:四天王寺春の大古本祭りと京都勧業館の春の古書大即売会二本立て

 暖かくなって、いよいよ本格的な古本市シーズンに突入。関西では、大阪、京都と続いて大きな古本市がありました。四天王寺は古本仲間の都合もあり二日目に集結。池崎書店、シアル、ロビンなどで購入。

 なかでまずまず収穫と言えるのは下記。
小林秀雄他訳『ジイド全集ⅩⅢ 文學評論』(新潮社、昭和26年7月、200円)→メエテルリンク、ヴェルハアレン、ピエル・ルウイ、マルドリュス、レニエ、リイラダンなどを論じている。
アンリ・ミショー小海永二訳『プリュームという男』(国文社、73年11月、500円)
松浦寿輝詩集』(思潮社、85年4月、500円)→この2冊はともに私好みの物語風散文詩だったので。
米倉巌『萩原朔太郎の詩想と論理』(桜楓社、平成5年5月、200円)→日夏耿之介との関係について後半四分の一ぐらい割いていたので。
マリー・ルイーゼ・カシュニッツ西川賢一訳『六月半ばの真昼どき』(めるくまーる、94年1月、600円)→ドイツの短編。日常に侵入する異常を描いたとある。
春日武彦『無意味なものと不気味なもの』(文藝春秋、07年2月、900円)→タイトルが気に入った。
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 今回大失敗だったのは、全品6冊800円の小町書店で、6冊という数だけ念頭にあり、ちょうど荷風の評伝を読んで作品を読みたくなっていたので、あれこれ買いましたが、よく考えてみると、ぺらぺらの文庫本なので、1冊133円は高い。
岩村透/宮川寅雄編『芸苑雑稿 美術と学生 巴里の美術学生』(平凡社、昭和46年3月、134円)
勝本清一郎校訂『北村透谷選集』(岩波文庫、昭和45年9月、133円)
永井荷風『すみだ川 他三篇』(岩波文庫、79年10月、133円)
永井荷風『花火・雨瀟瀟 他二篇』(岩波文庫、79年10月、133円)
永井荷風『濹東綺譚』(岩波文庫、76年7月、133円)
永井荷風訳『珊瑚集―仏蘭西近代抒情詩選』(岩波文庫、02年11月、134円)→原詩が掲載されていたので。ところが家に帰って見たら、原詩だけの冊子を所持していた。

 他に、
村松剛『日本近代の詩人たち―象徴主義の系譜』(サンリオ出版、75年8月、300円)
『新選 吉岡実詩集』(思潮社、78年6月、200円)
本田錦一郎『芸術のなかのヨーロッパ像』(篠崎書林、平成元年3月、100円)


 勧業館の古本市には初日に行きました。ここはいつも混みあって思うように本が見られないのと、値付けが高いのでなかなか買えず、1時間経っても1冊しか手にできなくて焦りました。しかし丹念に見て回ると、それなりに探していた本が見つかるものです。キクオ書店、萩書房、古書キリコ、三密堂、中井書房などで購入。なかで特筆すべきは、最近また関心を抱いているナンセンスやなぞに関する本。
新倉俊一編著『ノンセンスの磁場―近代詩アンソロジー』(れんが書房新社、80年10月、1080円)
清岡卓行『ふしぎな鏡の店』(思潮社、89年8月、1080円)
福音館書店編集部編『なぞなぞの本』(福音館書店、97年1月、540円)
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 巴里の日本人の本を読んでいて、ずっと気になっていた人物の評伝。
蜷川讓『パリに死す―評伝・椎名基二』(藤原書店、1080円)

 短詩型の詩人でもある著者が選んだフランス詞華集。
吉田加南子『フランス詩のひととき―読んで聞く詞華集』(白水社、09年6月、864円)→CD付とあるが欠。

 今頃こんな本を読んでも遅いと思うが、面白そうなので。
安原顯編『私の外国語上達法』(メタローグ、94年5月、540円)→富士川英郎中村真一郎辻邦生高橋英夫平川祐弘渡辺一民天沢退二郎、西永良成、今泉文子、高山宏吉田加南子鹿島茂、吉田城、沼野充義中条省平巽孝之野崎歓ら。

 他に、
ジャン=クロード・ラミ大友徳明訳『アルセーヌ・リュパン―怪盗紳士の肖像』(東京創元社、86年2月、742円)
角川書店編『ドッペルゲンガー奇譚集―死を招く影』(角川ホラー文庫、平成10年12月、324円)
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 と書いて、本をしまおうと本棚を掻きまわしていたら、新倉俊一編著『ノンセンスの磁場―近代詩アンソロジー』と永井荷風訳『珊瑚集―仏蘭西近代抒情詩選』はすでに所持していることが判明。おまけに『ノンセンスの磁場』は20年ぐらい前に読んでいた!何も覚えていない。