:ネマニャのブルッフを聴く

一昨日、久しぶりにコンサートへ行ってきました。

第52回大阪国際フェスティバル 大植英次指揮 大阪フェイルハーモニー交響楽団
マックス・ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 op.26 Vn:ネマニャ・ラドゥロヴィチ
リヒャルト・シュトラウスアルプス交響曲 op.64
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 お恥ずかしい話ですが、大阪フェスティバルホールは新しくなってから初めてでした。2階の袖の席だったせいか、とても音が明瞭でかつよく響いていました。前より格段に音が良くなったように思います。

 興味は、ホールがどう変わったかはもちろんですが、ブルッフをネマニャがどう演奏するか、アルプス交響曲を生で聴くとどんなかということにありました。ネマニャは3年前に、兵庫県立芸術文化センターで、ネマニャ率いる弦楽六重奏団の演奏を聴いて衝撃を受けたことがあります(http://d.hatena.ne.jp/ikoma-san-jin/20110306/1299388532 参照)。R・シュトラウスは今年の生駒国際音楽祭以来、ずっとヴァイオリン・ソナタとこのアルプス交響曲のCDを聴いておりました。

 ブルッフのこの曲は、ヴァイオリン協奏曲の中でいちばん好きな曲と言ってもいいくらいです。生演奏ではベルギー旅行中に聴いたレーピンの演奏が思い出深く、CDではギトリスを愛聴しています。

 ネマニャの演奏は、私の愛するブルッフの穏やかな表情とは少し違いましたが、間を持たせ線の細い響きを聴かせるかと思えば、激しく金属的な音を響かせ、肩の下まであろうかという長い縮れ髪を振り乱し身体を前後に揺さぶり、時には足を踏み鳴らすという、神がかり的な演奏でした。パガニーニの演奏は見たわけもないですがこんな感じだったろうなと思わせるほど、オーラがありました。何人か女性がスタンディングオベーションをしていたのもうなずけます。大植英次もネマニャと同じようなノリで、二人で顔を見合わせ相対するような指揮をしていましたが、これは演出過多か(?)。

 ネマニャのアンコール曲は、パガニーニの「24のカプリス」第24番で(と思うがカプリスの他の曲と合成したオリジナルなものかもしれない)、これがまさにパガニーニを見るが如くの演奏、ブルッフよりもこちらの方に衝撃を受けました。


 アルプス交響曲は疲れていたからか途中で眠くなり朦朧となったのが残念です。生演奏のダイナミックレンジの幅の広さ、圧倒的な音量には魂消ました。やはりマーラーとの相似を感じる部分が多く、大編成による音の響きや和音の進行、鳥の鳴き声に似せたフレーズ、それにいろんな楽器やバンダを使うところ。嵐の場面では、くるくる回して風の音を出す楽器や大きな金属板まで使っていました。初めはなかなか音が聞えてこなかった電子オルガンもフィナーレではよく響いていました。