矢野峰人譯詩集『黒き獵人』ほか

 本年最初の古本報告です。年末に、古本仲間から、「高い古本を買えばたくさん買わなくて済み、置き場にも困らない」というのを聞いて、年初にさっそく実行してみました。以前から欲しくても高値で手が届かなかったのが、ヤフーオークションで比較的安く出ていたので。
矢野峰人譯詩集『黒き獵人』(大雅洞開雕、昭和40年10月、4980円)限定109部
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 新しい本ですが、造りがとても凝っていて、さすが大雅洞。譯詩集『志るえっと』(昭和8年刊)で洩れた詩篇昭和18年に『黒き獵人』として、台北の出版社から出していたのを復刻したもの、誤植の訂正と一部詩の配列を入れ替えたとあります。グレゴアル・ル・ロア、ロオデンバッハ、ポオル・ジェラルディ、ノアイユ伯爵夫人、フェルナン・グレエグ、ワン・ツィ(王績?)ら10名の詩人の詩が収められています。それが不思議なことに、どの詩を読んでも同じ人が書いたと思われるほど、文語調の訳詩の個性が感じられました。『志るえっと』よりも好みの詩が多い。

 しかし高い本を買ってもあまり効き目がなく、相変わらず安い本をだらだらと買ってしまいました。
 日本の古本屋で、銀河書房というところから、
宮崎興二『なぜ夢殿は八角形か―数にこだわる日本史の謎』(祥伝社、平成7年12月、500円)→最近読んだ『プラトン五重塔』が面白かったので。
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 アマゾンの古本では、
ピエール・グリパリ榊原晃三訳『ピポ王子』(ハヤカワ文庫、昭和55年3月、281円)→何年か前に読まないまま処分していたをまた買い直した。うかつであった。
ジャック・ピノー田辺貞之助訳『フランスのことわざ』(文庫クセジュ、70年5月、13円)
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 ヤフーオークションでは、
松井好夫『萩原朔太郎・病的美の世界』(煥乎堂、昭和49年7月、440円)
高橋彦明訳『フランスの怪奇民話」(評論社、昭和58年8月、562円)
植田祐次/山内淳訳編『フランス怪奇民話集』(教養文庫、93年7月、300円)
立仙順朗『マラルメ―書物と山高帽』(水声社、05年1月、1100円)
窪田般彌編・訳『なげきぶし風の墓碑銘―世界のライト・ヴァース2』(書肆山田、81年11月、800円)→フランス篇とでもいうべきもの。
嶋岡晨『ネオロジスム詩集』(花神社、92年7月、600円)→造語によって詩に力を取り戻す試み。面白そう。巻末に詩論も掲載
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