2012-01-01から1年間の記事一覧

:モーリス・ポンス中村知生訳『マドモワゼルB』

モーリス・ポンス中村知生訳『マドモワゼルB』(早川書房 1976年) 先日読んだ『LA MAISON DES BRASSEURS(ビール醸造業館)』の印象が凄く、いまだにいくつかの情景がよみがえってきます。昔買って置いてあったこの本を書棚から引っ張り出して読んでみました…

:MAURICE PONS『la maison des brasseurs』(モーリス・ポンス『ビール醸造業館』)

左カバー MAURICE PONS『la maison des brasseurs』(denoël 1978年) 久しぶりに凄い小説を読んだという感じです。 構成が複雑で入り組んだ構造になっています。長編小説ですが、短篇的趣向の十二の章からなり、それぞれが物語として独立しています。各章の最…

:世紀末ミュンヘンに関する本三冊

/// 今泉文子『ミュンヘン倒錯の都―「芸術の都」からヒトラー都市へ』(筑摩書房 1992年) 山本定佑『世紀末ミュンヘン―ユートピアの系譜』(朝日選書 1993年) 宮下健三『ミュンヘンの世紀末―現代芸術運動の源流』(中公新書 1985年) (読んだ順) 世紀末…

:カゾット『惡魔の恋』ほか

今回ネットで購入したのは下記1冊のみ。 カゾット渡辺一夫/平岡昇共訳『惡魔の恋』(逍遥書院、昭和23年6月、1200円) 雑誌「幻想と怪奇」に連載されたものしか持っていないため、初訳本を購入。 以下は、大阪へ出る用事の度に、ちょこちょこと覗いた古本市や…

:ガストン・バシュラール饗庭孝男訳『大地と休息の夢想』

ガストン・バシュラール饗庭孝男訳『大地と休息の夢想』(思潮社 1970年) いよいよ四元素をめぐる想像力の書の最終巻。 この本の裏表紙に神戸六甲の宇仁菅書店のシールが貼られていて、昔神戸へ仕事に行った帰りによく立ち寄ったことを懐かしく思い出しました…

:CLAUDE FARRÈRE『Histoires de très loin ou d’assez près』(クロード・ファレール『とても遠い話とても近い話』)

CLAUDE FARRÈRE『Histoires de très loin ou d’assez près』(ERNEST FLAMMARION 1923年) 生田耕作旧蔵書の一冊。タイトルに惹かれて購入しました。ファレールの海外体験がもとになったと思われる異国小説集ですが、なんということのない話ばかりで、前に読…

:ガストン・バシュラール及川馥訳『大地と意志の夢想』

ガストン・バシュラール及川馥訳『大地と意志の夢想』(思潮社 1972年) 「火」については以前に読んでいるので、いよいよ四元素のイマージュ論も最後の「土」になりました。と言っても土については二分冊になっているので、あともう一冊読まないといけませ…

:ガストン・バシュラール小浜俊郎・桜木泰行訳『水と夢―物質の想像力についての試論』

ガストン・バシュラール小浜俊郎・桜木泰行訳『水と夢―物質の想像力についての試論』(国文社 1995年) 前回の『空と夢』に引き続いて、バシュラールの四大元素の物質的想像力に関する著作に挑戦してみました。『空と夢』同様美しい文章がいたるところにあり…

:サンボーホールひょうご大古本市、久しぶりに神戸の古本屋へ

先日、昔からの古本仲間と、サンボーホールひょうご大古本市に行ってまいりました。 途中、近くの中華料理店で合鴨汁そばとビールの中断がありましたが、都合3時間ほどいて、結局下記の本を購入。岡崎義恵著作集8『日本詩歌の象徴精神 現代編』(宝文館、昭…

:ヴュータン愛聴その後

先日、ヴュータンについて書いたところ(2月13日記事参照)、violaさんという方からコメントをもらって、ヴィオラソナタが無性に聴きたくなり、ネットで探したら中古で見つかりました。これがとても素晴らしい。別に発注していたチェロ協奏曲のCDも届いたの…

: 古本病治癒せず

前回報告(3/4)以降、古本屋、ネットオークション、ネット古本屋とまんべんなく購入。古本病は治癒するどころかますます亢進している気配あり。 まず、古本屋では、大学時代の友人の定年退職お祝い会で大阪へ出た際、いつもの堺筋本町T書店の380円均一にて…

:MARCEL SCHNEIDER『LE CHASSEUR VERT』(マルセル・シュネデール『緑の狩人』)

MARCEL SCHNEIDER『LE CHASSEUR VERT』(ALBIN MICHEL 1949年) 前回読んだMARCEL BRION(マルセル・ブリヨン)『LA ROSE DE CIRE(蠟の薔薇)』が登場人物が極めて少なく、主人公の意識の中の出来事を綴ったメルヒェンのような物語だったのに比べて、この本で…

:ガストン・バシュラール宇佐見英治訳『空と夢―運動の想像力にかんする試論』

ガストン・バシュラール宇佐見英治訳『空と夢―運動の想像力にかんする試論』(法政大学出版局 1969年) 出たばかりの本を大学時代に少し読んだだけで放っておいたものです。いずれは読まねばなるまいと思っていましたが、ようやく読み終えました。訳者も大変…

:私市保彦『ネモ船長と青ひげ』

私市保彦『ネモ船長と青ひげ』(晶文社 1978年) この私市保彦という人は『ヴァテック』を訳したり、自らも幻想小説を書いている人で、幻想小説と民話を共に語るということでは、篠田知和基と共通するところがあるように思います。 この本は、フランスの児童…

:『沈める都イスの町の伝説』ほか

最近、周りの古本仲間からの古本報告も途絶え気味で、みんな高齢のため古本購入も控え始めたのかと勘繰り、そろそろ私も古本購入をセーヴしようと考えておりましたら、何のことはない、一昨日、友人の葬儀が久留米であり、その時会った古本仲間から、一度に…

:塚本邦雄の詩歌論三冊

/// 塚本邦雄『詩歌宇宙論』(読売新聞社 1980年) 塚本邦雄『非在の鴫』(人文書院 1977年) 塚本邦雄『現代百歌園―明日にひらく詞華』(花曜社 1990年) いいと思った順に並べてみました。 『詩歌宇宙論』は、著者が「跋」で「現代詩歌三部門の綜合的な『宇…

:水の都の古本展ほか

先週、大阪中央公会堂の標記古書市へ行ってまいりました。本の数が少ないうえに、新しい本や絵本、外国の本、写真などが多く、私の趣味には合わないので、あまり買う本もないと半ば諦めておりましたが、何度も本棚を眺めていると見つかるもので、こんな本が…

:MARCEL BRION『LA ROSE DE CIRE』(マルセル・ブリヨン『蠟の薔薇』)

/// MARCEL BRION『LA ROSE DE CIRE』(ALBIN MICHEL 1964年) 3年ほど前ネットでフランスからまとめて買った本のうちの1冊(09年1月18日記事参照)。写真のようにルリュールされています。 冒頭からブルックナーの音楽のように、重厚で朗々とした濃密な文章…

:堀口大學訳フランス短篇集四冊

←函 /// 堀口大學譯『現代仏蘭西短篇集 聖母の曲藝師』(至上社 1925年) 堀口大學譯『仏蘭西短篇集 詩人のナプキン』(第一書房 1929年) 『堀口大學訳横田稔装画短篇物語1 幼童殺戮』(書肆山田 1989年) 『堀口大學訳横田稔装画短篇物語2 アムステルダ…

:最近よく聴くCD―ヴュータン『6つのサロン風小品ほか』、ガーデ『ヴァイオリンソナタ1〜3番』

/// 『Henri Vieuxtemps :Six morceaux de salon,op.22/Voix du Coeur,op.53』Philippe Koch(Vn)、Luc Devos(P)(MEW) 『Niels W.Gade :Violin Sonatas1-3』Dora Bratchkova(Vn)、Andreas Meyer-Hermann(p)(cpo) 前回音楽の記事(12月10日)で、ヴュータンをあ…

:P.-G・カステックス編内田善孝訳『ふらんす幻想短編精華集―冴えわたる30の華々』(透土社 1990年)ほか

おぼろげな記憶ながら、学生時代、幻想小説を読むうえで指針となったのは、ルイ・ヴァックスの『幻想の美学』(クセジュ)、『怪奇幻想の文学』(新人物往来社)、『怪奇小説傑作集』(創元推理文庫)、白水社の『現代○○幻想小説』の国別シリーズなどだったように…

:寒い季節はオークションで

このところ全国的に猛烈な寒波が襲来していますが、生駒の山裾にも寒気が押し寄せ、自転車で外をふらふらするのもままならなくなってきました。昔はこういう時でも、鼻水をすすりながら古本屋めぐりをしていたものですが、齢も重ね時代も移り変わった今とな…

:『フランス幻想文学傑作選』①②③の三冊

/// 窪田般彌/滝田文彦編(白水社 ①1982年、②③1983年) 『フランス幻想文学傑作選①―非合理世界への出発』 『フランス幻想文学傑作選②―ロマン派の狂熱と幻影』 『フランス幻想文学傑作選③―世紀末の夢と綺想』 これも新刊で買っておきながら読まずに大事に置い…

:JEAN LORRAIN『UN DÉMONIAQUE』(E.DENTU 1895年)(ジャン・ロラン『魔にとり憑かれた男』)

今年はじめて読んだフランス書。これは一昨年難波のYブックスでガラスケースに入っていたのを買ったもの。値段もそこそこ高かったが、ルリュールされていて格調高い。 昨年末に、フランス語読解の参考書を四冊も読んで、少しは読むスピードも速くなるかと思…

:新春ツイン21古本フェア他

先週末、大阪ツイン21の古本市に行ってきました。収穫の第一は、 川路柳虹『抒情小曲と随想 春愁抄』(草原書房、昭和22年4月、300円)→ローデンバッハの詩をエピグラフとして掲げているだけあり、薄暮や薔薇の香りを歌った詩の雰囲気もローデンバッハそのも…

:澁澤龍彦の文学論集二冊

/// 澁澤龍彦『悪魔のいる文学史―神秘家と狂詩人』(中公文庫 1982年) 澁澤龍彦『澁澤龍彦西欧文芸批評集成』(河出文庫 2011年) しばらくぶりで澁澤龍彦の本を読みました。文学系のものばかりですが、なぜかというと、今後の古本購入書目のヒントになるか…

:杉谷代水譯『アラビヤンナイト』上巻見つける

25年ぐらい前出張先の松江の古本屋で、上下二冊揃い函入りの美麗な『アラビヤンナイト』を2万円で見て以来、何とか手に入らないものかと探しておりました。昨年下巻がオークションに出ているのを見つけ1000円で購入したら、不思議なこともあるもので、引き…

:ジョゼファン・ペラダン他倉智恒夫他訳フランス世紀末文学叢書①『パルジファルの復活祭―世紀末傑作短編集』(国書刊行会 1988年)

ジャン・ロラン、マルセル・シュオヴなどはこの叢書で単独で取り上げられているので、それにこぼれた作家たちを集めたという位置づけだと思います。 ジョゼファン・ペラダン、カチュール・マンデスら世紀末退廃文学史上名のみ高かった作家の作品をついに!と…

:蕪村に関する本三冊

/// 萩原朔太郎『郷愁の詩人與謝蕪村』(新潮文庫 1957年) 中村草田男『蕪村集』(大修館書店 1980年) 芳賀徹『與謝蕪村の小さな世界』(中央公論社 1988年) 先回の芳賀徹『詩の国詩人の国』を読んで、蕪村をもう少し読んでみようと手に取りました。蕪村…

:フランス語読解の学習書四冊

/// 倉田清『仏文和訳の実際』(大修館書店、1987年) 南舘英孝/石野好一『フランス語を読むために 改訂版―80のキーポイント』(白水社、1994年) 朝比奈誼『フランス語和訳の技法』(白水社、2006年) 後藤末雄『佛文和譯研究』(郁文堂書店、昭和17年) 昨…