酒井紀美『夢語り・夢解きの中世』(朝日選書 2001年) 江口孝夫『夢と日本古典文学』(笠間書院 1974年) 今回も日本の古典文学、説話の中に取り上げられた夢に関連した本。『夢語り・夢解きの中世』は、著者自らも冒頭で、『古代人の夢』に感銘を受けそれ…
JEAN RICHEPIN『MIARKA―LA FILLE À L’OURSE』(CHARPENTIER FASQUELLE 1948年) ひさしぶりに生田耕作旧蔵書を読みました。生田耕作旧蔵書は54冊所持していますが、読むのはこれで26冊目。350頁の長編です。読んだ印象は、同著者の短篇集『Le Coin des fous…
今年は、年末の阪神古書ノ市がなくて寂しくなりました。 今月は、小学校時代の友人とサイクリング仲間を偲ぶ昼酒会を淡路で催した際、ちょうど谷町月いちの初日だったので、朝早くから出かけました。谷町古書会館に到着すると、まだ開場前で、20人ぐらいが列…
西郷信綱『古代人と夢』(平凡社 1993年) 歳を取ったせいか最近夢をよく見るようになりました。ほとんど毎日、とくに明け方の目の覚める前に、大量に見るので、これはボケの始まりかと心配しているところです。昔の職場の仲間とか大学時代の友人ら、亡くな…
多田智満子『川のほとりに』(書肆山田 1998年) 多田智満子『長い川のある國』(書肆山田 2000年) 多田智満子『封を切ると』(書誌山田 2004年) 多田智満子『遊星の人』(邑心文庫 2005年) 前回に続いて、多田智満子の俳句や短歌を含む、後期の詩集を読…
多田智満子『薔薇宇宙』(昭森社 1964年) 多田智満子『鏡の町あるいは眼の森』(昭森社 1968年) 多田智満子『贋の年代記』(山梨シルクセンター出版部 1971年) 『多田智満子詩集』(思潮社 1972年) 多田智満子『四面道』(思潮社 1975年) 多田智満子『…
『入沢康夫詩集』(思潮社 1992年) 入沢康夫『声なき木鼠の唄』(青土社 1971年) 入沢康夫『かつて座亜謙什と名乗った人への九連の散文詩』(青土社 1978年) 入沢康夫『牛の首のある三十の情景』(書肆山田 1979年) 異空間をテーマにした詩としては、「…
永井元章『逃亡用迷路』(ふらんす堂 1995年) 小林茂『幽界より』(書肆山田 2006年) 今はもう元気もなくなりつつありますが、以前は、古本屋や古本市で、名前を知らない著者の場合でも、タイトルに気を惹かれれば手に取って適当なページを読んでみて、少…
Rachilde『LA FEMME AUX MAINS D’IVOIRE』(J.FERENCZI ET FILS 1937年) 原著は1929年刊ですが、「LE LIVRE MODERNE ILLUSTRÉ」というシリーズでの再刊本。このシリーズは、数冊所持していますが、少し幅広の判型で表紙のデザインも統一され、版画の挿画が…
寺山修司『棺桶島を記述する試み』(サンリオ出版 1973年) 金井美恵子『春の画の館』(講談社文庫 1979年) 異界と奇想をテーマとした散文詩ということでまとめてみました。両作はテイストはまったく異なります。好悪で言えば、『棺桶島』が圧倒的に面白く…
報告が遅くなりましたが、百万遍の秋の古本まつりは、二日目の10月30日(日)に行ってきました。食あたりで体調が悪いなか、古本仲間との約束もあり無理して出かけましたが、精神が集中できず、茫然と古本テントのあいだをさ迷うのみとなりました。以下購入…
高橋優子『冥界(ハデス)の泉』(沖積舎 1997年) 高橋優子『薄緑色幻想』(思潮社 2003年) 高橋優子『薔薇の合図(シーニュ)―Signe de la rose』(天使舎 2003年) 高橋優子はまったく知らない人でしたが、オークションで、『薔薇の合図(シーニュ)』が…
上田周二『死霊の憂鬱』(沖積舎 2000年) 上田周二『彷徨』(沖積舎 2009年) 前回、学生の頃に矢島輝夫に衝撃を受けたと書きましたが、上田周二も、『闇の扉』を学生時代に読んで、同様の衝撃を受けたことを覚えています。今回は、タイトルに惹かれて買い…
J.-H.Rosny ainé『L’ÉNIGME DE GIVREUSE suivi de LA HAINE SURNATURELLE』(Bibliothèque nationale de France 2017年) フランスSFの祖の一人と言われるロニー兄の作品を読んでみました。これまで『フランス幻想文学傑作選3』(白水社)や『19世紀フランス…
坂井信夫『影の年代記』(弓立社 1979年) 坂井信夫『レクイエム』(七月堂 1983年) 坂井信夫についてはまったく知りませんでしたが、4年ほど前、神戸の古本市で、『レクイエム』を手に取り、架空の町をテーマとした散文詩のようだったので、購入したのが始…
函 中 時里二郎『胚種譚』(湯川書房 1983年) 時里二郎『翅の伝記』(書肆山田 2003年) この人の詩集は入手が難しくて、この2冊しか読んでませんが、2冊に共通しているのは、『胚種譚』には北川健次という人の銅版画、『翅の伝記』には勝本みつるという人…
粕谷栄市『鄙唄』(書肆山田 2004年) 粕谷栄市『轉落』(思潮社 2004年) 粕谷栄市『遠い川』(思潮社 2010年) 古河文学館編『粒来哲蔵と粕谷栄市』(古河文学館 2006年) 前回に引き続き、粕谷栄市を読みました。これで、入手困難の最新作(と言っても201…
秋の古本市シーズンたけなわ、上記の二つの古本市を覗いてきました。まず四天王寺の古本祭りは、二日目に行きました。初日は雨だったのと、この日3連休初日の土曜日だったので、大賑わい。 10時前に到着、100円均一台で、下記2冊。W買いを覚悟だったが、幸い…
Frédérick Tristan『Dieu, l’Univers et madame Berthe』(FAYARD 2002年) 10年ほど前のパリ古本ツアーで、ジベール・ジョゼフ書店で買ったもの。フレデリック・トリスタンを読むのは初めて。たぶんトリスタン作品は一篇も翻訳が出てないはずです。名前を知…
『粕谷栄市詩集』(思潮社 1976年) 『続・粕谷栄市詩集』(思潮社 2003年) 粕谷栄市『鏡と街』(思潮社 1992年) 粕谷栄市『化体』(思潮社 1999年) やはり異界が多く舞台となっている粕谷栄市の散文詩を2回に分けて読もうと思います。まず初回は、処女詩…
高柳誠『卵宇宙/水晶宮/博物誌』(湯川書房 1983年) 高柳誠『都市の肖像』(書肆山田 1988年) 高柳誠『塔』(書肆山田 1993年) 高柳誠『綾取り人』(湯川書房 1985年) 高柳誠/小林健二(装画)『星間の採譜術』(書肆山田 1997年) 高柳誠『夢々忘るる勿…
8月から9月にかけては、8月の上記古本市へ行ったほか、もっぱらオークションで購入しました。たにまち月一古書即売会は、阪神西宮で呑み会があったついでに立ち寄ったものです。 いつもの矢野書房で、下記2冊。 杉山平一『戦後関西詩壇回想』(思潮社、03年2…
清岡卓行『萩原朔太郎「猫町」私論』(文藝春秋 1974年) 架空の町、あるいは幻覚の町を描いた小説である萩原朔太郎の「猫町」についての評論を読んでみました。「猫町」は、朔太郎の詩に熱中していた学生時代に読んで、惹きこまれた覚えがあります。 著者は…
君野隆久『ことばで織られた都市―近代の詩と詩人たち』(三元社 2008年) いくつかのテーマの異なった文章が収められていますが、そのなかで、タイトルにもなっている「ことばで織られた都市」と「水路の詩学」が、異界のテーマに関連するような気がして、読…
ジル・ラプージュ中村弓子/長谷泰/巌谷國士訳『ユートピアと文明―輝く都市・虚無の都市』(紀伊國屋書店 1988年) 結構大部な本。ユートピアを古代から現代にかけて通覧し、ユートピアの事例や関連した議論がたくさん盛り込まれていました。これもフランス独…
LÉON-PAUL FARGUE『haute solitude』(GALLIMARD 1982年) 珍しくパリで新刊で買った本。原著は、1941年刊。何かの本で高い評価がされていたので、読んでみましたが、読み始めた途端、この本を選ぶのではなかったと後悔しました。散文詩なのでとてつもなく難…
澤井繁男『ユートピアの憂鬱―カンパネッラ「太陽の都市」の成立』(海鳴社 1985年) アルカディア、黄金時代の次はユートピアに関する本を読んでみました。都市生活者が現実を忌避して肥沃の地に憧れたのがアルカディアとすると、ユートピアは都市そのものを…
ハリー・レヴィン若林節子訳『ルネッサンスにおける黄金時代の神話』(ありえす書房 1988年) ルネッサンス期に、黄金時代の神話がどのように受容されていたかを探究した本。前回の『牧歌』同様、分かりやすく、よくまとまっていて、かついろんな刺激的な議…
先週、下鴨古本市の初日に覗いてきました。休日のため人出が多く、古本は見にくいわ、暑いわでぐったり。昼食は、古本仲間と、生ビールとから揚げ&ソーセージ。再び会場へ取って返し、1時間ほど見てから、また喫茶店へ。ソーダフロートで蘇りました。 そん…
ピーター・V・マリネリ藤井治彦訳『牧歌』(研究社 1973年) しばらく西洋の理想郷についての本を読もうと思います。東洋の理想郷としては、桃源郷が文学や絵画の世界でひとつの系譜を形作っていることは、これまでも芳賀徹の著書などで見てきましたが、この…