:サン=サーンス『ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 Op.61』

 「ときどき音楽」の音楽の話題がなかなか出てこないので、不審に思われている方もいらっしゃるでしょうから、ここいらで音楽の話題。


 先日、昔の職場の同僚で、アマチュア・オーケストラで活動している人からお誘いがあり、久しぶりに演奏会に行きました。久しぶりということもあり、また前から5列目の席だったこともあって、お腹に響くオーケストラの音を堪能してきました。


 オーケストラは宝塚市交響楽団で、場所は尼崎のアルカイックホール
 演目は、
モーツァルト:喜歌劇「後宮からの誘拐」序曲 K.384
サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 Op.61
ベートーヴェン交響曲第6番「田園」
後半の田園は所用があり聴けませんでした。

(1時間弱というのが体力的にもまた満足度からしても充分な時間だと思います。現代人は忙しいのだし1時間コンサートというのをもっと開催すべき、あるいは2時間コンサートでも前半と後半を別に売るなどの工夫もあるのではと日頃思っています。ラ・フォル・ジュルネがあれだけヒットしたのは演奏時間の工夫にあったのではないでしょうか。)


 お目当てはサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲ですが、1曲目のモーツァルトも、弦楽と打楽器、金管楽器の見事なアンサンブルがあり、アマチュアということを感じさせませんでした。弦楽のやわらかな響きを肌で感じ、木管金管の艶やかな音色を間近で味わい、低音の打楽器と弦、木、金管楽器の部厚いアンサンブルを楽しめるなどの魅力は、アマチュアであっても充分なものがあります。プロの演奏をCDで聴くのとはまた別のものと思いを新たにしました。


 サン=サーンスは独奏の清水公望(くみ)さんが、まだ大学1年生という若さなのに、大きな音量でしっかりとしたきれいな音を出しているのに、びっくりしました。ひと頃、梁美沙さんや神尾真由子など関西出身の濃いヴァイオリニストが続出しましたが、この傾向はまだ続いていると確信しました。


 サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番は、ロマン派らしい、私の独断ではジプシー風の民族色をちらりと感じさせる曲で、私の好きな曲です。
 2楽章の最後の方、クラリネットの低音とヴァイオリンの高音が、一音ずつ一緒に演奏して行くところがありますが、CDではそんなに明瞭に感じないのに、生演奏では空間的にもはっきりと二つの音が並行して行くのが感じられました。

///
 帰ってから、私の持っている二つのCDを(チョン・キョンファとホルシャー)、生演奏を思い出しながら、聴き返しました。
 ヴァイオリン協奏曲の演奏会にまた行ってみたいと強く思わせられた演奏会でした。