:オークション・ネットでの購入と天神橋三丁目ぷち古書即売会

 先日オークションに平井功「遊牧記」四冊揃いが千円スタート(だったと思う)で出ていたので、1万円ぐらいなら何とか頑張ってと思い6千円で入札しましたが、またたく間に3万5千円となり断念せざるを得ませんでした。調べてみるとネットでは60万円ぐらいしていました。尋常な値段ではないですね。

 その時の腹積もりの資金1万円分がなぜか儲かったような気になって、長らく狙っていたネット古本の森田草平訳『千一夜物語全四冊』にあてました。ついでに森田草平の千一夜関係本も購入。この『千一夜物語』は日夏訳とともにレイン版からの数少ない翻訳で、なかなか珍しいものです。これまで第2巻のみ所持しておりました。裸本で少し虫食いがありますが、今回ようやく揃えることができました。

 オークションでは、これも珍しい「古東多卍」第3号を入手。阿藤伯海の漢詩、阿部次郎訳詩、日夏耿之介辰野隆、吹田順助などが執筆、佐藤春夫編集になる格調高い雑誌で、印刷紙質綴じ方に味わい深いものがあります。

 また、ほるぷ社の復刻本では珍しく高い値を維持している日夏耿之介の『転身の頌』を比較的安く入手できました。とてもきれいな本(長谷川潔版画付)で気に入っています。

以下記録。
「古東多卍」第三號(やぽんな書房、昭和6年12月、1100円)
森田草平譯『アラビヤ夜話』(アルス日本兒童文庫、昭和2年9月、1000円)
森田草平譯『千一夜物語 全四巻』(國民文庫刊行會、昭和5年2、3、4、5月、4冊で6000円)
森田草平『岩波講座 世界文學 千一夜物語』(岩波書店昭和8年6月、400円)
日夏耿之介詩集『轉身の頌』(日本近代文学館、昭和55年、2600円)


 また、先日、大学時代の古本仲間の忘年会があり、天神橋三丁目のプチ古書即売会会場で待ち合わせしました。近くの天神橋筋のT書店に立ち寄り、歩いて扇町公園を抜けて忘年会場のある阪急東通りに入り、古書Y、S書店と回りました。その時の成果品がこちら。

石上玄一郎『緑地帯』(萬里閣、昭和19年6月、100円)
中村白葉童話集『盲目の白馬』(第三書房、昭和22年12月、100円)
 この2冊はかなり痛んではいましたが珍しいものと思います。
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近代文学鑑賞講座那珂太郎編『萩原朔太郎』(角川書店、昭和45年10月、100円)
ハイデッガー三木正之訳『詩と言葉』(理想社、昭和46年2月、500円)
長與善郎『切支丹屋敷』(大日本雄辯會講談社、昭和31年11月、400円)
佐藤春夫『玉を抱いて泣く』(河出書房新社、昭和39年8月、380円)
 長與、佐藤の2冊はビニールで包まれていてタイトルに惹かれただけで中身を確認せずに購入、中身を見ていたらおそらく買っていなかったことと思います。

下村寅太郎『わが書架』(北洋社、79年5月、850円)
 たまには格調高い本の話も聞いてみなくてはと思い。