:パリ古本ツアー報告 第一弾

 しばらくお休みをいただいておりましたが、また再開します。

 6月下旬から7月上旬にかけて、パリ古本ツアーを決行しました。11日間の滞在で、古本市のべ3か所、蚤の市2か所、古書店55軒、とセーヌ河岸古本屋台をまわりました。購入古本は105冊、新刊17冊、総額880ユーロとなりました。

 平均1冊7.21ユーロといつものしわい買い方となってしまいましたが、年金生活者としては、かなりの出費となりました。本当は50〜80ユーロクラスでほしい本がいっぱいあったのですが、泣く泣く見送りました。1冊の最高額は35ユーロです。

 コリッシモという航空便で送ったのは私の帰る前に家に着いておりました。それと手で持ち帰った本、船便で送った本(1か月半かかると言われた)の順に、何回かに分けてご紹介してゆきます。


 一回目は総論編ということで、全体の話を記します。
今回、いかに私の探求書をたくさん所蔵している古本屋に行けるかという点から、ネットの古本検索サイトで探求書のいくつかを打ち込み、そこに出てきた本の所蔵古本屋をリストアップしました。それが33軒。それとこれまで読んだ鹿島茂の古本エッセイや沓掛良彦の『文酒閑話』ほか『世界古本探しの旅』『ヨーロッパ古書紀行』『世界の古書店Ⅰ・Ⅱ』に出てくる古本屋から面白そうなところを14軒、それに参考として林哲夫氏のホームページ(http://sumus.exblog.jp/i12/)で写真付きで紹介されている古本屋から重複も入れて31軒をリストアップしました。(今回のパリ古本ツアーはこの林氏のページに刺激されたのがきっかけなので氏に感謝申し上げます)

 結論から言えば、パリの古本屋を体感できたことはよかったですが、探求書を探すには効率が悪いことを実感しました。ネットのほうがはるかに速くほしい本を手に入れることができます。探求書リストを店主に見せればいいわけですが、そんなことをすれば高い本を出してくるに決まっているので、「見てるだけです」を決り文句に、必死になって探しました。

 フランスの古本屋は電気節約のためか店内が暗いうえに、フランスの本は背文字が小さくまた横になっているため極端に見にくく、おまけにセロファンなどがかかっていると、暗い店内ではほとんど文字が読めません。また乱雑に積み上げている本屋も多く、三分の一も見れないという感じです。とりあえず目に触れる範囲で一冊ずつセロファンに手を押しつけて文字を見やすくするという若干狂気じみた見方をしてしまいました。

 言葉もたどたどしい東洋人が買いもしないのにそのような振舞いをするのを苦々しく思った店主も多かったにちがいありません。概して年配の男性店主は愛想が悪く、ひどいところでは入るなり何もしていないのに怖い顔をして睨みつけられました。女性は大概愛想がよく、親切に店内の本を解説してくれたり、こんな本があるぞと持ってきてくれたりしました。若い男性も親切な方が多かったように思います。ある店では「幻想文学を探している」と言うと、奥の倉庫まで案内して見せてくれました。高い本ばかりですぐ退散しましたが。

 あと、おそらく初版本など稀覯書だと思いますが、装幀が重々しく高い本ばかり並べている居心地の悪い雰囲気の店が結構あったことです。国家財産を守っているんだぞといわんばかりの気迫が感じられ、それはそれで大切なことだと思いますが、私の世界ではありません。やはり店頭に均一台が置いてある店がほっとするとともにねらい目でした。

 効率がよかったのは、まず大型店舗で、まず第一は「Gibert Joseph」。ここは日本で言えばジュンク堂とBOOK-OFFが共存しているような感じです。本の量が膨大なうえに、同じ棚に新刊と古本(黄色のテープが貼ってある)が並んでいるので、大変探しやすい。同じ本が片や半額で並んでいるのは不思議な光景です。日本でも最近新刊書店で古本を置いていますが、ここまでしている本屋はなかったと思います。

 次に効率がよいのは、古本市。私の行ったのは、モンジュ広場の古本市と、ブラッサンス公園の古本市で、前者は不定期の週末(月1回程度か)、後者は毎週末開かれているようです。古本市は青空なので明るいうえに、本を見やすく平積みにしてあったりするので、買いやすいです。しかも均一棚が結構ありしかも安い。
モンジュ広場古本市会場風景
///
ブラッサンス公園古本市看板と会場風景


 本を日本に送るのにも一苦労しましたが、少々高くてもコリッシモという航空便が便利だということが分かりました。それ以外沢山だったので、次は船便で送ろうと、段ボール箱を探してきて本をきっちり積めテープを貼って持って行ったら、船便で箱の場合は5キロまで重量オーバーだと言われ段ボールから本を取り出されて汚い麻袋に投げこまれてしまいました。さて本は無事に到着するのでしょうか。