:山内義雄譯『仏蘭西詩選』ほか

 先日、阿倍野で昔の会社仲間と夕刻飲むのに合わせて、堺筋本町夕陽丘と寄り道をして、古本屋を訪ね歩きました。まず一軒目はいつものT書店にて、
宮下志朗『書物史のために』(晶文社、02年4月、734円)→フランス書物史の本。「パリ電脳図書館便り」というのもあり新しい情報も入手できるかと思って。
加藤林太郎『文学と挿絵の対話―ミュシャ、スタンラン、デュブー』(信濃毎日新聞社、01年11月、734円)→ドーデやA・フランスの本の挿絵についての本のようだ。珍しい本。
渡辺裕『音楽機械劇場』(新書館、97年7月、216円)→毎日新聞や「アステイオン」にいつも音楽と社会に関する新しい知見を書いている人なので。読んだことがあるような気もするが。

 次に、四天王寺夕陽丘で降りて、いつも四天王寺古本市の時にしか行かないI文庫を覗きました。先月古本市で見た時とそんなに本は変わってませんでした。
若島正『乱視読者の帰還』(みすず書房、01年11月、1600円)→先日も買おうか迷った本。この人も毎日新聞の書評で、私の趣味に通じるような本を取り上げている人なので。
深沢七郎『言わなければよかったのに日記』(中公文庫、11年12月、300円)
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 最後に、阿倍野で、むかしアポロビルの地下にあった古書サロンTがあべのハルカスの南側に移転していて、とても瀟洒な古本屋になっていました。移転祝いと奮発して、
山内義雄譯『仏蘭西詩選』(新潮社、大正12年4月、1500円)→ルイ・ベルトラン『夜のガスパール』より6篇、マルセル・シュヲブ「小児十字軍」、レルベルグポール・クローデルなど。装幀&カットの廣川松五郎という人の版画が味わい深い。文庫になっているような気もするが。
「日本の美術―第358号 唐草紋」(至文堂、96年3月、500円)→グロテスク文様の興味の延長で。

 オークションでは、
平田禿木『禿木遺響 文學界前後』(四方木書房、昭和18年9月、500円)→禿木の絶筆。自身の日本文学体験が思い出とともに綴られているようだ。
時里二郎『胚種譚』(湯川書房、83年7月、1010円)→とても装幀の美しい本。さすがは湯川書房。北野健次という人のエルンストか野中ユリを思わせる版画が2点あり。本文も魅力的な散文詩
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 このところいつも安物買いの私としては、比較的高額な本に手が伸びてしまったようです。その訳は、私にしては飛び切り高い本をフランスに注文した勢いで、金銭感覚がおかしくなったからに違いありません。次回古本記事をお楽しみに。