:年末千林界隈の古本屋めぐり

 今年もあと十数時間となってしまいました。

 先日、老骨に忍び寄る寒さにもめげず、古本仲間との古本屋めぐり忘年会を決行いたしました。

 古本屋めぐりの部では、岡崎武志山本善行氏らが学生時代荒らしまわっていた千林界隈の古本屋へ。3名が集結。うち1名は寝屋川のK書房へ立ち寄ってからの参加。

 まずS堂からスタート。値段も安く品ぞろえも充実。千林侮るなかれ。ここで下記2冊を購入。
久野昭編『形態と象徴―比較文化論集』(以文社、79年2月、500円)
風巻景次郎『中世の文学伝統』(岩波文庫、85年9月、200円)

 次にT書房、年末特売中で(1割引)喜んだが、いかんせん値付けそのものが高い。品ぞろえは中々のもの。千林恐るべし。ここでは次の3冊。
松浦寿輝『方法叙説』(講談社、06年2月、990円)
ミカエール・アンドレオポーロス西村正身訳『賢人シュンティパスの書』(未知谷、00年3月、900円)
吉田秀和『音楽紀行』(中公文庫、93年4月、333円)

店の外へ出てから店頭均一のあまりの安さに、下記を追加購入。
土屋賢二ソクラテス口説き方』(文春文庫、03年12月、30円)


 次のBでは買わず。いちじゅうひゃくせん、せんばやしのPRソングを聞きながら、千林商店街を延々と歩き、親切な大阪のおばちゃんに道を教えてもらって今市商店街に入り、また延々と歩いてY書店へ。古い本が安く出ていて◎。長い道のりを歩いたのが報われました。千林天晴なるかな。
左右田實譯『愛恋英詩抄』(新月社、昭和24年4月、200円)
伊東勇太郎『鑑賞研究 英詩の味ひ方』(大同館書店、大正15年7月、200円)
竹友藻風『文學遍路』(梓書房、昭和8年5月、200円)→帰宅後重複が判明
市河三喜・晴子『欧米の隅々』(研究社、昭和14年5月、800円)
前嶋信次著作選4『書物と旅 東西往還』(平凡社、01年1月、800円)
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 宴会の部まで時間があったので、「京阪千林から京阪新線で大江橋へ行ける」とのあるメンバーの誘い水に乗って、いつものT書店、380円均一。
年末を飾るにふさわしいなかなかの収穫でした。
講座比較文学2『日本文学における近代』(東京大学出版会、73年7月、380円)→森亮「『於母影』から『珊瑚集』まで―翻訳詩論」、脇明子泉鏡花夢野久作」、島田謹二「『田園の憂鬱』考」、井村君江日夏耿之介の詩の世界」など面白そうな評論が入っている。
柳田泉『心影・書影』(桃源社、昭和39年6月、380円)
文車の会編『ヨーロッパ古書紀行』(文化出版局、昭和48年4月、380円)
M.ド・モージュ他市川慎一・榊原直文編訳『フランス人の幕末維新』(有隣新書、平成8年6月、380円)

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 宴会の部ではさらに2名が合流。クエすき鍋をつつきながら、話題は池田得太郎の「家畜小屋」などで盛り上がりました。



 オークションでは下記1点のみ。値が吊り上ってきてどうなるかと思ったが、無事落札。
『QUATRE SIÈCLES DE SURRÉALISME―L’ART FANTASTIQUE DANS LA GRAVURE』(PIERRE BELFOND、73年7月、3030円)

MARCEL BRIONの序文。Aline Jacquiot解題。Jean Adhémar、Hubert Juin、René Wittmann編集協力。タイトルがシュルレアリスムとなっているが、実際は幻想版画集。見たことのない不思議な版画が満載で大正解。いくつかアップしておきます。
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 来年も素晴らしい古本との出逢いがありますように!