2014-01-01から1年間の記事一覧

:Jean Lorrain『La Maison Philibert』(ジャン・ロラン『フィリベール館』)

Jean Lorrain『La Maison Philibert』(Jean-Claude Lattès 1979) 久しぶりに、ジャン・ロランの長編を読みました。全部で314ページ。Jean Chalon(ジャン・シャロン)という、ロランの友人だったナタリー・バーネイの伝記を書いている人が、序文を寄稿して…

:楠本憲吉『俳句入門』

楠本憲吉『俳句入門』(文春文庫 1987年) 俳句論や俳句の手引書のようなものは、いくつか読みましたが、その都度何が書いてあったか忘れてしまっていて、いつも新鮮な気持ちで読むことになります。 楠本憲吉は、ひと頃テレビなどで活躍されていた方でよく見…

:俳句の本2冊

/// 小沢昭一『俳句武者修行』(朝日文庫 2005年) 坪内稔典『俳句のユーモア』(岩波現代文庫 2010年) 俳句本のなかでも、江國滋や小沢昭一のを読んでいると、目線が下の方にあって面白く、こよなくリラックスできます。坪内稔典の本も「三月の甘納豆のう…

:最近よく聴くCD

「ときどき音楽」というタイトルなのに、このところ音楽の記事が滞っているのは、コンサートにほとんど行かなくなったのが一因。このままではタイトル倒れか、というので仕方なく最近聴いているCDの話でも書いてつなぐことにします。 海外旅行では必ずその…

:京都下鴨納涼古本まつり

今年の下鴨古本まつりは、台風11号の影響で初日中止順延という一大事となりました。会場で「27年間で初めて」という古書店主の声も聞こえました。その順延された初日も前夜から激しい雨でどうなるかと思いましたが、幸いオープン直前に雨も上がりました。地…

:南條竹則『人生はうしろ向きに』

南條竹則『人生はうしろ向きに』(集英社新書 2011年) 今度新しくラムの『エリア随筆』を完訳した南條竹則の書いた本。ラムのことにも少し触れているようなので、ラムつながりで読んでみました。 南條竹則は『酒仙』のデビュー時に面白そうなので飛びついて…

:福原麟太郎『チャールズ・ラム傳』

福原麟太郎『チャールズ・ラム傳』(福武書店 1982年) ちょっとこのところ、ラムづいてます。今回は『陽気なクラウン・オフィス・ロウ』にもたくさん引用されていた本。日本のラム研究の基本図書とも言えるでしょうか。 ラムの生涯を、ラムの作品やラムおよ…

:チャールズ・ラム『エリア随筆抄』

チャールズ・ラム山内義雄訳『エリア随筆抄』(角川文庫 1969年) このところハズリットの随筆でラムのことが書かれていたのや、庄野潤三のラムを中心とした紀行文など、ラム周辺の本ばかり読んでいて、肝心の著書には手も触れてなかったので、勇を鼓して読…

:庄野潤三のエッセイと小説

/// 庄野潤三『文学交友録』(新潮社 1995年) 庄野潤三『夕べの雲』(講談社文芸文庫 1988年) 『陽気なクラウン・オフィス・ロウ』から引き続き、庄野潤三を読んでみました。『夕べの雲』は、岡崎武志、山本善行のどちらかが絶賛していたのと、『文学交友…

:気谷誠『愛書家のベル・エポック―アンリ・ベラルディとその時代』ほか

たにまち月いち古書即売会の初日、たまたま大阪で昼酒を飲む会があったので、立ち寄りました。特筆すべきは、 気谷誠『愛書家のベル・エポック―アンリ・ベラルディとその時代』(図書出版社、93年10月、1200円) この前この人の『西洋挿絵見聞録』をオークショ…

:HUBERT HADDAD『Le Secret de l’immortalité』(ユベール・アダッド『不死の秘密』)

HUBERT HADDAD『Le Secret de l’immortalité』(MILLE ET UNE NUITS 2002年) 今年3月に読んだ雑誌「Roman:Le Fantastique」(1985年)に収められていた「Le Secret de l’immortalité」が抜群に面白かったので、同名の表題の短編集を取り寄せ読んでみました。…

:庄野潤三『陽気なクラウン・オフィス・ロウ』

庄野潤三『陽気なクラウン・オフィス・ロウ』(文藝春秋 1984年) 庄野潤三は初めて読みましたが、長文で係り結びの分かりにくいかなりの悪文。英語に親しんでいる人なので、英文の構造の影響かもしれません。そういう意味では吉田健一の悪文と若干通じると…

:英国古代叙事詩二篇

/// 中村徳三郎訳『オシァン―ケルト民族の古歌』(岩波文庫 1982年) 厨川文夫譯『ベーオウルフ』(岩波文庫 1952年) 英国の心の淵源を探ろうと読んでみました。『オシァン』はこの本の解説によれば、スコットランドの高地地方に住むケルト民族に語り継がれ…

:イギリス・アイルランドで見た奇怪な図像

しばらくお休みをいただいておりましたが、この間、ダブリン、エジンバラ、ロンドン三都市を回遊しておりました。この方面は初めての旅でした。道中見た奇怪な図像をご覧いただきましょう。 全般的に印象深かったのは、やはり大英博物館の圧倒的な物量、ダブ…

:予告どおりほそぼそと購入

前回の報告で、「お金を使いすぎたので、しばらく自制することに」と書いたとおり、古本を買うスピードが若干ゆるんでまいりました。 店頭で買ったのは、下記のみ。 藤沢周『境界』(講談社、98年5月、270円)→これは麻雀会の帰りに難波のT書店で購入したもの…

:CONTES BRUNS par une tête à l’envers(逆さ頭による黄昏物語集)

Honoré de BALZAC/Philarète CHASLES/Charles RABOU『CONTES BRUNS par une tête à l’envers』(éditions des autres 1979年)(オノレ・ド・バルザック、フィラレート・シャール、シャルル・ラブー『逆さ頭による黄昏物語集』) 一昨年、パリの古書店で偶然…

:高橋哲雄『アイルランド歴史紀行』

高橋哲雄『アイルランド歴史紀行』(筑摩書房 1991年) 前回読んだ同じ著者の『二つの大聖堂のある町』が面白かったので、読んでみました。やはり叙述の仕方にとてもセンスがあって、好感が持てました。 冒頭、「海を渡るジョージたち」で、イギリスとアイル…

:イギリス関連ルポルタージュ二冊

/// ジョージ・オーウェル小野寺健訳『パリ・ロンドン放浪記』(岩波文庫 1989年) カレル・チャペック飯島周編訳『イギリスだより―カレル・チャペック旅行記コレクション』(ちくま文庫 2007年) この二冊はルポルタージュというだけで、中身はとんでもなく…

:イギリスの挿絵に関する本二冊

/// 平田家就『イギリス挿絵史―活版印刷の導入から現在まで』(研究社出版 1995年) 清水一嘉『挿絵画家の時代―ヴィクトリア朝の出版文化』(大修館書店 2001年) イギリスの挿絵についての本を二冊読んでみました。この二冊は面白いほど対照的で、『イギリ…

:日夏耿之介の雑誌と本

前回、大きな買い物をしたと予告をしておりましたが、品物が届きました。 関川左木夫/長谷川仁復刻監修「聖盃」「假面」全29冊復刻版(冬至書房新社、82年、10000円)→200組限定。元の雑誌は、(假面社刊、大正元年12月・創刊号〜大正4年6月・第4巻6号、…

:林丈二『ロンドン歩けば・・・』

林丈二『ロンドン歩けば・・・』(東京書籍 2002年) 気楽に読めそうな本を選んでみました。前回読んだ『英国パブ・サイン物語』との共通点は、町なかの事物を観察するという点。実際、この本でもいくつかのパブ・サインが紹介されていますが、その中で雑誌…

:櫻庭信之『英国パブ・サイン物語』

櫻庭信之『英国パブ・サイン物語―酒場のフォークロア』(研究社出版 1993年) ヨーロッパの街並みは落ち着いた感じで好きですが、それはアジアでは町中に氾濫している毒々しい看板がないことが大きな要素の一つだと思います。ヨーロッパの看板は、鉄細工や木…

:堺筋本町T書店は古本の宝庫

先週水曜日は、恒例会社OB麻雀大会、いつも必ず立ち寄る堺筋本町T書店に、この日は家を遅く出たこともあり、寄らないでおこうかと迷いながらも、ちょっと覗いたところ、これが大正解。探していた本をいくつか買うことができました。 P・ルイス、O・ユザンヌ…

:川崎寿彦、庭と森の英国社会史二冊

/// 川崎寿彦『庭のイングランド―風景の記号学と英国近代史』(名古屋大学出版会 1983年) 川崎寿彦『森のイングランド―ロビン・フッドからチャタレー夫人まで』(平凡社 1987年) 20年以上前に、同じ著者の『楽園と庭』『鏡のマニエリスム』『楽園のイング…

:Jean-Baptiste Baronian『Scènes de la ville obscure』(ジャン・バティスト・バロニアン『不思議な町のできごと』)

Jean-Baptiste Baronian『Scènes de la ville obscure』(ROBERT LAFFONT 1977年) 2年前パリ、ブラッサンス公園古本市での購入本。題名に惹きつけられて買いました。バロニアンという名前は、幻想小説についての評論を書いている人ということで知っていま…

:カンタベリー物語に関する二冊

/// チョーサー金子健二訳『カンタベリー物語』(角川文庫 1978年) 斎藤勇『カンタベリ物語―中世人の滑稽・卑俗・悔悛』(中公新書 1984年) 以前読んだファブリオの延長線上にもあり、かつ最近取り組んでいるイギリス本の流れで「カンタベリー物語」とその…

:四天王寺と京都勧業館古本市

ゴールデンウィークの二大古本市に行ってまいりました。 まず「四天王寺春の大古本市」、二日目の26日(土)に古本仲間と集まりました。他のメンバーが段ボール箱で購入本を郵送するなか、私は年々収穫が減って来て、下記3冊のみ。 W・B・イエーツ山宮允譯『善…

:ホルブルック・ジャクスン『イギリス世紀末文学―1890年代』

ホルブルック・ジャクスン小倉多加志訳『イギリス世紀末文学―1890年代』(千城書店 1955年) クラーク・アシュトン・スミスやホジスンなども訳している小倉多加志が、意外や、真面目な本も訳していたとは。比較的若い頃の翻訳のせいか、生硬なところも目立ち…

:ネマニャのブルッフを聴く

一昨日、久しぶりにコンサートへ行ってきました。第52回大阪国際フェスティバル 大植英次指揮 大阪フェイルハーモニー交響楽団 マックス・ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 op.26 Vn:ネマニャ・ラドゥロヴィチ リヒャルト・シュトラウス:アルプス交響曲 …

:久しぶりにフランスから古書を購入

今回の話題は何と言っても、フランスAを通じて古書を購入したことでしょう。先日ご紹介した「Roman13―Le Fantastique」で読んだHubert Haddadの「Le Secret de l’immortalité」が衝撃的だったので、思わずその作品が収められた単行本を注文してしまいました…