:パリ古本ツアー報告 第四弾

 長きにわたったこのパリ古本ツアー報告も、いよいよ最後となりました。

 パリ古本ツアー六日目と七日目は、中心部から少し離れた古本屋を、東回りと西回りで二日間費やして回りました。鹿島茂さんがどこかで書いていたように、パリの番地はとても分かり易く、セーヌ川から近い順に、セーヌ川を背にして右が偶数、左が奇数で番地が打たれているので、地図さえあれば、どの店にも正確に辿り着くことができます。

 その際の7つ道具としては、まず通りの名前がすべて記載されかつ索引がある地図、方角を知るための磁針、単眼鏡があると完璧です。磁針は地図の向きを実際の路面に合わせるためのもの、単眼鏡は通りの名が遠くて読みにくい場合用います。(単眼鏡は店内で上の方にある本のタイトルを見るのにも便利です)

 しかし初めの報告に書いたように、店内で本を探すのはなかなか大変。さらに困ったことには、店が閉まっていることが多いことです。午前中休みのところも多く、また昼休み時間が変則です。六日目は11時ごろから回りはじめましたが、2時半の時点で一冊も買えず焦りは頂点に。ようやく均一台を見つけ思わず興奮して写真を撮るのを忘れたのが、Librarie Epigrammesエピグラム書店。ここではその均一台で二冊買うことができました。
Piorrette Fleutiaux『Métamorphoses de la reine』(Gallimard、90年9月、2ユーロ)
Jean Mistler『Le Bout du Monde』(Grasset、73年、2ユーロ)
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 その後も一冊も買えず、夕刻近く古本回りを半ば諦めて、北の方からホテルのあるイタリー広場に戻る途中、ヴァヴァンに古本屋が固まっていることを思い出し、途中下車してみました。なるほど三軒並んでいました。

 そのうち、林哲夫さんがブログで推薦されていたL’Âme et le Rêve魂と夢書店で下記を購入。
Marcel Schneider『Le Jeu de l’Oie』(Grasset、60年4月、20ユーロ)
 結局この日は、三冊買っただけ。


 七日目は昨日途中までだった、パリ北部の古本屋からスタート。昨日と違っていきなり一軒目のEditions du Sandre Sarlサンドル・サール書店で一冊買うことができました。

Jean Lorrain『Les Lépillier』(Tusson、99年12月、35ユーロ)

 がその後、ぽつぽつとしか買うことができませんでした。
Librairie Juliette Drouetジュリエット・ドゥルエ書店で、

Claude Farrère『La Sonate à la Mer』(Flammarion、52年3月、4ユーロ)

Librairie Pages Volantes煽頁書店で、

René-Jean Clot『Le Noir de la Vigne』(Gallimard、48年6月、23ユーロ)

Librairie Olivier de Serresオリヴィエ・ドゥ・セル書店で、

Gobineau『La Danseuse de Shamakha』(Le Serpent à Plumes、95年11月、1ユーロ)

Librarie Vocabulaire言葉書店で、

Maurice Magre『Les Colombes poignardées』(L’Édition、17年、30ユーロ)

 結局、この日もほぼ終日回って、五冊買ったのみとなりました。


 古本屋めぐり八日目はまた中心部に戻り、Gibert Josephジベール・ジョゼフのミステリー・SFのフロア(地下)に行ってなかったことを思い出し下記を購入。
Jacques Sadoul『Shaggartha』(J’ai lu、05年7月、4.5ユーロ)
Pierre Véry『Le Pays sans étoiles』(denoël、84年6月、4.2ユーロ)
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 次にセーヌ河岸の古本屋台の残った部分、左岸のサン・ミシェルから東側を回りました。(結局今回のツアーでは右岸の古本屋台までは行けませんでした。)
Mircea Eliade『La nuit beugali』(Gallimard、79年1月、3.5ユーロ)
Maurice Pons『Virginales』(Julliard、55年3月、6ユーロ)→W買い

 端まで来てくたびれ果てたとき、ちょうど近くに検索リストにあった店があったことを思い出して足を引きずり行きましたが何も買うものはありませんでした。がっくりきて帰ろうと一歩踏み出したとき隣にまた古本屋があったので覗いてみると、ミステリー専門店「L’Amour du Noirミステリーマニア書店」で、なんと!真中に怪奇小説を集めた棚を発見。マラブのシリーズが幾つかあり胸を躍らせて10冊ばかりレジに持って行きました。

 向こうの店は売れた本を台帳に一冊ずつ転記していくところが多かったですが、ここでも若い店主が必死になってタイトルを写していました。表で店の写真を撮ったりしても時間を持て余したので、もう一度店内の棚を見てみると、先ほどの怪奇小説の棚のずっと上の方にもまだそれらしき本が並んでいるのを発見しました。慌てて店主に待ったをかけて脚立を借り調べたところ、さらに10冊購入。合わせて20冊171ユーロとなりましたが150ユーロにまけていただきました。この店が今回のパリ古本ツアーの白眉でした。
Maurice Renard『?Lui?』(G.Crès、27年3月、15ユーロ)
Maurice Renard『Le Maître de la Lumière』(Tallandier、48年、15ユーロ)
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Jean Louis Bouquet『L’Ombre du Vampire』(marabout、78年、5ユーロ)
Jean Louis Bouquet『Irène, fille fauve』(marabout、78年、5ユーロ)
Jean Louis Bouquet『Les filles de la nuit』(marabout、78年、5ユーロ)

Gérard Prévot『Le Spectre large』(marabout、75年、8ユーロ)
Gérard Prévot『Celui qui venait de partout』(marabout、73年、8ユーロ)
Gérard Prévot『La Nuit du Nord』(marabout、74年、8ユーロ)

Thomas Owen『La Cave aux Crapauds』(marabout、74年、5ユーロ)
Thomas Owen『La Truie』(marabout、72年、5ユーロ)
Thomas Owen『Pitié pour les ombres』(marabout、73年、6ユーロ)

Erckmann-Chatrian『Hugues le Loup』(marabout、66年、8ユーロ)
Daniel Mallinus『Myrtis』(marabout、73年、6ユーロ)
Gustav Meyrink『La Nuit de Walpurgis』(marabout、73年、8ユーロ)
André de Richaud『La Nuit Aveuglante』(marabout、72年、8ユーロ)

Jean Maillet『Hypnose』(Le Cercle d’Or、74年、10ユーロ)
Michel Moreaux『Nocturnales ou le concerto diabolique』(Le Cercle d’Or、74年、10ユーロ)

Jacques Morvan『La Belle de Montferrare』(Robert Laffont、56年2月、8ユーロ)
Raoul de Warren『La Bête de L’Apocalypse』(Robert Laffont、56年3月、20ユーロ)

René Heusenue『L’Inconcevable Aventure de Jean Duret』(Maréchal、44年6月、8ユーロ)


 古本屋めぐり九日目は土曜日で、Brassensブラッサンス公園古本市の日。前週に途中で尻切れトンボになった側から回りました。均一台でいろいろと発見。

Luc Berimont『Le Bois Castiau』(Robert Laffont、63年9月、4ユーロ)
Luc Berimont『Les Loups de Malenfance』(marabout、62年?、4ユーロ)
Maurice Pons『Metrobate』(René Julliard、51年5月、3ユーロ)
René-Jean Clot『L’Amour épouse sa nuit』(Bernard Grasset、91年1月、1ユーロ)
Bruno Gay-Lussac『L’Autre visite』(Gallimard、93年12月、3ユーロ?)
J.-H.Rosny『Le Docteur Harambur』(Plon-Nourrit、見当たらず、3ユーロ)
J.-H.Rosny『La Croix de Navarre』(Nouvelle Revue Critique、30年7月、3ユーロ)
Jules Lermina『Ralph le Rouge』(L.Boulanger、見当たらず、3ユーロ)
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 最後は新刊書店Fnacフナックでしめました。
Maurice Renard『Romans et Contes fantastiques』(Robert Laffont、90年3月、18.29ユーロ)
Leconte de Lisle『Poèmes barbares』(Gallimard、09年11月、11.5ユーロ)
André Hardellet『La Cité Montgol』(Gallimard、98年9月、6.9ユーロ)
Léon-Paul Fargue『Épaisseurs』(Gallimard、71年1月、5.5ユーロ)
Yves Bonnefoy『Les Planches courbes』(Gallimard、06年9月、5ユーロ)→なんとW買い

 10日目ツアー最終日は日曜日だったので古本屋へは行かず、モンパルナス墓地でボードレールサン=サーンスの墓に詣でるなどしました。

 今回のツアーでは、一生かかってもとうてい読み切れないような量を買ってじゅうぶん堪能しましたし、毎夜友人と各種ワインを飲み交しながらヨーロッパサッカー選手権中継を観戦し、またパリに居る中・高生時代の友人と旧交を温めることもでき、有意義な旅行となりました。