2016-01-01から1年間の記事一覧

:ANDRÉ HARDELLET『LE SEUIL DU JARDIN』(アンドレ・アルドレ『庭園の入口』)

ANDRÉ HARDELLET『LE SEUIL DU JARDIN』(GALLIMARD 1996年) マルセル・シュネデールの『フランス幻想文学史』で知った作家。今回初めて読みました。話の展開の明快さや文章の素直さからはいかにも現代の小説という印象です。ハードボイルド的な要素、ポル…

:廣瀬哲士『新フランス文学』

中函 廣瀬哲士『新フランス文学―ナチュリスムよりシュルレアリスム』(東京堂 1930年) 著者については知りませんでした。「仏蘭西文學」という雑誌の同人ということですが、おそらくどこかの大学の先生だったと思われます。この本は「詩」「劇」「小説」「…

:京都市勧業館春の古書大即売会ほか

春は古本の季節。四天王寺に続いて勧業館に行ってまいりました。初日は二日酔いだったので、二日目。平日にもかかわらず、開場前には長蛇の列ができていました。この辺が京都と大阪の違いか。いつも同じ店で購入することが多いので、あらかじめその店をリス…

:四天王寺春の大古本祭りほか

標記古本市の初日、古本仲間とともに参戦。 フランスでの無節操な買い方を反省してか、野外古本市にしては珍しくあまり買えませんでした。6冊、いちばん高い本が300円で、計1400円也。 まずI堂というお店で二冊。 堀田郷弘訳編『バスク奇聞集』(教養文庫、8…

:酒井健『ゴシックとは何か』

酒井健『ゴシックとは何か―大聖堂の精神史』(講談社現代新書 2000年) この本は、先日のツアーでシャルトルとランスの大聖堂を見に行く予定だったので、行きの飛行機の中で読んだもの。ひと月ほど経つのであらかた忘れてしまいました。バタイユを専門にして…

:ジャン・ロランの伝記(ノルマンディ著)

Georges Normandy『JEAN LORRAIN』(VALD.RASMUSSEN 1927年) 先日読んだロランの『LE CRIME DES RICHES(富豪たちの犯罪)』で、ノルマンディの「LA LEGENDE ET LA VIE DE JEAN LORRAIN(ロランの伝説と生涯)」という35ページの序文を読みましたが(3月4日…

:パリ古本ツアー報告第三弾

シャンパーニュ地方バスツアーを挟んで、第五日目は本格的に古本屋回り。ホテルの近所から始めて5区6区を集中的に。 最初はホテル近くのHENRI VIGNE。この本屋もよし。 ここでは、ジャン・ロランを集中的に購入。 JEAN LORRAIN『Propos d’Ames simples』(Pa…

:パリ古本ツアー報告第二弾

本が届きましたので、前回(4月11日記事参照)に引き続き、購入の順に報告します。 まず、到着翌日のブラッサンス公園古本市。まだ早かったので客は少ない。 最初に買ったのは下記。タイトルの「SANGUINES」の意味が分かりませんでしたが、ツアー一冊目だっ…

:辻邦生関連本三冊

/// 辻邦生『シャルトル幻想』(阿部出版 1990年) 辻邦生『のちの思いに』(日本経済新聞社 1999年) 辻佐保子『「たえず書く人」辻邦生と暮らして』(中公文庫 2011年) 高校生時分におそらく友人に薦められてと思いますが『夏の砦』を読んだことを覚えて…

:パリ古本ツアー報告第一弾と『Tankas』

前回(2012年7月の記事参照)からほぼ4年ぶりに、パリへ古本買いに行ってまいりました。滞在は7日間で、1日をランス・シャンパーニュ地方へのバスツアー、1日をお土産買いその他に費やしたので、実働5日間。前回よりも冊数は少なかったものの、充実した内容…

:梶浦正之『現代仏蘭西詩壇の検討』

梶浦正之『現代仏蘭西詩壇の検討』(肇書房 1944年) いくつか驚いたことがありますが、まず1944年という敗戦色が出てきている戦時下で、こんなのんびりした、しかも敵国の文化についての本が出版されていたこと。次に梶浦正之という著者について聞いたこと…

:安い本もあれば高い本もあり

しばらく安い本を立て続けに買うことができたので、気を良くして高い本にも手を出してみました。価格の制約を外すと結構いい本があるものです。 まずオークションで下記の本。100円で出ていて、まさかそのまま落札はしないだろうと思っていたのが、すんなり…

:ジュール・ユレ『詩人たちとの対話―フランス象徴詩人へのアンケート』

ジュール・ユレ平野威馬雄訳『詩人たちとの対話―フランス象徴詩人へのアンケート』(彌生書房 1980年) 象徴主義についての評論で必ずといっていいほど引用される基本文献。原書は、当時の64名の文学者に対して行われたインタヴュー・アンケートをまとめたも…

:キューゲル『象徴詩と變化の手法』

ジェイムス・L・キューゲル荒木亨訳『象徴詩と變化の手法』(東海大学出版会 1981年) 30年近く前に読んで好印象を持った記憶がありますが、内容は忘れていたので、象徴主義詩シリーズには欠かせないと再読してみました。一言でいえば、これまで読んできた…

:JEAN LORRAIN『LA DAME AUX LÈVRES ROUGES』(ジャン・ロラン『赤い唇の婦人』)

JEAN LORRAIN『LA DAME AUX LÈVRES ROUGES』(L’Harmattan 2001年) 「Collection Les Introuvables(未発見叢書)」の一冊。これは入手困難になっている著作を復刻出版するシリーズ。この作品は、ジャン・ロランが1888年に夕刊紙「エコードパリ」に連載し、…

:加藤美雄『フランス象徴詩研究』

加藤美雄『フランス象徴詩研究―セーヴ、ランボー、コルビエール、マラルメ』(駿河台出版社 1979年) 研究誌に寄稿した論文を集めたもので、いささか学術論文の悪い面が目につきました。文献への言及が多く、その紹介にページを割いており、注釈の量がすごい…

:カナダへの発注本ついに届かず

1月10日にカナダに発注した本が予定の期限を過ぎても届かなかったので、発注先の古本屋に問い合わせ、何回かやり取りした結果、途中で紛失したという結論に達し、全額払い戻しをしてもらうことになりました。海外古本ネットの強力な検索エンジン(http://www…

:JEAN LORRAIN『LE CRIME DES RICHES』(ジャン・ロラン『富豪たちの犯罪』)

JEAN LORRAIN『LE CRIME DES RICHES』(BAUDINIÈRE 発刊年不詳) 4年ほど前にパリで買った本。その時小包で送ろうとして、箱の重量オーバーとかで、替わりに麻袋のようなものに放り込まれたため、家に届けられたときには表紙も剥がれボロボロになっていたも…

:山村嘉己『象徴主義は死なず』

山村嘉己『象徴主義は死なず―フランス象徴主義詩史概説』(青山社 1995年) 山村嘉己氏はフランス象徴主義が専門のようで、著書も三冊ばかり所持していますが、いずれもその分野に関するもの。今回初めて読みました。この本は学生向きに書かれた通史による概…

:平野威馬雄『フランス象徴詩の研究』

平野威馬雄『フランス象徴詩の研究』(思潮社 1979年) 20年近く前に読んだ本の再読。衝撃的な『隠者の告白』で著者に興味を持ち読んだことを覚えています。当時の感想文には、内容の乱脈さ、編集の粗雑さに対して不満を書き連ねていて、評価もかなり低くつ…

:久しぶりにオークションで落札

今年になって、雑誌1冊を除いてオークションではことごとく敗退していました。理由は、古本買いを少しセーヴするために、無理せずに価格を抑えて入札しているからです。ところが今週はなぜか安価に次々と落札できました。 豊島与志雄童話作品集『夢の卵』(…

:フランス詩対訳解説本もう一冊

田中淳一『地球とオレンジ―フランス現代詩を読む』(白水社 1980年) 白水社の「ふらんす双書」の一冊。前回の『ミラボー橋の下をセーヌが流れ』もこのシリーズ。他に安藤元雄のフランス詩対訳本を読んだことがあります。 この本の特徴は、エリュアール以降…

:フランス詩の注釈書2冊

///扉 窪田般彌『ミラボー橋の下をセーヌが流れ―フランス詩への招待』(白水社 1996年) 堀口大學『註と解 仏蘭西現代詩の讀み方』(第一書房 1932年) 窪田般彌を読むのはこれが最後。ここからフランス詩についての本を続けて読んでみようと思います。二冊…

:窪田般彌の随筆2冊

/// 窪田般彌『夜の牡蠣』(小沢書店 1983年) 窪田般彌『ギボシと紫陽花』(六興出版 1986年) 少し軽めの随筆集二冊。『詩と象徴』などに比べて一篇がいずれも短く、新聞や雑誌、月報等に寄稿したものを集めたもののようです。『夜の牡蠣』には、個人的な…

:Henri de Régnier『ESQUISSES VÉNITIENNES』(アンリ・ド・レニエ『ヴェニス素描』)

Henri de Régnier『ESQUISSES VÉNITIENNES』(COLLECTION DE L’ART DÉCORATIF 1906年) 1906年の初版。あまりに古い本でページを開くと分解してしまいそうなので、各ページを写真に撮り、パソコンで拡大して読みました。活版印刷なので字が紙にめり込んだ感…

:窪田般彌『詩と象徴―日本の近代詩人たち』

窪田般彌『詩と象徴―日本の近代詩人たち』(白水社 1977年) 全般的に、前回読んだ随想風の『フランス文学夜話』に比べて濃密な印象があり、文章が論理的でしっかりした評論が揃っています。全篇を通じて日本の詩がテーマになっており『日本の象徴詩人』の続…

:新年初買い報告

今頃になりましたが本年初報告。今年は古本運があまりよくない予感がします。オークションではことごとく敗退するうえに、新年最初の買い物がW買いとなってしまいました。古本仲間との新年会へ行く途中、最近店舗が移転した難波のT書房で買った下記の本。1…

:HENRI DE RÉGNIER『ESCALES EN MÉDITERRANÉE』(アンリ・ド・レニエ『地中海の旅』)

HENRI DE RÉGNIER『ESCALES EN MÉDITERRANÉE』(BUCHET CHASTEL 2007年) 次もレニエ。小説ではなくて旅行記です。4年ほど前パリで新刊で買ったもの。1931年刊の「ESCALES EN MÉDITERRANÉE(地中海の旅)」と1927年刊の「Donc(箴言集)」を新しくまとめたも…

:窪田般彌『フランス文学夜話』

窪田般彌『フランス文学夜話』(青土社 1981年) レニエを読んだ流れで、『生きている過去』や『ヴェネチア風物誌』を訳している窪田般彌の本を続けて読んでみようと思います。窪田般彌の評論はこれまで6冊ほど読んでいますが、所持していて読んでないのも5…

:アンリ・ド・レニエ『燃え上る青春』

アンリ・ド・レニエ堀口大學譯『燃え上る青春』(新潮文庫 1968年) この小説も学生時代に読んだものの再読。昔の新潮文庫なので、字は細かく読みづらかったですが、訳文がこなれているせいか、文章は読みやすいと思いました。理屈っぽさが少ないのと、話が…