久しぶりに二つの古本市

 コロナもようやく下火となり、古本市も続々と再開されました。その第一弾、昨年秋以来の開催となった四天王寺秋の大古本祭りに、初日に出かけました。真っ先に駆けつけた100円均一はものすごい人だかりの密状態。肩越しに本を見つめるのに疲れて早々に退避して、不死鳥ブックスの300円均一の大量の棚でのんびりと本を眺めました。

三井秀樹『形の美とは何か』(日本放送出版協会、07年2月、300円)→科学の眼から造型を論じた文理を総合した本のようなので。
松田良一『永井荷風 オペラの夢』(音楽之友社、92年7月、300円)→荷風が欧米滞在時に出かけたコンサートの記録が克明に出ており、当時の演奏曲目が分かる。
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 次によく覚えてませんが、たぶんピエト文庫で、
川路柳虹詩学』(耕進社、昭和10年4月、200円)→立派な装幀の割に値段が安いが、革が腐食してかぼろぼろになり手に付くので、慌てて紙のカバーをつけた。日本の革装幀の本は革の質が悪いのかぼろぼろになっているのをよく見る。
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 稲野書店というところでは、金井紫雲の「○○と藝術」シリーズがずらりと並んでいました。10冊以上あったでしょうか。『花と藝術』だけ所持していますが、こんなにあるとは思わなかった。
金井紫雲『天象と藝術』(芸艸堂、昭和13年1月、1000円)→ちょうど月に興味があったので。
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 郁書店では、戦前の海外文学関係が充実していましたが、ほとんど持っているものばかり。
内藤濯『実習仏蘭西文典』(白水社、48年6月、300円)→昔の大家に少しは教えられてみたいと思って。
メアリ・ラム/チャールス・ラム西川正身訳『レスター先生の学校』(國立書院、昭和22年10月、300円)→姉メアリの生徒たちの話をもとにしたということだが、ラムが書いた物語も3篇入っている。
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 結局、いつもより少なく6冊だけ。久しぶりに古本仲間と昼食とお茶を楽しみました。

 天神さんの古本まつりの初日は、偶然、近鉄阪神沿線を各駅で飲み歩く会(と言ってもメンバーは二人)が1年ぶりに復活して、鳴尾・武庫川女子大学前で飲むことになったので、途中で1時間ほど立ち寄ることができました。下記2冊のみ購入、いずれも矢野書房の出品。
J・A・シュモル=アイゼンヴェルトほか種村季弘監訳『世紀末』(平凡社、94年8月、500円)→900ページ以上もあるのに500円は安い。ただしカバーなし、本自体は新品同様で何の問題もなし。ドイツの学者が書いた世紀末芸術・文学に関する28の論文が収められている。種村自身が訳した「冒険小説とデカダンス」、「世紀末抒情詩における贅美な=えりすぐりの物質に対する偏愛」などが読みたくて(がたぶん読まない)。
山内昶『青い目に映った日本人―戦国・江戸期の日仏文化情報史』(人文書院、98年10月、500円)→幕末明治の日仏関係の本はたくさん持っているが、戦国・江戸期にそれぞれ相手国をどう見ていたかについては珍しい。
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 オークションでの購入は下記4冊。
「流域 85」(青山社、令和元年10月、500円)→「長谷川潔堀口大学の往復書簡」には、日夏耿之介と絶交した直後の堀口大学の残念な気持が綴られていた。
森川平八『短歌文法入門』(飯塚書店、81年12月、100円)→今頃読んでも手遅れか。
永井荷風『あめりか物語』(福武書店、83年12月、260円)→なぜか読んでなかった。フランスへの憧れが綴られているはず。
高柳誠詩集『卵宇宙/水晶宮/博物誌』(湯川書房、83年6月、1200円)→架空都市的散文詩と私が呼んでいるジャンルの作品。
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