:四天王寺春の大古本祭りほか

 今年も四天王寺の春の古本市に、2日目に行ってきました。午前中は均一台を中心に回り、デジコレクションという店の3冊500円均一で、早々に出物2冊を発見。が2冊だと600円になるので、何とか残り1冊を見つけようと苦戦、時間を取ってしまいました。
F・ゴンザレス=クルッシ野村美紀子訳『五つの感覚―イタロ・カルヴィーノ追想』(工作舎、93年10月、167円)→五感を種にしたエッセイ集。文章が面白そう。
眞鍋呉夫『霧のきらめき―昭和期の文人たち』(KSS出版、98年11月、167円)→矢山哲治、種村季弘佐藤春夫石川淳、那珂太郎ら。
内田樹『街場の文体論』(ミシマ社、12年7月、166円)
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 次も、私にとってはまずまずの買い物。一冊堂というお店(だったと思う)で。
金原礼子『ガブリエル・フォーレと詩人たち』(藤原書店、93年2月、1000円)→フォーレの歌曲の原詩、主としてフランス象徴詩について書いている。フォーレの歌曲は私にはまだ難しいので、この本を眺めながらゆっくりと聴いてみよう。裸本なので安かった。

 午前中はここまでで、古本仲間6人で中華料理屋の2回で昼宴会の後、いったん解散。私はしぶとく会場に残りました。3時ごろに強風が吹いてテントが飛ばされそうになっていました。
野見山朱鳥『曼珠沙華』(書林新甲鳥、昭和29年3月、300円)→処女句集。箱は壊れそうだが中はきれい。
丸山薫編『日本の名詩』(集英社、昭和45年9月、150円)→「恋と愛」「夢想と幻想」「旅」「鳥・獣・虫・魚」「音楽とスポーツ」などテーマ別の編集が面白い。幅広い詩人が収められている。
龍野忠久『パリ1960』(沖積舎、91年10月、600円)→山内義雄の教え子で、ちょっと変わった人のようだ。留学時代の面白いエピソードが書かれていそう。
小林惠子『解読「謎の四世紀」―崇神ヤマトタケル神功皇后、応神の正体』(文藝春秋、95年9月、300円)→空白の4世紀が気になって。類書のなかでは読みやすそうだったので。
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 上本町の一色文庫で、ふたたび仲間3名が集合。いつもの百円均一棚で。
世界ユーモア文庫03『田辺貞之助エドモンド・アブー「山賊株式会社社長」/ベルナール「二ペンスの切手」』(筑摩書房、昭和52年12月、100円)→アブー作品は生田耕作が「フランス小説ベスト」にあげていたもの。翻訳が出ているとは知らなかった。
立木鷹志『女装の聖職者ショワジー』(青弓社、00年9月、100円)→ルイ14世時代の畸人の伝記。
坪内稔典『モーロク俳句ますます盛ん―俳句百年の遊び』(岩波書店、09年12月、100円)
乾正雄『夜は暗くてはいけないか―暗さの文化論』(朝日選書、04年1月、100円)
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 今月はオークションでたくさん買ってしまいました。
吉川順子『詩のジャポニスム―ジュディット・ゴーチェの自然と人間』(京都大学学術出版会、12年7月、2050円)
「ラ・メール 特集:わたしの詩論」(現代詩ラ・メールの会、90年10月、300円)→多田智満子以下女流詩人たちが自らの詩法について書いている。
デイヴィッド・ゴードン・ホワイト金利光訳『犬人怪物の神話―西欧、インド、中国文化圏におけるドッグマン伝承』(工作舎、01年3月、578円)→幻獣本の一環。
山宮允譯『紅雀』(内外出版、大正14年4月、500円)→「愛蘭新詩鈔」「英米新詩鈔」「寫象派詩鈔」「後期印象派の詩」「立體派の詩」「東邦詩鈔」、巻末に詩人の紹介がついている。
アンリ・ド・レニエ川口篤譯『深夜の結婚』(三笠書房、51年2月、1038円)→これでレニエの翻訳は全部入手できたと思う。
シギズムント・クルジジャノフスキィ東海晃久訳『藭童のための童話集』(河出書房新社、13年5月、1000円)
「別冊FAUNE 第3号」(村松定史、88年9月、330円)→村松定史氏主宰の同人誌。小さい雑誌だが銅版画を巻頭に添えた洒落た翻訳誌。ローデンバック「ヴェール」、フルニエ「肖像」ほか。
「別冊FAUNE 第4号」(村松定史、88年11月、510円)→ローデンバッハ「臨終の町―ブリュージュ」、レニエ「指環」、J・フェリー「中国の占星術師」ほか。
「別冊FAUNE第 5号」(村松定史、89年5月、300円)→ローデンバッハ「墓」、ネルヴァル「考察」、J・フェリー「カフカ、または『秘密結社』」ほか。
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 店頭では、大阪駅前第3ビルの永井古書店で、面白いものを見つけました。
『酔眼朦朧湯煙句集』(「酔眼朦朧湯煙句集」編集委員会、98年12月、108円)→種村陶四郎(季弘)、池内黙念(紀)らの楽しい句が満載。

 奈良日仏協会の用事で、奈良へ出向いたついでに、もちいど商店街のフジケイ堂に入ったところ、ばったりと古本仲間と出会いました。相手は奈良に勤めてる人間なのでそんなに不思議ではないが・・・。
H・ジェイムズ蕗沢忠枝訳『ねじの回転』(新潮文庫、昭和59年11月、54円)