:日夏耿之介『増訂再刻 轉身の頌』

 思ったより早く、インターネットができるようになりました。前回予告した引越し前夜締切りのオークション結果をお知らせします。


 狙っていたのは日夏耿之介『黒衣聖母』(アルス刊)で、1000円という破格値のスタート。詳しい時間や価格は覚えていませんが、およそ次のような経緯でした。


 オークションの締め切りは5日、前日ぐらいまでは入札者は一人だけで、1000円という表示が続いていました。心の中で6000円を私の入札限度価格に設定して、様子を見ておりましたら、当日いきなり4000円ぐらいになっていたので、慌てて6000円で入札するとそれが最高値となり軽々とクリアしたかに見えました。ところが夜見てみると、早くもクリアされていたので、勢い込んで8000円で入札し返し、4分前までは、そのまま落札かと思われました。


が、なんと時計が逆回りしたかのように、いつのまにか表示が10分前になり、そうこうしているうちに高値を付ける人がどかどかと二人も現れ、1万円を超える攻防となりました。


 こちらも上ずって12000円を付け、また抜かれ、やけくそになって1分前に14000円を付けてどうだまいったかと思いました。実は内心だれかもっと高値を付けてくれないかとも思いながらですが・・・


結果は14500円で別の人の手に落ちてしまいました。悲しいのか嬉しいのか微妙な気持ちです。終了時刻を見ると、予定の締め切り時刻から20分ほど遅くなっていました。ロスタイムで出場を逃したドーハの悲劇の心境でした。


 念のため、「日本の古本屋」で日夏耿之介を検索してみると、なんと『轉身の頌』が8400円で出ているではありませんか。長谷川潔装幀の初版本ではありませんでしたが、先ほどの値段と比べると全然安いと思わず注文してしまいました。


 届いた本を見ると、値段から予想はしていましたが、かなりひどい状態で、函はもちろんありませんが、背表紙も下半分がはずれかけていて、かつ上半分も「日夏」という文字が付いた皮の題字の一部が貼り付いているのみ。


 木工ボンドで背のはがれかけたのを貼り付けようとして、輪ゴムで留めていたら、はずす時に不注意でゴムをはじいてしまい、最後に残っていた「日夏」の文字が吹き飛ぶとともに布製の背表紙の糸の切れ端があちこちに飛び散ってしまいました。


 そんなわけで写真は扉の部分です。
 内容は大満足です。茶色っぽい紙に打たれたルビ付きの大きな活字には鬼気迫るものがあります。