:日夏耿之介『巴里幻想集』入手


 土曜日、雨の中、大阪古書会館のOKK古書ブックフェアに行ってまいりました。


 オークションで日夏耿之介を立て続けに2冊買ったので、ツキが回ってきたのか、『巴里幻想集』を発見しました。一昨年、国書刊行会が刊行した『巴里幻想訳詩集』に矢野目源一らとともに採録されましたが、名のみ高く初めて見る本でした。


 ページ数も少なく小さな本ですが、表紙には銅版画、扉には木口木版画をあしらった瀟洒な本です。関野準一郎作で、銅板自刻自摺・木口木版自摺とあります。


 5000円は私にはさすがに高いといったん断念して会館を出ましたが、堺筋本町の方へ歩いている途中、もやもやとした気持ちが湧いてきました。このまま帰ると一生出会えないかもしれない、酒代や深夜のタクシー代を思えばどうてことないんじゃないか、今にも誰かが手に取っているかもしれない・・・
 慌てて会場に駆け戻りました。こちらとしては少し恥ずかしい思いでしたが、こういうことはよくあるのか会場のレジの方々は何ごともないような風でした。


 ということで
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日夏耿之介譯『巴里幻想集』(東京限定本倶楽部、51年2月、5000円)限定190部中No.133
1〜60部が特漉局紙印刷、61部〜190部が鳥ノ子紙印刷とあります。
を入手。


 古書会館ではほかに、下記を購入。
中平解『フランス語學新考 改訂版』(三省堂昭和18年7月、500円)

万足卓『泉の詩 ドイツ詩評釈』(郁文堂、80年11月、1500円)
 これは題名どおりバロック期から現代までのドイツの泉を歌った詩に解説を加えたものですが、日本や中国の昔の歌や詩なども交えながら分かり易く書かれているようで、至福の時間が過ごせそうです。
入不二基義『足の裏に影はあるか?ないか?』(朝日出版社、09年3月、1000円)
 タイトルを見ただけでわくわくして買ってしまいました。


 次に立ち寄った堺筋本町のT書店でもツキが回ってきたのか、680円均一初日ということで、下記の本を購入。結構大部な本が安く入手できました。
『矢野禾積博士還暦記念論文集 近代文藝の研究』(北星堂書店、昭和31年3月、680円)
 内藤濯日夏耿之介柳田泉、森亮、岡崎義恵、島田謹二富士川英郎など錚々たるメンバーが面白そうな題材をめぐって原稿を寄せています。
柳田泉『明治初期翻訳文学の研究』(春秋社、昭和41年3月、680円)
 吉武好孝の翻訳史に関する本を2冊持っていますが、その中にも引用が出てくる基礎資料本。

伊藤清司『<花咲爺>の源流−日本と中国の説話比較』(ジャパン・パブリッシャーズ、昭和53年4月、680円)
これもタイトルだけでわくわくしてきます。
篠沢秀夫『フランス文学講義1』(大修館書店、79年4月、680円)
大学の授業を聞いた気分になる1冊。『講義2』を昔読んで面白かったので。
杉本秀太郎文粋1 エロスの図柄 ボードレール ピサネロまたは装飾論』(筑摩書房、96年3月、680円)
これも「ボードレール」は大学の授業のよう。充実した1冊。


 はじめの話に戻って、オークションでは日夏耿之介ほかを入手しました。
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厨川白村『英詩選釋』(改造文庫昭和8年12月、400円)
 選集には入っていると思いますが、コンパクトで読みやすそう。訳詩が文語体で格調高い。
日夏耿之介『鴎外と露伴』(創元選書、昭和24年6月、650円)
日夏耿之介『日本近代詩史論』(角川書店、昭和24年3月、1000円)
辰野隆『りやん』(白水社昭和10年7月、990円)
古い割にはとてもきれいな本です。
星野徹『詩の発生』(思潮社、69年7月、120円)
これはオークション入札してから持っていることに気づきました。800円で入れていましたが、幸い安い値のまま終了しました。