこれまで5冊読んでいて、今回読むのは5年ぶり。文章がとても分かりやすいので気に入っています。難しい単語も、ときどきトルコ語らしき意味不明の語が出て…