最近読んだ本・フランス書

HENRI DE RÉGNIER『L’ESCAPADE』(アンリ・ド・レニエ『束の間の逃避行』)

HENRI DE RÉGNIER『L’ESCAPADE』(MERCURE DE FRANCE 1926年) 5年ほど前、パリのブラッサンス公園の古本市で買った本。レニエの後期の長編小説です。人物造形、ストーリー展開、話を面白くするような筆運びなど、ハーレクイン・ロマンスのような大衆小説の…

DANIEL MALLINUS『MYRTIS et autres histoires de nuit et de peur』(ダニエル・マリニュス『ミルティス―夜と恐怖の物語集』)

DANIEL MALLINUS『MYRTIS et autres histoires de nuit et de peur』(marabout 1973年) この本は昔の思い出深いパリ古本ツアーで、「L’Amour du Noir」という店を見つけて爆買いをしたうちの1冊(2012年7月16日記事参照)。 Maraboutの幻想小説叢書はライ…

Jacques Sternberg『Le coeur froid』(ジャック・ステルンベルグ『冷酷』)

Jacques Sternberg『Le coeur froid』(CHRISTIAN BOURGOIS 10/18 1973年) ジャック・ステルンベルグは、シュネデールの『フランス幻想文学史』でもバロニアンの『フランス幻想文学展望』でも取り上げられている作家ですが、いずれにもこの作品への言及はあ…

Jean Lorrain『LES LÉPILLIER』(ジャン・ロラン『レピリエ一家』)

Jean Lorrain『LES LÉPILLIER』(DU LÉROT 1999年) 長編「Les Lépillier」と、4つの短編「Madame Herbaud(エルボー夫人)」、「Un coup de fusil(発砲)」、「Dans un boudoir(婦人部屋にて)」、「Installation(引っ越し)」が収められています。初版…

Jean Lorrain『MA PETITE VILLE―SOUVENIRS DE PÉRONNE』(ジャン・ロラン『私の小さな町―ペロンヌの思い出』)

Jean Lorrain『MA PETITE VILLE―SOUVENIRS DE PÉRONNE』(la Vague verte 2003年) 『Venise』に引き続いて、土地にまつわる思い出の書を読んでみました。1898年に300部のみ出版されたものの改訂版で、80ページほどの小冊子。「Ma Petite Ville」、「Le Mira…

Jean Lorrain『Venise』(ジャン・ロラン『ヴェニス』)

Jean Lorrain『Venise』(La Bibliothèque 1997年) 今回は、90ページほどの薄っぺらい本ですが、やたらとイタリア語やヴェニスの建物の固有名詞が出てくるので読みにくい。1905年に「絵入り雑誌」に寄稿したヴェニスについてのエッセイと、1898年から1904年…

marcel brion『nous avons traversé la montagne』(マルセル・ブリヨン『われわれはその山を通り抜けた』)

marcel brion『nous avons traversé la montagne』(albin michel 1972年) 引き続いてブリヨンを読みました。前回読んだ『Les Vaines Montagnes(辿り着けぬ峰々)』の序文で、奥さんのLiliane Brionが本作に言及して、ブリヨンの最上作品のひとつと書いて…

Marcel Brion『Les Vaines Montagnes』(マルセル・ブリヨン『辿り着けぬ峰々』)

Marcel Brion『Les Vaines Montagnes』(Albin Michel 1985年) 久しぶりにまたブリヨンを読んでみました。これで17冊目。Vaines Montagnesの訳が難しい。単純に訳すと「虚しい山々」となりますが、これでは意味がよく分からないし、山というのが平凡すぎま…

ROLAND DORGELÈS『Le château des brouillards』(ロラン・ドルジュレス『霧の館』)

ROLAND DORGELÈS『Le château des brouillards』(Le Livre de Poche 1962年) 生田耕作旧蔵書。ロラン・ドルジュレスの作品は日本でも翻訳がいくつか出ているようです。何かの本で、ネルヴァルが収容されていた精神病院の建物が舞台になっていると読んだよ…

CLAUDE FARRÈRE『L’Homme qui assassina』(クロード・ファレール『殺した男』)

CLAUDE FARRÈRE『L’Homme qui assassina』(PAUL OLLENDORFF 1915年?) クロード・ファレールの本はこれまで5冊読んでいて、今回読むのは5年ぶり。文章がとても分かりやすいので気に入っています。難しい単語も、ときどきトルコ語らしき意味不明の語が出て…

HUBERT HADDAD『Un rêve de glace』(ユベール・アダッド『氷の夢』)

HUBERT HADDAD『Un rêve de glace』(ZULMA 2006年) 前回読んだ『Géographie des nuages(雲の地誌)』が出色の出来ばえだったので、勢いこんで読みましたが、若干期待外れ。アダッドの小説の処女作のようです。そのせいか文章が凝っていて、単語も聞きなれ…

Hubert Haddad『Géographie des nuages』(ユベール・アダッド『雲の地誌』)

Hubert Haddad『Géographie des nuages』(Paulsen 2016年) Hubert Haddadを読むのは、『Le Secret de l’immortalité(不死の秘密)』(2014年7月23日記事参照)、『Le peintre d’éventail(扇絵師)』(2017年2月12日記事)に次いで、これで三冊目です。著…

Jean Lorrain『Le Poison de la Riviera』(ジャン・ロラン『リヴィエラの毒』)

Jean Lorrain『Le Poison de la Riviera』(LA TABLE RONDE 1992年) 今はなき天牛書店堺筋本町店で買った古本。ロラン最後の作品のようですが、序文で、ティボー・ダントネが衝撃的な事実を暴いています。それはロラン研究の第一人者として、伝記も書き、死…

JEAN LORRAIN『HÉLIE―GARÇON D’HOTEL』(ジャン・ロラン『エリ―ホテルの雇人』)

JEAN LORRAIN『HÉLIE―GARÇON D’HOTEL』(PAUL OLLENDORFF 1914年?) この作品も、前回読んだ『MADAME MONPALOU(モンパルー夫人)』と同様、避暑地、温泉地の物語。最晩年の作品のようで、「Très russe(超ロシア的)」(1886年、後に「Villa Mauresque(ム…

JEAN LORRAIN『MADAME MONPALOU』(ジャン・ロラン『モンパルー夫人』)

JEAN LORRAIN『MADAME MONPALOU―HEURES DE VILLES D’EAUX(温泉地でのできごと)』(ALBIN MICHEL 1928年) 中編小説「MADAME MONPALOU」、ルポルタージュ風短編6篇の「QUELQUES SOURCES, QUELQUES PLAGES(温泉、海水浴場)」、連作短編6篇の「L’ÉTÉ DANS L…

J.M.A.Paroutaud(パルト)の作品

J.M.A.Paroutaud『PARPAILLOTE et autres contes cruels(パルパイヨット―ほか残酷譚集)』(on verra bien 2020年) J.M.A.Paroutaud「Petit traité de ma médecine(療法小概論)」(『LE PAYS DES EAUX(水の国)』on verra bien 2018年、所収) この二冊…

CLAUDE SEIGNOLLE『INVITATION AU CHÂTEAU DE L’ÉTRANGE』(クロード・セニョール『不思議の館への招待』)

外観 中扉 CLAUDE SEIGNOLLE『INVITATION AU CHÂTEAU DE L’ÉTRANGE』(WALTER BECKERS 1974年) このブログにコメントを寄せていただいたJann Fastierさんから勧められた本。セニョールが知人らから聞いたり、自らが体験した超自然的な話を集めたものです。…

CHARLES BAUDELAIRE『Les fleurs du mal』(シャルル・ボードレール『悪の華』)

CHARLES BAUDELAIRE『Les fleurs du mal』(Jean-Claude Lattès 1987年) この歳になって、ようやく『悪の華』を原文で読みました。翻訳のあるものはフランス語ではなるべく読まないようにしていますが、詩は別格。再版後の各種拾遺詩篇も入れて全166篇、文…

J.-C.MARDRUS『LA REINE DE SABA』(J・C・マルドリュス『シバの女王』)

Dr J.-C.MARDRUS『LA REINE DE SABA』(CHARPENTIER ET FASQUELLE 1926年) 久しぶりに、生田耕作旧蔵書を読みました。マルドリュスは『千一夜物語』のフランス語版翻訳で有名ですが、マラルメのサロンに出入りして、エレディア、R・モンテスキュー、ジッド…

Marcel Brion『Le château de la princesse Ilse』(マルセル・ブリヨン『イルズ姫の城』)

Marcel Brion『Le château de la princesse Ilse』(Albin Michel 1981年) 久しぶりに、ブリヨンを読みました。文章は前回読んだロチよりは長くなってやや難しくなりましたが、読み進むうちに慣れて、それほど難渋することもなく読めました。ネットで調べて…

PIERRE LOTI『LES TROIS DAMES DE LA KASBAH―CONTE ORIENTAL』(ピエール・ロチ『三人のカスバの女―東洋譚』)

PIERRE LOTI『LES TROIS DAMES DE LA KASBAH―CONTE ORIENTAL』(CALMANN-LÉVY 発行年不詳) 4年ほど前セーヌ河岸の古本屋で買った本。「LES TROIS DAMES DE LA KASBAH」、「PASQUALA IVANOVITCH(パスカーラ・イヴァノヴィッチ)」、「UN VIEUX(老人)」、…

J.M.A.Paroutaud『LA DESCENTE INFINIE』(J・M・A・パルトゥー『無限の下降』)

J.M.A.Paroutaud『LA DESCENTE INFINIE』(on verra bien 2016年) 新刊で取寄せた本。パルトゥーを読むのは、『LA VILLE INCERTAINE(さだかでない町)』(2011年8月29日記事参照)と『Le Pays des Eaux(水の国)』(2016年12月25日参照)に引き続いて、こ…

ANNE RICHTER『Cauchemar dans la ville』(アン・リヒター『町なかの悪夢』)

ANNE RICHTER『Cauchemar dans la ville』(HRW 1995年) 森茂太郎の「ベルギー幻想文学私記」(「小説幻妖 弐」所収)で知った作家で、Baronianの『Panorama de la littérature fantastique(フランス幻想文学展望)』にも名前が載っていました。子ども向き…

Maurice Magre『Nuit de haschich et d’opium』(モーリス・マーグル『ハシッシュと阿片の夜』)

Maurice Magre『Nuit de haschich et d’opium』(KAILASH 2010年) 前回のフランス書は大部の本でくたびれてしまったので、88ページの薄い本を読んでみました。初版は1929年、フラマリオンから出ていますが、この本は、再刊。インドのたぶんプリントオンデマ…

Jacques Abeille『Les jardins statuaires』(ジャック・アベイユ『彫像の地』)

Jacques Abeille『Les jardins statuaires』(Attila 2010年) 章もなにもなく、ひたすら文章が続く573ページの長編。これまで読んだフランス語の本で最長です。要約を作りながら毎日少しずつ読みましたが、2か月半ぐらいかかり、要約は400字詰原稿用紙にす…

MONIQUE WATTEAU『LA COLÈRE VÉGÉTALE』(モニク・ワトー『植物の怒り』)

MONIQUE WATTEAU『LA COLÈRE VÉGÉTALE―La révolte des Dieux Verts(緑の神の反乱)』(marabout 1973年) marabout叢書の一冊。マルセル・シュネデール『フランス幻想文学史』や「小説幻妖 ベルギー幻想派特集」の森茂太郎評論でも、取り上げられていた女流…

OCTAVE UZANNE『JEAN LORRAIN』(オクターヴ・ユザンヌ『ジャン・ロラン』)

OCTAVE UZANNE『JEAN LORRAIN―L’ARTISTE-L’AMI SOUVENIRS INTIMES LETTRES INÉDITES(ジャン・ロラン―芸術家でありまた友人 その思い出と手紙)』(Édouard 1913年、Facsimile Publisher 2016年) 1913年の初版のリプリント版。字がぼやけて読みにくい。フラ…

JEAN LORRAIN『LA MANDRAGORE』(ジャン・ロラン『マンドラゴラ』)

JEAN LORRAIN『LA MANDRAGORE』(LE CHAT ROUGE 2018年) フランス書を読むときは、原文を5分の1程度に要約しメモしながら読むようにしていますが、途中でパソコンが壊れたので、そのメモが全部消えてしまい、またやり直さないといけなくなりました。ただ、…

Jean Lorrain『VILLA MAURESQUE』(ジャン・ロラン『ムーア風別荘』)

Jean Lorrain『VILLA MAURESQUE』(LIVRE MODERNE 1942年) 向うの古本屋でよく見かけた「LE LIVRE MODERNE ILLUSTRÉ」というシリーズの一冊。MICHEL CIRYという人の挿絵がついていました。 ジョルジュ・ノルマンディの序文によると、ジャン・ロランの2作目…

JEAN RICHEPIN『LE COIN DES FOUS』(ジャン・リシュパン『狂気の縁』)

JEAN RICHEPIN『LE COIN DES FOUS―HISTOIRES HORRIBLES』(Le Chat Rouge 2011年) タイトルは、「au coin de feu(炉辺で)」をもじっています。前回読んだ『Les morts bizarres(風変わりな死)』よりはよくできていて、まだリシュパンは3冊しか読んでませ…