:喜国雅彦『本棚探偵の冒険』(双葉文庫 2005年)


 古本好き、とくにミステリーの好きな皆さんはとっくに読んでいて、なんだ今頃と思われるかもしれませんが。

 百万遍の古本市に行く途上の電車で読もうと、取り出したものです。文庫本だし内容も軽そうだし、古本買いの雰囲気を盛り上げてくれると期待して。

 
 書いてある話の内容もさることながら書き方がとても面白い。漫画家だからでしょうか。自分で書いていて自分で突っ込むやり方といい、擬音語や会話体の多用といい、テンポよく友達に喋るように書いています。 

 本の大きさに合わせて本棚を作ったり、函や豆本を作ってしまうのは美術大学出身ならでは。とても器用です。作り方が丁寧に書いてあったので、いちど挑戦してみよう。

 いつ行っても閉まっている開店時間が謎の古本屋を追った「幻影古書店」や、古本ゲームの一種「ポケミスラソン」は類書にはあまり見ないものだと思います。時間を決めて、どちらがより凄いのを掘り出すかという古本ゲームは学生時代にやったような記憶があります。


 高額の古本を次々に買っていくので、漫画家は稼ぎがよいからなぁと思いながら読んでいると、この本に登場する人は皆高い本を買っているのにびっくりしました。1冊3、4万円は当たり前のようです。私にはとても買えません。

 最近、T書店など大阪の安い値付けに慣らされ金銭感覚が縮小気味で、1000円を超える本はしばらく買っていないことに気付きました。これからは高いと思って敬遠していた本も買うことにしようと決意した次第です。