:大阪古書会館古本市ほか

 しばらく古本購入報告が途絶えておりました。9月の前半から中旬にかけては、旅行もあり、古本活動が停滞していました。この期間では、大阪へ出たついでに大江橋のT書店で購入した下記4冊のみ。
樋口覚『三絃の誘惑―近代日本精神史覚え書』(人文書院、96年12月、600円)
久野昭『死と再生―神秘主義の原型』(南窓社、昭和46年9月、480円)
澤柳大五郎『木下杢太郎記』(小澤書店、昭和62年8月、480円)
新倉俊一『フランス中世断章―愛の誕生』(岩波書店、93年2月、480円)

『三絃の誘惑』
西洋音楽を語る文系評論家が多いなかで、和の響きを中心に近代の作家らの精神史を論じている珍しい本。

『死と再生』
久野昭の本は学生時代『魔術的観念論の研究』を読んで以来、いろいろと集めた(が読んでいない)が、この本は初めて見た。

『木下杢太郎記』
何よりも造本が美しい。


 オークションも幾つか入札しましたが、落札できたのは下記1冊のみ。

比較文学研究―矢野峰人博士還暦記念号」(東大比較文学会、55年7月、300円)
巻末に島田謹二富士川英郎矢野峰人の鼎談のほか、島田謹二富士川英郎平井照敏らがそれぞれのテーマで論文を寄せている。

 9月も終わりの大阪古書会館の「オール大阪古書ブックフェア」でようやく渇を癒すことができました。
福原麟太郎『詩心巡禮―バイロンほか二詩人の研究』(研究社、大正13年4月、500円)
百田宗治『現代詩』(臼井書房、昭和23年2月、1260円)
矢内原伊作リルケの墓―ヴァレー紀行』(創文社、昭和51年3月、300円)
堀多恵子『片蔭の道』(青蛾書房、昭和52年5月、300円)
村松嘉津評論集 日佛の間に在りて』(東文館書院、昭和54年8月、500円)
森豊『シルクロードの幻術』(六興出版、昭和56年1月、200円)
奥野信太郎『古都芳艸』(論創社、84年2月、800円)
P・G・カステックス内田善孝訳『ふらんす幻想短編精華集』(透土社、90年8月、1500円)
ロミ高遠弘美訳『突飛なるものの歴史 完全版』(平凡社、2010年4月、1000円)

『詩心巡禮』
福原麟太郎のかなり初期の著作、少々痛んでいたが500円は安い(レジへ持って行ったら古本屋の主人がこれは安いと唸っていた)。

百田宗治『現代詩』
34人の詩人の回想と、27作品の鑑賞などが載っていて、その物量に魅惑されて。

矢内原伊作リルケの墓―ヴァレー紀行』
この本は昔持っていた筈で、スイス旅行後リルケの墓に関心が湧きあちこち探したが見当たらなくてもどかしい思いをしていたところ。タイミングよく出ていたので購入。
堀多恵子『片蔭の道』もリルケの墓に詣でたときのことが出てくる。

村松嘉津評論集 日佛の間に在りて』
この本もあまり見たことのない本。内容は少し時事記録的な印象。

シルクロードの幻術』
森豊の本はかなり所持しているが、この本はまだ持っていなかった。

『古都芳艸』
奥野信太郎の中でもあまり見たことのない部類。中国文学に特化した随筆が集められている。

ふらんす幻想短編精華集』
学生時代カステックスの幻想文学についての研究書はバイブルのような存在だった(が読んでいない)。姉妹編としてアンソロジーがありその翻訳が出たことは知っていたが、躊躇していた。読んでない短編も幾つかあるので、思い切って購入。

『突飛なるものの歴史 完全版』
完全版が話題となった今年春の新刊(2800円)がもう出ていた。


 その勢いに乗じて、2日の日、自転車で20分ほどの古本Sという新古書店で、下記5冊を購入。
佐藤和夫『海を越えた俳句』(丸善ライブラリー、平成3年5月、250円)
茂木大輔『はみだしオケマン挑戦記―オーボエ吹きの苛酷なる夢』(中公文庫、06年10月、100円)
白川道『崩れる日なにおもう―病葉流れてⅢ上・下』(幻冬舎文庫、平成17年12月、上下で210円)
池上嘉彦『ふしぎなことばことばのふしぎ』(ちくまプリマーブックス、99年3月、100円)

 10月は四天王寺秋の大古本祭り、天神さん古本まつり、末の百万遍古本市と続くうえに、東京古書会館の洋書市他にまで出かける予定で、忙しくなりそうです。