:イギリス・アイルランドで見た奇怪な図像

 しばらくお休みをいただいておりましたが、この間、ダブリン、エジンバラ、ロンドン三都市を回遊しておりました。この方面は初めての旅でした。道中見た奇怪な図像をご覧いただきましょう。

 全般的に印象深かったのは、やはり大英博物館の圧倒的な物量、ダブリンのチェスター・ビーティ・ライブラリの個性豊かなコレクション、それからエジンバラの街並みです。

 大英博物館の展示には、すべての部屋に何か奇怪な想像力が通底しているような気がします。昔ベルリンでダーレム博物館に行った時に、西洋人の異質な文化に対する驚異の感情、興味、愛玩を感じて凄いと思いましたが、これは大英博物館が大元だったんですね。

 ロンドンでは、他にヴィクトリア&アルバート博物館のカスト・コートや鉄工芸・陶器の展示、テート・ブリテンターナー、ブレイク、マーチン、ワッツなどイギリス画家の作品が印象的でした。

 ダブリンのチェスター・ビーティ・ライブラリはニューヨーク生まれの鉱山技師ビーティの個人コレクション。幼い頃鉱石のコレクションから端を発して、中国の香水瓶や日本の版画を集め始め、膨大なコレクションをなすに至ったようです。私が行った時は書籍に関する展示があって、西洋の造本過程のビデオを見ることができました。動物の身体が他の動物から成っている不思議な絵も見ましたが、残念ながら写真撮影が禁止されていたので、ご紹介することができません。

 ミュンヘンのシャック・ギャラリー、リスボンのグルベンキアン美術館など、個人コレクションをもとにした美術館には、館主の個性が凝縮していて、見るべきものが多いように思います。

 エジンバラの街並みは、古い建物が高低差のある土地に黒々と聳えていて壮観でした。エジンバラでは国立スコットランド美術館で見た奇怪な15世紀イタリアの宗教画、スコットランド国立博物館のミレニアムからくり時計が印象に残っています。
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 ロンドン塔でライオンが飼われていたことを知りましたが、英国王室はライオンが好きだったようで、いろんなところにライオンの図像がありました。その淵源は古代のライオン狩りにあったようです。
ロンドン塔の展示
ロンドン塔の窓
ダブリンクライストチャーチの床
エジンバラセントジャイルズ教会で
トラファルガー広場のライオン
バッキンガム宮殿

 私の好きなグロテスク文様もいくつか見ました。ダブリンの国立考古学歴史博物館では展示物もさることながら、建物のグロテスク文様に目が留まりました。
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国立スコットランド博物館で見た椅子
ヴィクトリア&アルバート博物館ステンドグラス
同博物館の皿

 スフィンクスも各種。いずれも大英博物館
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スフィンクスではありませんが、雰囲気の似たイシュタル女神。

 烏天狗の変種のような翼の生えた人間もたくさん見ましました。これも大英博物館
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 極めつけはやはりケルト十字架やケルト装飾。いたるところで出くわしました。ダブリンの聖パトリック大聖堂の墓地には実際にケルト十字が林立していました。

聖パトリック大聖堂のなかで
エジンバラの国立スコットランド博物館で
同博物館のケルト文様
ロンドンのウェストミンスター寺院にもありました。
ヴィクトリア&アルバート博物館のカストコートで。

 その他奇妙なものがたくさんありました。
人魚のミイラ
エジプトの猫のミイラ
奇怪な神々
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北米南米の奇怪な想像力です。
変な顔のある壺
以上大英博物館
これも変な顔の壺、ヴィクトリア&アルバート博物館。


 最後に、やはり古本屋の写真を入れておきます。ロンドンのセシルコート通りの古本屋です。