:齢とともに古本買いも変化

 いよいよ前期高齢者の仲間入りをする齢になり、前から分かっていたことですが、これ以上買っても読めるわけがなく、本を置く場所も手狭になってきて妻の眼差しもますます冷やかになり、まわりを見渡すと古本仲間たちも以前のような爆買いをしなくなり・・・といろんな要素が絡まったのか、安ければ買っておくというような買い方ができなくなりつつあります。

 というわけで、前回報告から1ヵ月近くが経とうというのに、まだ7冊しか買っておりません。しかもうち1冊がW買いという情けなさ。残りの6冊の内容はまずまず満足の行くものでしたが。

 いつもの会社OB麻雀大会の行きがけに、堺筋本町のT書店にて、
新保祐司『フリードリヒ 崇高のアリア』(角川学芸出版、平成20年3月、842円)→こんな本が出ているのは知らなかった。フリードリヒをだしにして、著者の好きな美的世界を論じている。国木田独歩からエドマンド・バーク、斎藤磯雄、阿藤伯海、R・シュトラウス、アルベール・ベガン、パスカル梶井基次郎中原中也、内藤丈草、パルムグレンまで出てくるので驚き。

 別の日小学校時代の仲間との大阪の飲み会のついでに、難波のT書店にて、
渡邊昌美『フランスの聖者たち―古寺巡礼の手帖』(八坂書房、08年12月、1026円)→サン・ドゥニ、コマンジュ、コンク、フォントネイなどの中世の教会修道院を巡りながら中世の信仰について書いているようだ。
三浦信孝編『近代日本と仏蘭西―10人のフランス体験』(大修館書店、04年3月、1026円)→渋沢栄一永井荷風九鬼周造金子光晴横光利一など10人について、鹿島茂加藤周一坂部恵安藤元雄、渡邊一民などそれぞれ異なる論者が筆を執っている。
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 オークションでは、
坂井信夫編集『追悼・矢島輝夫』(私家版、99年11月、1000円)→限定200部非売品。矢島輝夫が矢切隆之の名前でポルノ小説を書いていたことは知らなかった。また短歌集(おそらく私家版)もあるらしい。
富士川義之『ある文人学者の肖像―評伝・富士川英郎』(新書館、14年3月、2300円)→富士川英郎にもまたお父上の富士川游についての本がある。親子三代にわたる伝統か。
宇佐見英治『辻まことの思い出』(みすず書房、01年9月、1010円)→辻まことについてはあまり関心がなくこれまで見送ってきた本。宇佐見英治の文章で辻まことの特異な人柄が生き生きよみがえっていて少し興味が湧いてきた。
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 ネットで安く出ていたので、本棚をよく見回し持ってないことを確めて買ったつもりが、W買い。持ってないわけがないとは思っていたが。
井上輝夫他編訳『フランス世紀末文学叢書 詞華集』(国書刊行会、85年2月、600円)