『日本の名随筆24 夢』

埴谷雄高編『日本の名随筆24 夢』(作品社 1986年) 今回は、夢を題材にした随筆選。これまで読んできた本とは違い、学術臭が抜けて、気楽に読めるものが多くありました。37篇も集めるのにずいぶん苦労があったと思いますが、玉石混交というか、質はバラバラ…

「imago 総特集:夢」

河合隼雄責任編集「imago 総特集:夢」(青土社 1991年) 引き続き雑誌の夢特集。対談一つと29篇の論文からなり、読むのに結構時間がかかりました。半分以上が精神医学の立場からの夢についての論文が中心で、しかも臨床心理学者が多く、責任編集者の河合隼…

四天王寺の春の大古本祭りほか

5月初めに、会期半ばの四天王寺春の大古本祭りに行ってきました。久しぶりの古書市のせいか、思わず知らず買い込んでしまいました。 まず100円均一コーナーに行くも収穫なし。次に全棚300円均一の瀬戸内アーカムハウスへ行く。そこで下記3冊。 ジュール・ル…

「ユリイカ 特集:夢」

種村季弘/由良君美/磯田光一ほか「ユリイカ 特集:夢」(青土社 1979年) 前回に引き続いて、雑誌の夢特集。錚々たるメンバーを集めています。評論とエッセイが12篇、対談1、コラム1、詩2篇で、評論は、文学、絵画の領域から夢を論じたものが中心となってい…

「伝統と現代 総特集:夢」

高田衛/遠丸立/笠原伸夫ほか「伝統と現代 総特集:夢―想像力の源泉と文化の祖型」(伝統と現代社 1973年) 大昔に買って大事に置いておいた本。いくつかの論文は読んだ形跡がありますがまったく覚えておりません。「伝統と現代」は他にも、関心のあるテーマ…

NOËL DEVAULX『LE PRESSOIR MYSTIQUE』(ノエル・ドォヴォー『神秘の圧搾機』)

NOËL DEVAULX『LE PRESSOIR MYSTIQUE』(GALLIMARD 1982年) 本書は、1937年から45年に書かれた作品を集めて1948年に出版されています。前回読んだ『l’auberge Parpillon(パルピヨン館)』は、1937年から44年までの作品をまとめて1945年に出版されています…

M・ポングラチュほか『夢の王国』

M・ポングラチュ/I・ザントナー種村季弘/池田香代子/岡部仁/土合文夫訳『夢の王国―夢解釈の四千年』(河出書房新社 1987年) 大部の本。三部に分かれ、第一部は、夢をどう考えたかについて古代から現代までの歴史的地域的概観、第二部は、夢に登場する事物の…

ボルヘス『夢の本』

J・L・ボルヘス堀内研二訳『夢の本』(河出文庫 2019年) 持っていたと思っていたが見当たらなかったので最近買った本。ボルヘスによる夢のアンソロジー。夢なので総じて短く、いちばん長いもので24頁、全部で113の話が収められています。さすがにボルヘスだ…

G.H.シューベルト『夢の象徴学』

G.H.シューベルト深田甫訳『夢の象徴学』(青銅社 1976年) 夢についての本を続けて読んでいると、これまでと重複するような記述を多く目にするようになりました。今回は少し時代をさかのぼって、1814年の著作。動物や昆虫の生態、人間の神経組織など幅広い…

山内義雄『仏蘭西近代詩研究』ほか

今月は、先月よりは増えたもののほそぼそとした購入が続いています。すべてネットでの購入。変わったところでは、下記の3冊でしょうか。 山内義雄『仏蘭西近代詩研究』(金星堂、昭和8年1月、330円) 兼常清佐『与謝野晶子』(角川文庫、昭和33年3月、300円…

カイヨワ『夢の現象学』

ロジェ・カイヨワ金井裕訳『夢の現象学』(思潮社 1986年) これも25年ほど前に一度読んだ本。カイヨワは学生時代に京都の関西日仏学館で講演を聞いたことがありました。その後、『妖精物語からSFへ』、『幻想のさなかにー幻想絵画試論』、『詩法』など、訳…

Noël Devaulx『L’auberge Parpillon』(ノエル・ドゥヴォー『パルピヨン館』)

Noël Devaulx『L’auberge Parpillon』(GALLIMARD 1984年) 昨年読んだ『LA DAME DE MURCIE(ムルシアの貴婦人)』がものすごかったので(2022年4月5日記事参照)、シュネデールの『フランス幻想文学史』でも第一小説集でありかつ代表作として紹介されていた…

多田智満子『夢の神話学』

多田智満子『夢の神話学』(第三文明社 1989年) 新刊で出たときに読み、今回23年ぶりの再読。当時は、初めて聞くような話が多くて驚いたらしく、いろんなところに印をつけています。そうした話がこの本にあったことはすっかり忘れておりましたが、このとこ…

J・アラン・ホブソン『夢に迷う脳』

J・アラン・ホブソン池谷裕二監訳/池谷香訳『夢に迷う脳―夜ごと心はどこへ行く?』(朝日出版社 2007年) 夢の働きを脳の生理学的な探究から科学的に捉えようとした著作で、専門的なことは分かりませんが、かなり最新の知見を踏まえた新しい夢の位置づけがさ…

J・A・ハドフィールド『夢と悪夢』

J・A・ハドフィールド伊形洋/度会好一訳『夢と悪夢』(太陽社 1971年) また夢についての本。前回の『夢と死』に比べると、著者は幅広い知見を持ちバランスが取れていて、主張も明確です。また翻訳もこなれていて読みやすい。この本の主張をひとことで言えば…

GASTON COMPÈRE『LA FEMME DE PUTIPHAR』(ガストン・コンペール『ポティファルの妻』)

GASTON COMPÈRE『LA FEMME DE PUTIPHAR』(marabout 1975年) この作者についても、「小説幻妖弐 ベルギー幻想派特集」所収の森茂太郎の文章で教えられました。12篇が収められた短篇集で、期待して読んでみましたが、はっきり言ってがっかり。理由はいろいろ…

M-L・フォン・フランツ『夢と死』

M-L・フォン・フランツ氏原寛訳『夢と死―死の間際に見る夢の分析』(人文書院 1989年) ユング派の精神分析学者が、死に関連した夢について書いた本。死ぬ前に見る夢の話が多くて気分が沈んでしまいました。全体の印象からいえば、かなり怪しげな本という感…

本年古本初報告

今年初めての古本報告になります。さすがにこの歳になると、購買意欲も衰えてというか、堅実になって、1カ月半にもなるのに、この少なさとなりました。もう少し溜まるまで待っていようと思いましたが、いつのことになるやら分からないので、とりあえず報告し…

ビンスワンガー『夢と実存』ほか

ビンスワンガー荻野恒一訳『夢と実存』(みすず書房 1960年) ベルクソン宇波彰訳「夢」(『精神のエネルギー』〔第三文明社1998年〕所収) 『夢と実存』は、何とか最後まで読み通しましたが、序文というのは本来分かりやすい筈なのに、フーコーの序文がとて…

ハヴロック・エリス『夢の世界』

ハヴロック・エリス藤島昌平譯『夢の世界』(岩波文庫 1941年) 原著は1911年刊。学生の頃に買って積んでおいた本。旧字体で字が詰まっており、とくに割注のポイントが小さすぎて読みにくいが、文章自体はそれほど難しくなく、夢の事例が豊富で面白く読めま…

GUSTAVE KAHN『Le Roi Fou』(ギュスターヴ・カーン『狂王』)

GUSTAVE KAHN『Le Roi Fou』(G.HAVARD FILS 1896年) パリの古本屋の均一棚で6€で買った本。ギュスターヴ・カーンを読むのは初めて。名前は世紀末文学の評論などに象徴主義詩人としてよく出てきて、以前から読みたいと思っておりました。ところが、期待に反…

久米博『夢の解釈学』

久米博『夢の解釈学』(北斗出版 1982年) 夢についての理論書を読んでいきたいと思います。今回は、宗教学や神話学がご専門の著者のようですが、どちらかというと文学の領域からアプローチした本。古代人が夢に対して考えていたことから書き起こし、夢に関…

夢日記二冊

横尾忠則『私の夢日記』(角川文庫 1988年) 島尾敏雄『記夢志』(冥草舎 1973年) 明恵の夢日記に続いて、現代の夢日記を読んでみることにしました。この2冊は、同じ夢日記でも、書き方がまるで正反対で、横尾忠則は、夢を物語として誰かに喋るように書いて…

河合隼雄『明恵 夢を生きる』

河合隼雄『明恵 夢を生きる』(講談社 2007年) 古代、中世の人びとの夢に関する本を読んできましたが、今回は、日本の中世の代表的な夢日記に関する本を読んでみました。著者はユング派精神分析の大家で、夢の専門家です。断定するのではなくじわじわと輪郭…

夢と日本古典に関する二冊

酒井紀美『夢語り・夢解きの中世』(朝日選書 2001年) 江口孝夫『夢と日本古典文学』(笠間書院 1974年) 今回も日本の古典文学、説話の中に取り上げられた夢に関連した本。『夢語り・夢解きの中世』は、著者自らも冒頭で、『古代人の夢』に感銘を受けそれ…

JEAN RICHEPIN『MIARKA―LA FILLE À L’OURSE』(ジャン・リシュパン『ミアルカ―熊に育てられた娘』)

JEAN RICHEPIN『MIARKA―LA FILLE À L’OURSE』(CHARPENTIER FASQUELLE 1948年) ひさしぶりに生田耕作旧蔵書を読みました。生田耕作旧蔵書は54冊所持していますが、読むのはこれで26冊目。350頁の長編です。読んだ印象は、同著者の短篇集『Le Coin des fous…

年末報告、谷町月いち古書即売会ほか

今年は、年末の阪神古書ノ市がなくて寂しくなりました。 今月は、小学校時代の友人とサイクリング仲間を偲ぶ昼酒会を淡路で催した際、ちょうど谷町月いちの初日だったので、朝早くから出かけました。谷町古書会館に到着すると、まだ開場前で、20人ぐらいが列…

西郷信綱『古代人と夢』

西郷信綱『古代人と夢』(平凡社 1993年) 歳を取ったせいか最近夢をよく見るようになりました。ほとんど毎日、とくに明け方の目の覚める前に、大量に見るので、これはボケの始まりかと心配しているところです。昔の職場の仲間とか大学時代の友人ら、亡くな…

多田智満子の詩集②

多田智満子『川のほとりに』(書肆山田 1998年) 多田智満子『長い川のある國』(書肆山田 2000年) 多田智満子『封を切ると』(書誌山田 2004年) 多田智満子『遊星の人』(邑心文庫 2005年) 前回に続いて、多田智満子の俳句や短歌を含む、後期の詩集を読…

多田智満子の詩集①

多田智満子『薔薇宇宙』(昭森社 1964年) 多田智満子『鏡の町あるいは眼の森』(昭森社 1968年) 多田智満子『贋の年代記』(山梨シルクセンター出版部 1971年) 『多田智満子詩集』(思潮社 1972年) 多田智満子『四面道』(思潮社 1975年) 多田智満子『…