二つの古本市をはしご、浜松の古本屋など

 買った古本の話の前に、古本の師でもあった友人が今年2月に亡くなり、その形見分けとしていただいた本を紹介します(2月11日記事参照)。
小栗虫太郎黒死館殺人事件』(新潮社、昭和10年5月、―)→松野一夫装幀
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 そのときも書きましたが、この本は大学時代に彼に頼まれて買いに行った本です。大学三回生の頃だと思いますが、当時は毎日のように顔を合わせていて、私が千本通り近辺の古本屋に行くという話をしたら、八木書店に黒死館があるから買っといてと頼まれました。800円だったと覚えていますが、当時の身分ではとても手の届かない値段で、彼もかなり逡巡のうえ、私に頼むことで決断されたというような感じでした。本が店の棚のいちばん上の段にあって、手が届かず店主に取ってもらったのをよく覚えています。ただ先日の古本市で、共通の知人の古本魔人M氏によると、福田屋金蔵書店で買ったというふうに聞いているということで、私の単なる妄想による記憶違いかもしれません。


 先週土曜に、ツイン21古本フェアとたにまち月いち古本市の二つの古本市のはしごをしました。コロナがまた増大しつつありますので、これが最後になるかとの思いもありました。久しぶりに古本仲間が集まりました。案の定、8月の下鴨納涼古本まつりも中止になったようです。

 ツイン21では、下記を購入。
櫟原聰『夢想の歌学―伊東静雄前登志夫』(雁書館、95年1月、800円)
光仁三郎『原初の風景とシンボル』(大修館書店、01年6月、500円)→斜陽館の出品。
中村喜和『聖なるロシアを求めて―旧教徒のユートピア伝説』(平凡社、90年10月、300円)→光国家書店。キーテジの伝説が出ていたので。
 他に、CDが300円均一で大量に出ていたので、そこから3枚。
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 たにまち月いちでは、
M.LIMAT『la maleficio』(FLEUVE NOIR、76年、150円)
比較文学 第47巻」(日本比較文学会、平成17年3月、200円)→以上二冊、寸心堂。
谷川俊太郎/渡邊一考編『神様も大あくび―世界のライト・ヴァース5』(書肆山田、83年1月、500円)
堀越孝一『わがヴィヨン』(小沢書店、95年8月、800円)→矢野書房だと思う
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 今月初め、コロナ禍をおして、毎年恒例の学生時代友人の夏合宿が浜名湖であり、帰りに浜松の古本屋に1軒だけ立ち寄りました。典昭堂というお店で、以前静岡の古本屋へ行ったとき、値付けの高さに驚愕したことがありましたが、このお店は良心的で、破格の値段でした。常連さんとの交流を大切にしているらしく、お二人ほど古本購入の相談に来られていました。
西出真一郎『木苺の村―フランス文学迷子散歩』(作品社、10年4月、300円)
村松貞也『人はなぜ匂いにこだわるか―知らなかった匂いの不思議』(KKベストセラーズ、89年7月、100円)
吉山浩司『数はどのようにして創られたか―中国古代史探究の旅』(私家版、奥付なし、100円)→小説仕立てで、中国古代史を語る奇怪な本。
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 オークションでは、
芳賀徹監修/千葉真智子構成・編集『桃源万歳!―東アジア理想郷の系譜』(岡崎市美術博物館、11年4月、2150円)
村松伸『書斎の宇宙―中国都市的隠遁術』(INAX、92年10月、1000円)
シャトブリアン小島文八譯『哀調』(新樹社、昭和40年2月、1000円)→帙入り
アンドレ・モオロア平野威馬雄譯『アラベスク』(昭森社昭和17年6月、300円)→古澤岩美装幀・挿画
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