古本報告遠のく

 5月半ばに古本を14箱売りました。さすがに売った後は、しばらくのあいだ買いそびれるもので、6月半ばまで購入したのは2冊のみ。これでは、古本報告も遠ざかるのみと、先週土曜日に、阪神今津で呑み会があったついでに、久しぶりに天神橋筋商店街の古本屋に立ち寄りました。

 一軒目の矢野書房で、下記3冊。
設楽哲也『音と匂と味と』(金原出版、90年7月、500円)→耳鼻咽喉科の先生が綴った随想集。文芸作品からの例が多く楽しく読めそう。
小寺健吉ほか『世界美術巡禮』(アトリヱ社、昭和5年2月、500円)→日本の洋画家たちが怒涛の如くパリを中心にヨーロッパに絵の修行に出かけた時期に書かれた旅の随想集。蕗谷虹児、小島善太郎、向井潤吉ら28名が執筆。
井辻朱美『魔法のほうき―ファンタジーの癒し』(廣済堂出版、03年3月、1000円)→読みやすそう。タイムスリップテーマに言及があったので。
    
 次の天牛書店では、1冊のみ。
ヴィルヘルム・ハウフ寺田正二譯『小人の鼻吉』(中央公論、昭和22年7月、480円)→表紙の絵を見て買わずにはいられなかった。

オークションでは、美術関係で探究書が手に入りました。
小柳玲子編『リヒャルト・エルツェ』(岩崎美術社、97年6月、580円)→表紙の絵はまさしく象徴主義的予感を醸し出している。後半の作品はどれも夢魔的。
「版画藝術68 特集:柄澤齊」(阿部出版、平成2年4月、500円)→高柳誠との詩画集「洪水の前」や、「私説木口木版画史」、出口裕弘との対談など面白そうな特集。
ハリー・レヴィン若林節子訳『ルネッサンスにおける黄金時代の神話』(ありえす書房、88年12月、500円)→難しそうだが楽園テーマなのと安かったので。
富田仁・長谷川勉編著『欧米文学交流の諸様相』(三修社、83年12月、440円)→ごたまぜの論集だが、長谷川勉「二人の蕩児―ファウストをめぐるゲーテバイロン」、宮永孝「イタリアにおけるポー」、高遠弘美「シェーラザードの息子たち―スティーヴンソンとプルースト」、安藤勉カフカと英国幻想・SF小説」が面白そうだったので。
      
 アマゾン古書では1冊。ちなみに購入店のヴァリューブックスは、扱う本の種類が手広く、価格が安い割に本がきれいのでよく買っています。
須賀敦子『イタリアの詩人たち』(青土社、98年9月、398円)