最近読んだ本・フランス書

Hubert Haddad『Géographie des nuages』(ユベール・アダッド『雲の地誌』)

Hubert Haddad『Géographie des nuages』(Paulsen 2016年) Hubert Haddadを読むのは、『Le Secret de l’immortalité(不死の秘密)』(2014年7月23日記事参照)、『Le peintre d’éventail(扇絵師)』(2017年2月12日記事)に次いで、これで三冊目です。著…

Jean Lorrain『Le Poison de la Riviera』(ジャン・ロラン『リヴィエラの毒』)

Jean Lorrain『Le Poison de la Riviera』(LA TABLE RONDE 1992年) 今はなき天牛書店堺筋本町店で買った古本。ロラン最後の作品のようですが、序文で、ティボー・ダントネが衝撃的な事実を暴いています。それはロラン研究の第一人者として、伝記も書き、死…

JEAN LORRAIN『HÉLIE―GARÇON D’HOTEL』(ジャン・ロラン『エリ―ホテルの雇人』)

JEAN LORRAIN『HÉLIE―GARÇON D’HOTEL』(PAUL OLLENDORFF 1914年?) この作品も、前回読んだ『MADAME MONPALOU(モンパルー夫人)』と同様、避暑地、温泉地の物語。最晩年の作品のようで、「Très russe(超ロシア的)」(1886年、後に「Villa Mauresque(ム…

JEAN LORRAIN『MADAME MONPALOU』(ジャン・ロラン『モンパルー夫人』)

JEAN LORRAIN『MADAME MONPALOU―HEURES DE VILLES D’EAUX(温泉地でのできごと)』(ALBIN MICHEL 1928年) 中編小説「MADAME MONPALOU」、ルポルタージュ風短編6篇の「QUELQUES SOURCES, QUELQUES PLAGES(温泉、海水浴場)」、連作短編6篇の「L’ÉTÉ DANS L…

J.M.A.Paroutaud(パルト)の作品

J.M.A.Paroutaud『PARPAILLOTE et autres contes cruels(パルパイヨット―ほか残酷譚集)』(on verra bien 2020年) J.M.A.Paroutaud「Petit traité de ma médecine(療法小概論)」(『LE PAYS DES EAUX(水の国)』on verra bien 2018年、所収) この二冊…

CLAUDE SEIGNOLLE『INVITATION AU CHÂTEAU DE L’ÉTRANGE』(クロード・セニョール『不思議の館への招待』)

外観 中扉 CLAUDE SEIGNOLLE『INVITATION AU CHÂTEAU DE L’ÉTRANGE』(WALTER BECKERS 1974年) このブログにコメントを寄せていただいたJann Fastierさんから勧められた本。セニョールが知人らから聞いたり、自らが体験した超自然的な話を集めたものです。…

CHARLES BAUDELAIRE『Les fleurs du mal』(シャルル・ボードレール『悪の華』)

CHARLES BAUDELAIRE『Les fleurs du mal』(Jean-Claude Lattès 1987年) この歳になって、ようやく『悪の華』を原文で読みました。翻訳のあるものはフランス語ではなるべく読まないようにしていますが、詩は別格。再版後の各種拾遺詩篇も入れて全166篇、文…

J.-C.MARDRUS『LA REINE DE SABA』(J・C・マルドリュス『シバの女王』)

Dr J.-C.MARDRUS『LA REINE DE SABA』(CHARPENTIER ET FASQUELLE 1926年) 久しぶりに、生田耕作旧蔵書を読みました。マルドリュスは『千一夜物語』のフランス語版翻訳で有名ですが、マラルメのサロンに出入りして、エレディア、R・モンテスキュー、ジッド…

Marcel Brion『Le château de la princesse Ilse』(マルセル・ブリヨン『イルズ姫の城』)

Marcel Brion『Le château de la princesse Ilse』(Albin Michel 1981年) 久しぶりに、ブリヨンを読みました。文章は前回読んだロチよりは長くなってやや難しくなりましたが、読み進むうちに慣れて、それほど難渋することもなく読めました。ネットで調べて…

PIERRE LOTI『LES TROIS DAMES DE LA KASBAH―CONTE ORIENTAL』(ピエール・ロチ『三人のカスバの女―東洋譚』)

PIERRE LOTI『LES TROIS DAMES DE LA KASBAH―CONTE ORIENTAL』(CALMANN-LÉVY 発行年不詳) 4年ほど前セーヌ河岸の古本屋で買った本。「LES TROIS DAMES DE LA KASBAH」、「PASQUALA IVANOVITCH(パスカーラ・イヴァノヴィッチ)」、「UN VIEUX(老人)」、…

J.M.A.Paroutaud『LA DESCENTE INFINIE』(J・M・A・パルトゥー『無限の下降』)

J.M.A.Paroutaud『LA DESCENTE INFINIE』(on verra bien 2016年) 新刊で取寄せた本。パルトゥーを読むのは、『LA VILLE INCERTAINE(さだかでない町)』(2011年8月29日記事参照)と『Le Pays des Eaux(水の国)』(2016年12月25日参照)に引き続いて、こ…

ANNE RICHTER『Cauchemar dans la ville』(アン・リヒター『町なかの悪夢』)

ANNE RICHTER『Cauchemar dans la ville』(HRW 1995年) 森茂太郎の「ベルギー幻想文学私記」(「小説幻妖 弐」所収)で知った作家で、Baronianの『Panorama de la littérature fantastique(フランス幻想文学展望)』にも名前が載っていました。子ども向き…

Maurice Magre『Nuit de haschich et d’opium』(モーリス・マーグル『ハシッシュと阿片の夜』)

Maurice Magre『Nuit de haschich et d’opium』(KAILASH 2010年) 前回のフランス書は大部の本でくたびれてしまったので、88ページの薄い本を読んでみました。初版は1929年、フラマリオンから出ていますが、この本は、再刊。インドのたぶんプリントオンデマ…

Jacques Abeille『Les jardins statuaires』(ジャック・アベイユ『彫像の地』)

Jacques Abeille『Les jardins statuaires』(Attila 2010年) 章もなにもなく、ひたすら文章が続く573ページの長編。これまで読んだフランス語の本で最長です。要約を作りながら毎日少しずつ読みましたが、2か月半ぐらいかかり、要約は400字詰原稿用紙にす…

MONIQUE WATTEAU『LA COLÈRE VÉGÉTALE』(モニク・ワトー『植物の怒り』)

MONIQUE WATTEAU『LA COLÈRE VÉGÉTALE―La révolte des Dieux Verts(緑の神の反乱)』(marabout 1973年) marabout叢書の一冊。マルセル・シュネデール『フランス幻想文学史』や「小説幻妖 ベルギー幻想派特集」の森茂太郎評論でも、取り上げられていた女流…

OCTAVE UZANNE『JEAN LORRAIN』(オクターヴ・ユザンヌ『ジャン・ロラン』)

OCTAVE UZANNE『JEAN LORRAIN―L’ARTISTE-L’AMI SOUVENIRS INTIMES LETTRES INÉDITES(ジャン・ロラン―芸術家でありまた友人 その思い出と手紙)』(Édouard 1913年、Facsimile Publisher 2016年) 1913年の初版のリプリント版。字がぼやけて読みにくい。フラ…

JEAN LORRAIN『LA MANDRAGORE』(ジャン・ロラン『マンドラゴラ』)

JEAN LORRAIN『LA MANDRAGORE』(LE CHAT ROUGE 2018年) フランス書を読むときは、原文を5分の1程度に要約しメモしながら読むようにしていますが、途中でパソコンが壊れたので、そのメモが全部消えてしまい、またやり直さないといけなくなりました。ただ、…

Jean Lorrain『VILLA MAURESQUE』(ジャン・ロラン『ムーア風別荘』)

Jean Lorrain『VILLA MAURESQUE』(LIVRE MODERNE 1942年) 向うの古本屋でよく見かけた「LE LIVRE MODERNE ILLUSTRÉ」というシリーズの一冊。MICHEL CIRYという人の挿絵がついていました。 ジョルジュ・ノルマンディの序文によると、ジャン・ロランの2作目…

JEAN RICHEPIN『LE COIN DES FOUS』(ジャン・リシュパン『狂気の縁』)

JEAN RICHEPIN『LE COIN DES FOUS―HISTOIRES HORRIBLES』(Le Chat Rouge 2011年) タイトルは、「au coin de feu(炉辺で)」をもじっています。前回読んだ『Les morts bizarres(風変わりな死)』よりはよくできていて、まだリシュパンは3冊しか読んでませ…

Jean Richepin『Les morts bizarres』(ジャン・リシュパン『風変わりな死』)

Jean Richepin『Les morts bizarres』(Arbre vengeur 2009年) リシュパンはこれまで『CONTES DE LA DÉCADENCE ROMAINE(羅馬頽唐譚)』(2017年9月29日記事参照)を読んだだけです。『Les morts bizarres』は、バロニアンがリシュパンの中でも高く評価して…

G.-O.CHÂTEAUREYNAUD『Singe savant tabassé par deux clowns』(G・O・シャトレイノー『二人の道化師に殴られる曲芸猿』)

GEORGE-OLIVIER CHÂTEAUREYNAUD『Singe savant tabassé par deux clowns』(ZULMA 2013年) このところシャトレイノーにはまっています。これで6冊目。この作品で2005年の「短篇ゴンクール賞」を受賞しているとありました。題名となっている「Singe savant t…

G.-O.CHÂTEAUREYNAUD『Le goût de l’ombre』(G・O・シャトレイノー『闇への愛着』)

G.-O.CHÂTEAUREYNAUD『Le goût de l’ombre』(Grasset 2016年) 7作品を収めた短篇集。シャトレイノーを読むのは5冊目です。「La Belle Charbonnière(美しき炭焼き女)」や『Les Messagers(使者)』のような神話的な雰囲気は後退して、どちらかというとト…

G.-O.CHÂTEAUREYNAUD『LE HÉROS BLESSÉ AU BRAS』(G・O・シャトレイノー『腕を負傷した英雄』)

GEORGE-OLIVIER CHÂTEAUREYNAUD『LE HÉROS BLESSÉ AU BRAS』(BABEL 1999年) 15篇からなる短篇集。うち一篇「Essuie mon front, Lily Miracle(額を拭いてくれ、リリー・ミラクル)」は、読んでいるうちに聞いたことがある話のような気がしてきて、調べてみ…

Claude Seignolle『La Malvenue』(クロード・セニョール『異子』)

Claude Seignolle『La Malvenue』(Phébus 2000年) これまで読んだセニョール作品のなかでは最高作と思います。物語の展開がとても興味を惹くようにできていて、これが日本語なら巻措く能わずというところでしょう。フランスの横溝正史、あるいは夢野久作か…

CLAUDE SEIGNOLLE「Le Rond des Sorciers」(クロード・セニョール「呪術師たちの輪舞」)ほか

CLAUDE SEIGNOLLE『Le Rond des Sorciers』(PHÉBUS 1993年) CLAUDE SEIGNOLLE『LES CHEVAUX DE LA NUIT et autres récits cruels』(marabout 1967年)(『夜の馬車―残酷譚集』) 2冊も並べていますが、実際に読んだのは、『Le Rond des Sorciers』15篇の…

CLAUDE SEIGNOLLE『HISTOIRES VÉNÉNEUSES suivi de LA BRUME NE SE LÈVERA PLUS』(クロード・セニョール『毒のある物語集―「もう霧は晴れることはない」併載』)

CLAUDE SEIGNOLLE『HISTOIRES VÉNÉNEUSES suivi de LA BRUME NE SE LÈVERA PLUS』(MARABOUT 1976年) 新年初のフランス書。クロード・セニョールを読んでみました。セニョールを読むのは、『HISTOIRES ÉTRANGES(不思議な話)』を読んで以来(2010年12月31…

Marcel Brion『L’ermite au masque de miroir』(マルセル・ブリヨン『鏡面の隠者』)

Marcel Brion『L’ermite au masque de miroir』(Albin Michel 1982年) 前回読んだ『Le Journal du visiteur(訪問者の日記)』よりさらに晩年の作。RomanでもRécitでもなく、Capriccioと銘うたれているとおり、脈絡が茫洋としたものになっています。『Le J…

:Marcel Brion『Le journal du visiteur』(マルセル・ブリヨン『訪問者の日記』)

Marcel Brion『Le journal du visiteur』(Albin Michel 1980年) マルセル・ブリヨン最晩年84歳のときの作品です。もともとブリヨンの小説は、展開が少なく冗長な印象がありますが、この小説はとくに、年寄りからくどい話を聞かされるように、少しずつ変化…

:ALBERT SAMAIN『AUX FLANCS DU VASE』(アルベール・サマン『壺絵集』)

ALBERT SAMAIN『AUX FLANCS DU VASE』(GEORGES CRÈ ET Cie 1914年) サマンを読むのは、短篇集『Contes(物語)』以来二冊目(2017年8月10日記事参照)。サマンの生前出版された第二作品集の再刊です。25篇の本編と、付録として、この詩集のために書かれた…

:jean louis bouquet『MONDES NOIRS』(ジャン=ルイ・ブーケ『闇の世界』)

jean louis bouquet『MONDES NOIRS』(UNION GENERALE D’EDITIONS 1980年) 初めてパリのブラッサンス広場古本市へ行った時に買った本。この本を買うときに、店の人が「この本は面白い。いい作家だ」と聞きもしないのに喋ってきたことを覚えています。ブーケ…