2017-01-01から1年間の記事一覧

:町中の古本屋でフランス書購入

国内ではフランス語の古本は、神田の田村書店、古書会館の洋古書展ぐらいでしか、大量に見ることはありません。関西では、たまに百万遍の古書市でまとまって出るぐらいですが、大阪で飲み会のついでに天神橋筋の天牛書店へ立ち寄ったら、下記の本を見つけま…

:小門勝二『パリの日本人』

外函中 小門勝二『パリの日本人』上巻・下巻(私家版 1969年) 明治から昭和にかけて、パリに滞在した日本人のエピソードを小説仕立てで面白おかしく紹介しています。上下巻合わせて全部で19篇の作品が収められています。紹介されている人物は、村松梢風、藤…

:Jules JANIN『CONTES FANTASTIQUES ET CONTES LITTÉRAIRES』(ジュール・ジャナン『幻想・文芸短篇集』)

/// Jules JANIN『CONTES FANTASTIQUES ET CONTES LITTÉRAIRES』(ressources 1979年) 生田耕作旧蔵書。国内のネットで購入した本。ルリュールの外観と、「神戸奢灞都館主蔵」の印が捺されている扉の部分を載せておきます。 ジュール・ジャナンはネルヴァル…

:『藤村文明論集』

十川信介編『藤村文明論集』(岩波文庫 1995年) 前回の「藤村のパリ」に続き、藤村本人の文章を読むことにしました。3年間のフランス滞在の報告、北米南米旅行の感想、19世紀以降の日本社会についての考察からなり、藤村の西洋との格闘が浮き彫りになる論集…

:河盛好蔵『藤村のパリ』

河盛好蔵『藤村のパリ』(新潮文庫 2000年) 藤村がパリに約3年滞在した時の体験を追いかけた一種のノンフィクション・ドキュメント。いろんなエピソードが連続して冗舌に語られています。当時のパリの様子はどうだったか好奇心を刺激されました。細部の面白…

:『近代日本と仏蘭西』

三浦信孝編『近代日本と仏蘭西―10人のフランス体験』(大修館書店 2004年) 日本人のヨーロッパ体験の本を読んでいますが、今回は、複数の人物のフランス体験を少し時代を広げて検討した本。東京日仏会館創立80周年を記念して行われたシンポジウムの記録です…

:オークション、ディスプレイ用洋書11冊2000円で掘り出し

オークションで、ディスプレイ用洋書一括というのをよく見かけます。そういう場合はたいてい一冊ずつの紹介がないので、背表紙を必死になって読み取ったりしますが、今回そうした苦労が実り、探求書を見つけることができました。 G.O.CHÃTEAUREYNAUD『Les Me…

:富田仁の四冊

/// /// 富田仁『読書探訪 ふらんす学の小径』(桜楓社 1979年) 富田仁『フランス語事始―村上英俊とその時代』(NHKブックス 1983年) 富田仁『長崎フランス物語』(白水社 1987年) 富田仁『日本のフランス文化―日仏交流の斜断譜』(白地社 1993年) 刊行…

:宮岡謙二『異国遍路 死面列伝 旅芸人始末書』

宮岡謙二『異国遍路 死面列伝 旅芸人始末書』(私家限定本 1954年) 日本人の海外体験を続けて読んでいます。今回は海外で亡くなった日本人と海外で興行した芸人たちの記録。著者は大阪商船勤務の後、別府亀の井ホテル代表取締役を勤めたアマチュアライター…

:Marcel Schneider『LE SANG LÉGER』(マルセル・シュネデール『軽い血』)

Marcel Schneider『LE SANG LÉGER』(ALBIN MICHEL 1952年) 前回読んだ『LE GUERRIER DE PIERRE』と同じく昨年オデオン広場の近くの古本屋dilettanteで買った本。同じ所有者が売ったらしく、両書とも気に入った文章の横に鉛筆で縦線をつけており、書評や広…

:幕末維新のパリ体験二冊

/// 井田進也校注『幕末維新パリ見聞記―成島柳北「航西日乗」栗本鋤雲「暁窓追録」』(岩波文庫 2009年) 高橋邦太郎『花のパリへ少年使節―慶応三年パリ万国博奮闘記』(三修社 1980年) 今回は、幕末維新の日本人のパリ体験記を二冊。『幕末維新パリ見聞記…

:文久二年の遣欧使節に関する本二冊

/// 芳賀徹『大君の使節―幕末日本人の西欧体験』(中公新書 1968年) 宮永孝『文久二年のヨーロッパ報告』(新潮社 1989年) しばらく日本人の海外体験、とくにヨーロッパ、フランス体験の本を読んでいきたいと思います。上記の本は2冊とも文久二年(1862)…

:いよいよ古本買いもフェイドアウトか

古本についての前回報告から、1ヶ月が経とうとしています。昔は月2〜3回のペースで報告していたのが、最近は月1〜2回で冊数も減ってきています。今回は1ヶ月間で7冊という結果となりました。この先どうなることやら。しかしたとえ1冊になっても報告は続けた…

:江國滋の三冊

/// 江國滋『旅券は俳句』(新潮社 1990年) 江國滋『微苦笑俳句コレクション』(実業之日本社 1994年) 江國滋『にっちもさっちも』(朝日新聞社 1978年) 読んだ順。はじめの二冊は俳句と文章、最後の一冊は俳句なしのエッセイです。前回『モーロク俳句ま…

:MARCEL SCHNEIDER『LE GUERRIER DE PIERRE』(マルセル・シュネデール『石の戦士』)

MARCEL SCHNEIDER『LE GUERRIER DE PIERRE』(BERNARD GRASSET 1969年) シュネデールの小説を読むのは、『LE CHASSEUR VERT』(2010年3月10日記事)、『LES DEUX MIRROIRS』(2012年3月16日記事)以来これで3冊目。この作品は、シュネデールの数ある小説作…

:俳句の本二冊

/// 坪内稔典『モーロク俳句ますます盛ん―俳句百年の遊び』(岩波書店 2009年) 秋山竹英子ほか『酔眼朦朧湯煙句集』(「酔眼朦朧湯煙句集」編集委員会 1998年) 最近頭がふにゃふにゃになってきたので、「モーロク」「酔眼朦朧」という言葉に惹かれて読んで…

:ボルヘス『幻獣辞典』ほか

/// ホルヘ・ルイス・ボルヘス/マルガリータ・ゲレロ柳瀬尚紀訳『幻獣辞典』(晶文社 1983年) 荒俣宏編『妖怪・怪物』(平凡社 1989年) Véronique Willemin/Joëlle Rodoreda『Les animaux fantastiques―Sculptures de Rêve』(Réunion des musées nationau…

:Jean-Baptiste Baronian『PANORAMA DE LA LITTÉRATURE FANTASTIQUE DE LANGUE FANÇAISE―Des origines à demain』(ジャン−バティスト・バロニアン『フランス幻想文学展望―起源から明日まで』)

Jean-Baptiste Baronian『PANORAMA DE LA LITTÉRATURE FANTASTIQUE DE LANGUE FANÇAISE―Des origines à demain』(La Table Ronde 2007年) フランス幻想文学の基本文献として、M・シュネデール、P・カステックスと並んで、よく名前が出てきていた本。ようや…

:四天王寺春の大古本祭りほか

今年も四天王寺の春の古本市に、2日目に行ってきました。午前中は均一台を中心に回り、デジコレクションという店の3冊500円均一で、早々に出物2冊を発見。が2冊だと600円になるので、何とか残り1冊を見つけようと苦戦、時間を取ってしまいました。 F・ゴンザ…

:怪物・幻想博物誌二冊

/// 荒俣宏『怪物の友―モンスター博物館』(集英社文庫 1994年) 澁澤龍彦『幻想博物誌』(河出文庫 1983年) 荒俣宏『怪物の友』は積読の一冊。澁澤龍彦『幻想博物誌』はこの文庫本が出た直後に一度読んでいて2回目。案の定ほとんど覚えておりませんでした。…

:ダヴィドフのチェロ協奏曲第1番

昨年の秋以降、音楽の話題が途切れているので。 最後の話題は19世紀ロシアの音楽で、フィッツェンハーゲン、ダヴィドフ、ルビンシテインらについて書きました。最近気づいたことですが、正確にはフィッツェンハーゲンはドイツ、ダヴィドフはラトヴィア生まれ…

:「ユリイカ 幻想の博物誌」

高山宏ほか「ユリイカ 特集:幻想の博物誌」(青土社 1993年) どうやら1980年代後半から90年代にかけて怪物ブームが起こっていたみたいです。このところ読んでいる幻獣本もだいたいその間に出版されています。この雑誌で荒俣宏、高山宏の両宏氏が書いている…

:MARCEL BRION『LE CAPRICE ESPAGNOL』(マルセル・ブリヨン『西班牙綺想曲』)

MARCEL BRION『LE CAPRICE ESPAGNOL』(Gallimard 1929年) ブリヨンの小説処女作。オデオン座広場の古本屋dilettanteの店頭均一棚で5ユーロで売られていた見っけもの。ブリヨンの文章はもともとそんなに難しい部類ではないし、知らない単語もそう多くは出て…

:神戸サンボーホール大古書市ほか

本日、古本仲間一名と標記古書市へ行ってまいりました。朝10時から途中休憩を挟んで昼3時まで、その後三宮センター街をぶらぶらしたので、どっと疲れてしまいました。購入本は5冊のみ。 ヴィック・ド・ドンテ富樫櫻子訳『人魚伝説』(平凡社、93年11月、500…

:怪物・幻獣評論アンソロジー二冊

/// 若桑みどりほか『怪物―イメージの解読』(河出書房新社 1991年) 安達史人ほか『幻獣の原型と変容』(北宋社 1986年) 前者は5名、後者は10名の著者による論文集。両書の雰囲気が対照的で、前者は緻密な文献渉猟にもとづいた学術論文の体裁であるのに対…

:伊藤進『怪物のルネサンス』

伊藤進『怪物のルネサンス』(河出書房新社 1998年) この本は、主として中世から16世紀頃までのヨーロッパで報告されている怪物について書かれています。もともと著者は16世紀フランス文学が専門のようですが、パリの裁判所員だった人の日記を読んで、驚異…

:Marcel Brion『La fête de la Tour des Ames』(マルセル・ブリヨン『魂の塔の祭』)

Marcel Brion『La fête de la Tour des Ames』(ALBIN MICHEL 1974年) この本は国内の古本市で買った本。ブリヨンの晩年(78歳)の作。久しぶりに、ブリヨンを読みました。これでブリヨンのフランス書を読むのは12冊目のはずです。今回は、久しぶりなことも…

:水の都の古本展ほか

購入が進まないせいで、ひと月近く古本報告をしておりませんでした。いよいよ加齢とともに本を買うのも慎重になってきたようです。標記の古本市は、先月下旬に大阪中之島の中央公会堂で行なわれた少し洒落た感じの古本市。下記2冊を購入。 鈴木道彦『フラン…

:人魚と河童の本

/// 笠間良彦『人魚の系譜―愛しき海の住人たち』(五月書房 1999年) 大野桂『河童の研究』(三一書房 1994年) 読んだ順番。人魚も河童も水の中に棲息する生き物であることと、両者とも実在しないが一時期実在するものとして扱われていたことがあり、また怪…

:一角獣の本二冊

/// 杉橋陽一『一角獣の変容』(朝日出版社 1980年) 種村季弘『一角獣物語』(大和書房、1985年) 種村季弘の本は新刊で出た直後に読んでいて2回目。一角獣については、張競『天翔るシンボルたち』や立川武蔵『聖なる幻獣』でも部分的には取り上げられてい…