:パリ古本ツアー報告 第二弾

 航空便と手で持ち帰った本を整理し、報告をしようとしている最中に、なぜか船便がもう届いてしまいました。6月29日に送ったばかりなのに、10日ぐらいで着くものでしょうか。サービスで航空便にしていただけたのか。

 それはさておき、案の定、頭陀袋のなかの本は、入り乱れ折り重なり合い、互いに互いを挟み合って、仮綴じ本の表紙が引きちぎれた無惨な状態のもの二冊、他数冊もかなり傷んでいました。(写真は修復した本など、バラバラの状態も撮っておくべきだった)

 ツアーの最初の日、同行した友人の希望もあり、まず新刊書店のFnacから行きました。(今回は特別に新本もご紹介)
Jean Lorrain『Les Noronsoff』(La Table Ronde、02年10月、8.7ユーロ)
Maurice Pons『Les Saisons』(Christian Bourgois、10年11月、17.25ユーロ)
Maurice Pons『Virginales』(Christian Bourgois、84年1月、13ユーロ)
Raymond Queneau『Les Fleurs Bleus』(Gallimard、11年4月、5.95ユーロ)
Pierre Mac Orlan『Chroniques de la fin d’un monde』(Arléa、10年6月、7ユーロ)
Léon Paul Fargue『Haute Solitude』(Gallimard、97年4月、6.71ユーロ)
 船便で送ったため、新刊なのに古本のような風合いとなってしまいました。

 古本屋で真っ先に行ったのが、Le Pont traversé(ポン・トラヴェルセ)です。

「渡られた橋」とでも訳せばいいのでしょうか。現実と幻とをつなぐ橋というような意味でしょうか。マルセル・ベアリュの未亡人がご主人の後をついで店を運営されています。可愛く上品なご婦人で愛想がよく、下記の本を買ったとき、日本語に訳すのかと言われ、とっさのことで「ノン、ノン」と言ってしまいました。もう少し丁寧に、「訳したいのはやまやまだが、私の語学力ではままならぬ」と言えばよかったと後悔しましたが、何せ私の貧相な語学力ではそんなことまでとても言えません。ここでは敬意を表してベアリュの本ばかり購入。
Marcel Béalu『Contes du demi-sommeil』(Phébus、79年4月、20ユーロ)
Marcel Béalu『Journal d’un Mort』(Phébus、78年10月、18ユーロ)
Marcel Béalu『Passage de la Bête』(Pierre Belfond、69年、6ユーロ)

 その後友人と別かれ、ボナパルト通りからサン・シュルピス界隈、ラシーヌ通りなど、古本屋の密集している地帯をあちこちまわりましたが、文学書をたくさん置いていたのは、Le Dilettante(ディレッタント)で、ここは出版も手掛けているようです(ジベール・ジョゼフで買ったモーリス・ポンスはここの出版)。

次の本を購入。
Jean Mistler『L’Ami des Pauvres』(Bernard Grasset、74年3月、20ユーロ)
実は少々高かったので、いったん店を出て他をしばらくまわったすえ、あまり収穫がないので、引き返して買ったものです。


 この日、最後に寄った店Gibert Joséph(ジベール・ジョゼフ)で、店頭の均一台を皮切りにそれまでの鬱憤を晴らすかのように、たくさん買ってしまいました。このうち、ジャン・ロランだけが新本、残りはすべて古本。
J.W. Polodori『Le Vampyre, une Légende ?』(Sirius、11年8月、0.5ユーロ)
→店頭の均一台より
Jean Lorrain『La Dame aux Lèvres rouges』(L’Harmattan、01年6月、9.15ユーロ)
Erckmann-Chatrian『L’Œil invisible』(L’Arbre Vengeur、08年4月、3.3ユーロ)
Erckmann-Chatrian『Le Requiem du Corbeau』(L’Arbre Vengeur、08年4月、3.3ユーロ)
Maurice Pons『Délicieuses frayeurs』(Dilettante、06年4月、6.1ユーロ)
Paul Féval『Le Chevalier Ténèbre』(Ombres、01年9月、6ユーロ)
B.D’Aurevilly『Le Bonheur dans le crime』(André Versaille、09年2月、3.3ユーロ)
B.D’Aurevilly『L’Amour impossible』(Melville Léo Scheer、08年6月、7.2ユーロ)
B.D’Aurevilly『Une vieille Maîtresse』(Bartillat、07年5月、12ユーロ)
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 パリツアー二日目は土曜日で、二つの古本市を渡り歩きました。
朝早く行ったのがMongeモンジュ広場古本市、ここで日本人らしき男にフランス語で、「ここは毎日やっているのか」と聞かれ、こちらもフランス語で「今日だけです」と答えると、黙って去っていったが、日本語で答えればよかったか。以下を購入。
Marcel Béalu『Mémoires de l’Ombre』(Phébus、86年12月、27ユーロ)→昨日Le Pont traverséで高額の(90ユーロぐらいした)ため買いそびれたベアリュの一冊、安くならないかと言って帰るふりをすると30ユーロを27ユーロにまけてくれた。
J.-H.Rosny『Les Femmes des Autres』(Ernest Flammarion、見当たらず、10ユーロ)
Les Contemporain叢書『Jules Janin』(J.-P.Robert、1855年、5ユーロ)
Les Contemporain叢書『Alphonse Karr』(Gustave Havard、1855年、5ユーロ)
Léon Barry『La dernière Épousée d’Ammon』(H.Piazza、見当たらず、5ユーロ)
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 下記は一店で購入したもの、良い本が安値で出ていた。
La Varende『Le Sorcier vert』(La Palatine、52年2月、3ユーロ)
Maxime Audouin『Contes fantastiques』(Vermot、見当たらず、5ユーロ)
Franz Hellens『La Vie seconde』(Albin Michel、63年9月、5ユーロ)
Franz Hellens『Les Marées de l’Escaut』(Albin Michel、53年4月、5ユーロ)
Jean-Baptiste Baronian『Scènes de la ville obscure』(Robert Laffont、77年、5ユーロ)
William Beckford『Souvenirs d’Alcobaça et Datalha』(José Corti、92年11月、3ユーロ)


 午後食事の後、友人と別れてひとりBrassensブラッサンス公園古本市へ。熱中して見ていると知らぬ間に6時、あわただしく店じまいが始まったので最後まで見られずに退散。
Jacques Sternberg『Le Cœur froid』(10/18、73年3月、3ユーロ)
A.Dumas『La Dame pâle』(Gallimard、06年4月、2ユーロ)→何のことはない以前読んだ『Mille et un fantômes』のなかの一篇。
A.Dumas『Les Frères corses』(l’aube、06年3月、4ユーロ)
Marcel Schneider『Le Lieutenant perdu』(Bernard Grasset、72年8月、3ユーロ)
Marcel Schneider『La Sibylle de Cumes』(Bernard Grasset、66年3月、15ユーロ)→なぜこの本だけ高いかと聞くと、署名入りだからとの返事。
C.Farrère『Fumée d’Opium』(Ollendorff、見当たらず、15ユーロ)
G.Bernanos『Dialogue d’Ombres』(Plon、55年、8ユーロ)
Jean Ray『Le Carrousel des Malefices』(Marabout、64年、5ユーロ)
Jean Ray『La Cité de l’indicible peur』(Marabout、65年、5ユーロ)
Jean Ray『Le Livre de Fantômes』(Marabout、66年、5ユーロ)
Maurice Magre『Confessions』(Charpentier、30年、12ユーロ)
Jean Lorrain『Hélie, Garçon d’Hôtel』(Ollendorff、見当たらず、25ユーロ)
Erckmann-Chatrian『L’Ami Fretz』(Jean Jacques Pauvert、62年9月、2ユーロ)
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 たくさんあり過ぎて写真を載せきれないのが残念です。