2021-01-01から1年間の記事一覧

『龍彦親王航海記―澁澤龍彦伝』 ほか

関西3府県に緊急事態宣言が昨日までずっと出ていて、不要不急と言われると、つい外へ出るのが億劫となっていました。今年はまだ奈良県から外には足を踏み出しておりません(しかも生駒市と奈良市のみ)。飲み会も、リモート飲み会が5回あっただけ。大人にな…

Marcel Brion『Les Vaines Montagnes』(マルセル・ブリヨン『辿り着けぬ峰々』)

Marcel Brion『Les Vaines Montagnes』(Albin Michel 1985年) 久しぶりにまたブリヨンを読んでみました。これで17冊目。Vaines Montagnesの訳が難しい。単純に訳すと「虚しい山々」となりますが、これでは意味がよく分からないし、山というのが平凡すぎま…

郡司正勝『和数考』

郡司正勝『和数考』(白水社 1997年) 宮崎興二の数尽くしのような記述が面白かったので、数に関する本を本棚から引っ張り出してきました。20年ほど前に一度読んだことのある本ですが、まったく忘れているので再読しました。20年前の読書ノートでは、「博覧…

森豊『聖なる円光』

森豊『聖なる円光』(六興出版 1975年) 形についていろいろ読んできましたが、この本でいったん終えます。今回は、円が象徴する図像として、聖像の頭部や背後を飾る円光を取りあげた本です。日本に仏教が渡来してからの光背の形がどのように移っていったか…

篠田知和基『日本文化の基本形〇△□』

篠田知和基『日本文化の基本形〇△□』(勉誠出版 2007年) 篠田知和基の形についての本は、以前、『ヨーロッパの形―螺旋の文化史』(2011年7月7日記事参照)を読んで以来。その本と同じく、いろんな例証が次から次へとくり出されてきますが、違う例があるよう…

宮崎興二のかたちに関する本二冊

宮崎興二『プラトンと五重塔―かたちから見た日本文化史』(人文書院 1987年) 宮崎興二『なぜ夢殿は八角形か―数にこだわる日本史の謎』(祥伝社 1995年) 『プラトンと五重塔』を先に読みました。ずいぶん前にタイトルに惹かれて買っていた本。先日読んだ「…

矢野峰人譯詩集『黒き獵人』ほか

本年最初の古本報告です。年末に、古本仲間から、「高い古本を買えばたくさん買わなくて済み、置き場にも困らない」というのを聞いて、年初にさっそく実行してみました。以前から欲しくても高値で手が届かなかったのが、ヤフーオークションで比較的安く出て…

ROLAND DORGELÈS『Le château des brouillards』(ロラン・ドルジュレス『霧の館』)

ROLAND DORGELÈS『Le château des brouillards』(Le Livre de Poche 1962年) 生田耕作旧蔵書。ロラン・ドルジュレスの作品は日本でも翻訳がいくつか出ているようです。何かの本で、ネルヴァルが収容されていた精神病院の建物が舞台になっていると読んだよ…

杉浦康平『かたち誕生』

杉浦康平『かたち誕生』(日本放送出版協会 1996年) 今回は、ブックデザイナーによる「かたち」論です。NHK教育テレビで放送された「人間大学」というシリーズのテキスト。こんな放送があったのは知りませんでした。ブックデザイナーとしての著者ならではの…

高木隆司『「かたち」の研究』

高木隆司『「かたち」の研究』(ダイヤモンド社 1980年) 今回は、形を物理から考えるという本です。ふだん理系の本を読むことのない私ですが、この本は、うたい文句に、「日常生活の言葉で物理学を語る、美術系や文科系の学生のための数式のない教科書をつ…

「形の文化誌〔4〕―シンボルの物語」

形の文化会編「形の文化誌〔4〕―シンボルの物語」(工作舎 1996年) 「かたち」に関する本を続けて読んでいます。今回は不思議な雑誌を読みました。理系と文系が入り交じった、専門の異なる諸氏によるさまざまな味わいの論文やエッセイが隣り合って並んでい…

球体に関する本二冊

高知尾仁『球体遊戯』(同文館 1991年) 高橋睦郎『球体の神話学』(河出書房新社 1991年) 球体という同じテーマについて書かれていますが、内容はまったく別のものです。『球体遊戯』は、西欧の15~16世紀の寓意画を素材にして、ギリシア哲学からキリスト…