:新潟古本ツアーほか

 このところ毎年、古本友だちと各地の古本屋めぐりを目的とした旅行をしています。今年は新潟方面へ行ってきました。新潟へ行くと別の仲間に言ったら、古本屋は潰れてほとんど残ってないのにと馬鹿にされましたし、ネットでいろいろと調べてみるとやはり壊滅状態だということが判りました。が実は、旅の目的の半分は酒宴で、新潟は地酒の銘酒ぞろいとあっては外すわけにはいきません。

 新潟に到着し、ホテルで東京からの友人と合流するや、歩いて沼垂(ぬったりと読むらしい)のFというお店へ。長屋風の商店が立ち並ぶなか、洒落た本の置いてあるお店でした。
フィオナ・マクラウド荒俣宏訳『ケルト民話集』(月刊ペン社、昭和58年2月、700円?)→昔よく見かけていたのに、こんな本があるのは忘れていた。松村みね子訳『かなしき女王』との重複を気にしつつ買ったが、1篇重複しているだけのようだ。
池内紀『姿の消し方―幻想人物コレクション』(集英社、98年11月、900円?)
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 翌日は雨のなか新潟大学の正門前にあるN書店。書店に近づいた途端、前夜貝料理専門店で食べた牡蠣にあたったのか、腹具合がおかしくなり大学のトイレへ駆け込む。N書店は大学の教科書、参考書類がほとんどで、そのなかに混じってぱらぱらと一般書があるという不思議な棚のお店です。W買いを恐れつつ購入、幸いW買いではなかったようだ。
谷川渥『文学の皮膚―ホモ・エステティクス』(白水社、97年1月、800円)

 その後、新津の新刊書店Eのなかに古本コーナーがあると聞いていたので、新津駅から豪雨のなかタクシーで広大なショッピングセンターに乗りつけるが収穫なし。向かいの新古書店Bで、帰りのバスの乗り場と時間を丁寧に教えてくれたお礼として、下記を購入。
斎藤愼爾編『現代詩殺人事件』(光文社文庫、05年9月、460円)
 その後、新津駅前のBというお店、新潟駅まで戻って南口の新古書店Bへ行くも、収穫なし。

 翌日は長岡まで移動。ここには昔ながらの古本屋が3軒かたまっているらしい。胸をときめかせて行ってみると、Z堂は閉まっていた。次のY堂も見るべき本なく、がっかりして最後のS書店。ここは今回行ったなかでいちばん私の趣味に合うよい本が揃っていて、しかも値付けも良心的、おまけに値引きまでしてくれました。深謝。
小佐井伸二『ある埋葬』(河出書房新社、72年5月、100円)→昔見かけた本だが最近見当たらず探していた本。
斎藤兆史/野崎歓『英語のたくらみ、フランス語のたわむれ』(東京大学出版会、04年7月、100円)→線引き本なので安い。
野崎歓『異邦の香り―ネルヴァル「東方紀行」論』(講談社、10年4月、1000円)→新しい本の割に安い。
林房雄『美しき未亡人』(寳雲舎、昭和24年1月、500円)→書名もそうだが、「一文銭殺人事件」「魔法の眼鏡」「睡眠先生艶福譚」「深夜の招待」など、8篇収められている短篇のタイトルが魅力的。
ジャン・ジャック・ルソオ青柳瑞穂譯『孤獨な散歩者の夢想』(大日本雄辯會講談社、昭和24年1月、300円→0円)→この内容はこうしたゆったりとした装幀の本で読むのがふさわしいと考えて。
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 古本の収穫もまずまず、日本酒も各種飲めたし、いい旅行となりました。


 オークションでは、
吹田順助『パンと見世物』(生活社、昭和17年12月、300円)
『馬渕美意子詩集』(創元社、昭和27年11月、1920円)→自覚的W買い、カバーと帯がついていたので、所持している裸本と入替。いよいよマニア風になってきた。
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 ネット古本では、先日も予告していた本が届きました。
井辻朱美『夢の仕掛け―私のファンタジーめぐり』(NTT出版、94年5月、376円)
井辻朱美『ファンタジーの森から』(アトリエOCTA、94年7月、333円)
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 今日は、京都百万遍秋の古本まつりの初日。これから出かけます。