最近聴いた曲:ブルッフ「ヴァイオリン、ヴィオラとピアノのための8つの小品 作品83」


 17日いずみホールで開催された「室内楽の悦び」というコンサートに行ってきました。プログラムに入っていた標記のブルッフの曲が目当てです。
 ブルッフブームが沸き起こっているのか、15日センチュリーの定期でヴァイオリン協奏曲1番、23日には大阪交響楽団定期でスコットランド幻想曲という盛況ぶりです。


 前から3列目の特等席で聴くことができました。開演前と休憩時に一杯ずつ美味しいプレミアムモルツを飲んだこともあり、ほろ酔い加減で楽しい演奏会となりました。


 ブルッフのこの曲は、日本人好みのウェットな美しいメロディに溢れ、どこか北欧的な淋しさや哀切を感じさせます。
 通常この曲はヴァイオリンのところをクラリネットで演奏しクラリネットも透明感のある淋しさがあってよいのですが、この日の演奏を聴いた限りではヴァイオリンの方が合っているように思いました。

 3つの楽器が同時に鳴り響く場面よりも、ヴァイオリンがメロディを歌い上げ、それをヴィオラが低音で支えながら、今度はヴィオラが前面に出て歌うという具合に、一つ一つの楽器がクリアに聴こえる場面が多く、調和が取れた構成になっています。

 この曲を聴いての最大の収穫は、ヴィオラの響きの美しさでした。ヴァイオリンとヴィオラが1対1で演奏されるので、双方の楽器の魅力が際立ち相乗的に高められているからだと思います。

 ヴィオラの演奏者の演奏が素晴らしかったのがもうひとつの理由かもしれません。植田延江さんという方ですが、とても感情がこもっていて、ワルシャワフィルのコンサートマスターと互角以上に演奏されていました。

 この演奏会では、ショパンピアノ三重奏曲もありましたが、ヴィオラとチェロの楽器の違いを感じさせられました。ショパンの演奏では、ピアノの音量が少し大きかったこともあり、チェロの音が聞こえにくく(とくに低音)、もごもごとした感じを受けました。ブルッフでのヴィオラはそれに反して音が明瞭で、ヴァイオリンと同様速いパッセージでも軽快に動き回り、一方低音が頑張るべきところではきちんと役割を果たしているという印象を受けました。


 この演奏会では、ほかにラヴェルの「クープランの墓」も聴きましたが、凄まじいの一言に尽きます。