:四天王寺と京都勧業館古本市

 四天王寺、京都勧業館とも所用のため、初日には行けず、二日目になってしまいました。さいわい、両日ともお天気もよく、気持ちよく古本を眺めることができました。このところ古本買いは節制気味にしておりましたが、四天王寺で古本仲間が爆買いをしたのにつられて、若干羽目が外れてしまったようです。


 まず、四天王寺では、R館にて、
村岡勇編『形而上詩の諸問題』(南雲堂、74年9月、600円)→偽ディオニシウスについて触れた文章が目に留まったので。
本田錦一郎『アルノ河岸から―ヨーロッパの原風景を旅する』(篠崎書林、昭和60年4月、500円)→この著者も形而上詩についての翻訳をしている人。

 S堂にて、
青柳いづみこ『青柳瑞穂の生涯―真贋のあわいに』(平凡社、06年11月、600円)
森本英夫訳『ヨーロッパ中世ロマン バビロニアの幽閉塔』(教養文庫、89年9月、400円)
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 S書店にて、
植田重雄『神秘の芸術―リーメンシュナイダーの世界』(新潮選書、昭和51年5月、500円)→この本でも、アンゲルス・シレジウス、十字架のヨハネ神秘主義への言及があったので。

 四天王寺の近くのI文庫が5月上旬に移転するというので、全店100円均一というもの凄いことをやっておりました。古本仲間の一人はここだけで58冊も買っておりました。私は下記の7冊のみ。
朝比奈弘治『フローベール「サラムボー」を読む―小説・物語・テクスト』(水声社、97年3月、100円)→3000円もする綺麗な本なのに。
原田武『共感覚の世界観―交流する感覚の冒険』(新曜社、10年10月、100円)→これも神秘主義的感性を扱っている。
『和田徹三の世界』(沖積舎、昭和59年12月、100円)→この人もまた日本の形而上詩人
ダヌンツィヨ原田謙次譯『海の讃歌』(人文書院昭和17年12月、100円)→詩集
ジョルジュ・サンド宮粼嶺雄訳『笛師のむれ1』(高桐書院、昭和23年10月、100円)→ぼんやりしていて上巻だけというのに気づかなかった。
窪田空穂『わが文学体験』(岩波文庫、99年3月、100円)
辻佐保子『「たえず書く人」辻邦生と暮らして』(中公文庫、11年5月、100円)
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 京都勧業館では、またはずみがついて、次々と買ってしまいました。A古書店では、ブリヨンの原書が5冊ほど出ていて、そのうち所持していない本を購入。
Marcel Brion『La fête de la Tour des Ames』(ALBIN MICHEL、74年4月、500円)

 生駒の無店舗古本屋Y書房にて、
イヴ・ボンヌフォワ平井照敏訳『第二の単純性』(思潮社、70年8月、1000円)→エッセイ集だが「七つの火」が散文詩のような文章。
川村湊『物語の娘―宗瑛を探して』(講談社、05年5月、1000円)→片山廣子松村みね子)の娘の話。
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 同じく奈良の古本屋K堂書店(実はまだ行ったことがない)で、
気谷誠『西洋挿絵見聞録―製本・挿絵・蔵書票』(アーツアンドクラフツ、09年11月、2800円)
森本英夫/西澤文昭訳編『フランス中世滑稽譚』(教養文庫、88年9月、300円)
植田祐次訳編『フランス妖精民話集』(教養文庫、90年6月、300円)
植田祐次/山内淳訳編『フランス民話 ブルターニュ幻想集』(教養文庫、91年7月、300円)

 あとは下記のとおり。
納蘭性徳花崎采琰訳『中国悲曲 飲水詞』(東方文藝の會、昭和60年12月、1000円)→花崎采琰は日夏耿之介のお弟子さん、ひらがな訳が心に沁みる、Y書店
尾上柴舟『虎になった人間』(ニュー・モラル出版社、昭和28年5月、500円)→中国の怪異譚を訳したものらしい、N書房
『明治翻譯文學集』(筑摩書房、昭和47年10月、500円)→なぜか持ってなかった、ブルワー・リットンの「A Strange Story」の翻訳「開巻驚奇 龍動鬼談」が入っている、K書店
久生十蘭『巴里の雨』(出帆社、74年12月、800円)→これでこのシリーズは揃い、S書院
『木原孝一詩集』(思潮社、72年4月、500円)→『星の肖像』の代りに、H書林
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 帰りがけ勧業館の近くの古本屋hにて、
アンドレ・ブルトン巖谷國士監訳『魔術的芸術 普及版』(河出書房新社、02年6月、2700円)

この日は、あわせて13冊、1万3千円近くになってしまいました。

 
 先日、神戸で小学校時代の友人との昼酒会のついでに、センター街のセンタープラザ2Fにある古本屋S堂書店を覗きました。ここは新しい本で面白そうな本がたくさんあり、その中から荷物にもなるので2冊だけ。
R・カイヨワ金井裕訳『ポンス・ピラトほか』(景文館書店、13年5月、600円)→審美文庫も持っているが短篇がついていたので。
塚本邦雄『異国美味帖』(幻戯書房、13年7月、1200円)→メタボ対策中の身としては、せめて本のなかでだけでもと思い。
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 しばらく古本は控えよう。