:最近よく聴くCD GODARD「Complete Piano Trios」Trio Parnassus(MDG)


 最近毎日のようにこのCDを聴いています。


 GODARDについては、以前、ヴァイオリン協奏曲第2番を取り上げました(09年6月2日)が、この小さなピアノトリオも、同様に浪漫的な美しい情緒がたっぷりと味わえます。
op.32とop.72の二つのピアノトリオと、「ジョスランの子守唄」が入っています。


 このCDのなかでは、ピアノトリオop.32が全体としてまとまっているように思いました。
第1楽章と第4楽章の冒頭、心が揺れ動くような不安定な情動を感じさせる部分や、第3楽章アンダンテで、ヴァイオリンの旋律をそのままチェロが引き取って奏でる美しい応答が何回か続くところなど、印象に残ります。


 「ジョスランの子守唄」がゴダールの最も有名な曲だそうで、タイトルは聞いたことがありますが、曲を意識して聴いたのは初めてです。たしかに名曲です。ピアノトリオop.72のアダージョ楽章にも似ていて、どこか北欧風の寂しい美しさといったものが感じられ心が洗われるようです。


 同じフランスの作曲家にベルマン(Léon Boëllmann)という人がいますが、彼のチェロ組曲などとどこか共通するところがあるように思います。
 同じフランスでも、ドビュッシーラヴェルのきらびやかにしてスマートな、エスプリの効いた雰囲気は影をひそめ、素朴で素直な感性があふれています。