:OBPツイン21古本フェアで中村苑子句集『水妖詞館』ほか


 昨日、大阪ビジネスパークツイン21での古本市初日に行ってきました。早く着きすぎて写真のような状態、近くの喫茶店で待っていると定刻少し前に白布が取り払われ気の早いマニアが群らがっておりました。

 お目当てのI書店、Y書房、K文庫などをチェックした後全体を端から見て回りました。30軒出店しているとかで、3時間近くかかってしまいました。収穫は下記のとおり。

矢野目源一譯『南欧千夜一夜』(八雲書店、昭和23年12月、800円)
クーリエ川路柳虹譯『ダフニスとクロエ』(日本教文社世界文庫、昭和24年11月、300円)
伊藤整『若い詩人の肖像』(新潮文庫、昭和39年5月、100円)
フロベール藭部孝譯『サランボオ上・下』(角川文庫、昭和35年7月・11月、2冊で700円)
中村苑子句集『水妖詞館』(俳句評論社、昭和50年2月、3000円)限定250部
粕谷栄市詩集『悪霊』(思潮社、89年8月、900円)
加藤美雄訳『マラルメ詩集』(関西大学出版部、昭和62年3月、800円)
加藤美雄『わたしのフランス物語』(編集工房ノア、92年11月、500円)
加藤美雄『続わたしのフランス物語』(編集工房ノア、94年4月、500円)
内田百輭まあだかい』(福武文庫、93年3月、300円)
原田宿命『フランス・ルネサンス舞踊紀行』(未来社、02年1月、1200円)

矢野目源一譯『南欧千夜一夜』はサケッチ、パンデルロなどイタリアルネサンス時代を中心とした香艶小説(矢野目源一の言葉遣い)を集めたもの。杉浦明平訳の『イタリア浮世草紙』と話は重ならないようですが、同じ作家群の作品。後記に次のような文章があり自信の程がうかがえます。

デカメロン」でも「エプタメロン」でも「新百物語」でもお好み次第に譯出することのできる私が、さういふものは他の學者先生にお任せしておいて、敢へてこゝに収めた物語を愛撫するやうにして譯業の筆を進めたといふことには、それだけの理由があるのであります。/p233


クーリエ川路柳虹譯『ダフニスとクロエ』は「世界文庫第6篇」とあり、この文庫は初めて見ました。クーリエの仏訳からの翻訳とのことです。表紙には浮彫のアカンサス模様があって格調を感じさせます。
外函///
中村苑子句集『水妖詞館』は処女句集。下鴨古本市でも見かけた本ですが、その時の価格から大きく値引きされていたので、嬉しくなって購入しました。多田智満子『薔薇宇宙』と同じ古本屋だったので、あの時買わなければ安く入手できていたかもしれません。

粕谷栄市もわたしのお気に入りの詩人の一人。

加藤美雄訳『マラルメ詩集』はこれまでも古本市で何度か見かけていたもの。『わたしのフランス物語』正続を格安に購入した勢いで一緒に購入。

原田宿命『フランス・ルネサンス舞踊紀行』―今日存在しない歴史的な舞踊について書くのは難しそうに思いますが、紀行というからには分かり易く楽しそうだと期待しました。ルネサンスの舞踊とは違いますが、フランス・バロック時代のラモーの組曲『優雅なインドの国々』の軽やかな舞曲が耳について離れないことも購入を後押ししました。


オークションでは、酣燈社の詩人全書が格安で出ていたので購入。この詩人全書では、島田謹二訳の『エドガア・ポオ詩集』を所持していますが、日夏訳にも負けない格調香気ある訳文とともに、全書自体の造本、紙質、印字が素晴らしく、大変気に入っています。
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佐藤春夫『春夫全詩抄』(酣燈社、昭和25年3月、100円)
薄田泣菫『白羊宮』(酣燈社、昭和25年4月、100円)
蒲原有明有明全詩抄』(酣燈社、昭和25年7月、100円)
田中克巳譯『ハイネ詩集』(酣燈社、昭和25年12月、100円)
萩原朔太郎詩抄』(酣燈社、昭和26年3月、100円)
佐藤春夫編『明星詩抄』(酣燈社、昭和26年3月、230円)

塚本邦雄を4点ばかり入札しましたが、1点のみ落札。

塚本邦雄『詩歌宇宙論』(読売新聞社、昭和55年7月、610円)