最近よく聞く曲、ヴォルフ=フェラーリ

 音楽の話題から遠ざかって、もう1年以上が経つのに気がつきました。この間、ゲルンスハイムのFantasie Stuckやヴァイオリン・ソナタを聴いたりなどしましたが、現在、通販で買った「日本で流行った洋楽69~79」5枚組を車の中でかけたり、ヴォルフ=フェラーリ室内楽を家や電車で聴いています。7月から、大阪の以前の職場へアルバイトに行くようになり、新しいノイズキャンセリング・イヤフォンを買ったこともあって、行き帰りの電車で音楽を楽しんでいます。

 今回は、そのヴォルフ=フェラーリの話題です。ずっと知らずに居て最近知った作曲家。20世紀前半に活躍した人のようですが、その音楽は、時代の割には、穏やかなサロン音楽といった感じです。現代音楽的な響きの突出がなく、また映画音楽のようにセンティメンタル過ぎもせず、強い印象はありませんが、軽快で上品で中庸な印象があり、どこか心の隅に残るような曲です。そのためか、何度聴いても飽きない気がします。今、聴いているのは下記の5枚のCD(聴き始めた順)。

『SUITE VENEZIANA(ヴェネツィア組曲)』(NAXOS 8.573583)
Friedrich Haider指揮、Oviedo Filarmonia

『Piano Quintet・Cello Sonata・Duo(ピアノ五重奏曲ほか)』(BRILLIANT 96590)
Quartetto Guadagnini、Constantino Catena(Pf)、Amedeo Cicchese(Vc)

『PIANO TRIOS(ピアノ三重奏曲)』(BRILLIANT 95553)
Trio Mezzena(Vn)、Patria(Vc)、Ballario(Pf)

『Violin Concerto, Serenade for Strings(ヴァイオリン協奏曲ほか)』(CPO 999 271-2)
ULF Hoelscher(Vn)、Alun Francis指揮、Radio-Sinfonie-Orchester Frankfurt

『3 Violin Sonatas(3つのヴァイオリン・ソナタ)』(BRILLIANT 96093)
Davide Alogna(Vn)、Constantino Catena(Pf)


 とりわけ気に入ってるのが、最初に聴き始めたからか、『Suite veneziana』のCD。全体的に惹かれる曲が多いですが、とりわけ「Suite veneziana」の1曲目「in languna(ラグーンで)」と2曲目「Barcarola(ゴンドラの舟歌)」、それに「Triptychon(三連祭壇画)」の3曲目「Preghiera(祈り)」がすばらしい。

「in languna」は、冒頭、現代音楽的な不安感をあおるようなフレーズがありますが、どこか古びた響きもあり、郷愁も感じさせます。現代的感性と浪漫的感性の混交と言えばいいでしょうか。https://youtu.be/qYsEjuikTVU

「Barcarola」は、小曲で、これもどこか昔を思わせるような優しいフレーズ。不思議な安堵感を抱かせます。https://youtu.be/8ZVbRbQdLOU

「Preghiera」は、悲しみを秘めた典雅で優しい曲。長い音が慰めをもたらします。https://youtu.be/panN22gpOwI 終りもなかなかよい。https://youtu.be/OeDf7VlwOVk


 次に、『Piano Quintet』のCDでは、「Piano Quintet」が聴きやすくまた作品としてまとまっており、フェラーリ室内楽の代表作と言えるのではないでしょうか。とくに第1楽章がすばらしい。また他には、ヴァイオリンとチェロの「Duo」が印象に残りました。

「Piano Quintet」の第1楽章は、冒頭、コロコロしたピアノの音に続いて、弦が流れるように復唱するのが快く、全体的にロマンティックな雰囲気に包まれています。https://youtu.be/TuqWOjNBSts 第4楽章にも後半部に印象的な部分があります。https://youtu.be/kqlDNTEgN3M

「Duo」の作風は、古典的な感性と浪漫的な感性の混交と言うべきか、ベートーヴェンシューベルトの弦楽曲を聴いているような気分になります。https://youtu.be/FqjT0gNZ4wo


 『PIANO TRIOS』も、ずっと響きのなかに浸っていたくなるような気にさせる音楽です。なかでは、「Trio No.1」の第1楽章、「Trio No.2」の第2楽章がいいと思いました。

「Trio No.1」第1楽章は、冒頭から軽やかで語りかけるように歌って色つやがあります。https://youtu.be/4OOun4ksocU 終わりの部分も、軽やかな曲想から一転重々しい変奏が展開されます。https://youtu.be/D9yg6yRJIq4 この厳かな響きが第4楽章の終わりに再び演奏されるのが面白いところ。

「Trio No.2」の第2楽章はラルゴで、ゆったりとした曲想。No.1の第3楽章のラルゲットが暗く寂しい雰囲気なのに比べて、明るい響きがあります。https://youtu.be/yBTh4T7ZMP4


 『3 Violin Sonatas』は2~3回聴いただけですが、今のところこれといった印象はありません。それと、ヴァイオリン協奏曲はまだなじめていません。どうやらフェラーリの場合、小編成の室内楽的なものが私にはぴったりくるようです。