:四天王寺秋の大古本祭り、天神さんの古本まつり他

 関西ではいよいよ秋の古本市シーズンが到来しました。

 10月7日四天王寺、8日天神さんと、それぞれの初日に二日連続で出かけることとなりました。四天王寺は古本仲間3名と、天神さんは単独での参加です。それにしても、同じような時期に、そんなに離れているわけでもないところで別々に開催されるというのはどうにかならないものでしょうか。私はヒマですから、楽しみが2回に分かれていると思えばいいのですが。

 両方とも初日でしかも時間前に会場に到着しました。百円均一会場では加熱した愛好家による同じような光景が繰り広げられておりました。(写真参照)
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左:四天王寺 右:天神さん
 四天王寺では、余裕を持ってぱちりぱちりと写真を撮っていたため、出遅れて、シートがはずされた時にはすでに遅し、黒山の人だかりの汗臭い肩越しに本を眺めなくてはならなくなりました。結局このときは2冊しか買えなかったうえに、レジが長蛇の列(39冊も買っている人がいたりして)で時間を大きくロスしてしまいました。
 天神さんでは、四天王寺での学習を生かして、写真も早めに撮り終え、レジも様子を見て早めに済ませて事なきを得ました。


 四天王寺での購入本は下記のとおり。
堀辰雄全集第四巻 エッセイ・翻訳上』(新潮社、昭和29年9月、100円)
『講座日本風俗史別巻七 妖異風俗』(雄山閣出版、昭和34年7月、100円)
→この2冊が百円均一台での購入。『堀辰雄全集』は別の版で翻訳篇を持っていますが、この版は背が革、本文も2色刷り(註の色が違う)で、格調の高さに思わず購入。
篠崎史紀『ルフトパウゼ―ウィーンの風に吹かれて』(出版館ブック・クラブ、06年4月、300円)
渡辺一民『フランス文壇史』(朝日選書、76年8月、200円)
夢野久作全集7』(三一書房、70年1月、200円)
→「猟奇歌」が入っているので。

伊東忠太『白木黒木』(北光書房、昭和18年4月、300円)
→「建築に現はれた奇矯性」「東西諸國の今昔浴場」「『ばけもの』の研究」「顔の眞相」など面白そうな論文が入っている。
アンリ・フォショーン杉本秀太郎訳『形の生命』(岩波書店、昭和44年7月、300円)
平井照敏『有季定型―現代俳句作法』(飯塚書店、82年5月、300円)
バシュラールボードレールなどの名前が出てきて西洋美学との比較で論じているところが面白そう。またボンヌフォアの芭蕉論についての紹介が入っている。
『野上彌生子全集第17巻紀行三 欧米の旅下』(岩波書店、80年12月、200円)
白鳥和也『七つの自転車の旅』(平凡社、08年11月、300円)
→この人の空気感のある自転車エッセイはお気に入り。

小栗風葉・澁川玄耳『現代名家文選巻第貳 風葉文集・玄耳文集』(帝國行政學館史書研究會出版部、大正5年6月、200円)
徳富蘆花『現代名家文選巻第參 蘆花文集』(帝國行政學館史書研究會出版部、大正5年6月、200円)
高濱虚子・薄田泣菫『現代名家文選巻第八 虚子文集・泣菫文集』(帝國行政學館史書研究會出版部、大正5年6月、200円)
田山花袋水野葉舟『現代名家文選巻第拾 花袋文集・葉舟文集』(帝國行政學館史書研究會出版部、大正5年6月、200円)
→これら『現代名家文選』4冊は、帰る直前に気になったのでもう一度K文庫の5冊千円の棚を見に行ったところ、ちょうど追加があったばかりだったので購入したもの。何ごともタイミングということがあるものです。
 年代の割りに金字がぴかぴかしたきれいな本で、悔し紛れの仲間の一人から「そういう本はきれいな状態で次世代にバトンタッチする義務があり決して読んではいけない」というご託宣をちょうだいしました。

 四天王寺の後、古本仲間で天神橋筋の古本屋を梯子しましたが、書苑Yで下記を購入、この日一番高い買い物となりました。
フランツ・ツェルガー高阪一治訳『ベックリーン【死の島】』(三元社、98年5月、1000円)→こんな本が出ているのは知りませんでした。


 天神さんので購入は下記のとおり。
『現代詩人全集12巻 柳澤健 富田碎花 百田宗治』(新潮社、昭和5年6月、100円)
柳澤健の詩に興味あり。
大塚幸男『フランスのモラリストたち』(白水社、67年5月、100円)
→この2冊が百円均一台での購入。
河上徹太郎『わがデカダンス』(新潮社、昭和37年4月、200円)
山下武『古書のある風景』(青弓社、90年5月、600円)
宮下啓三『スイス・アルプス風土記』(白水社、77年8月、800円)
→アルプス民間伝説や迷信、アルプスに美を発見する歴史、山岳文学、山登りの歴史など、多角的にアルプスを語っている。

金子光晴『現代詩の鑑賞』(河出新書、昭和29年6月400円)
金子光晴が詩を論じた珍しい本だと思います。

 天神さんでは、二日続きの疲れのせいかあまり収穫はありませんでした。ふと隣の客の手に持っている本を見ると面白そうな本ばかり。どこで見つけたのかと悔しい思いをしました。決して隣の客の本を見てはいけません。

 これでは物足りないので、帰りに堺筋本町のT書店へ立ち寄ると、いつものように収穫がありました。
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澤柳大五郎『ヘゲソの鼻』(みすず書房、96年11月、380円)
→いまとても墓碑に関心があるので。
生野幸吉『抒情と造型』(思潮社、66年7月、380円)
小門勝二『荷風パリの夜』(圭文社、昭和46年5月、380円)