Jean Lorrain『Un Démoniaque』(E.DENTU、1895年、5000円)
先日、新入社員時の先輩に退職祝の飲み会をしていただいた際に、早めに大阪に出てあちこち古本屋を回りました。結局なんば古書センター内のYブックスで以前からショーウィンドーに飾ってあったJean Lorrainの本1冊を買ったのみ。というかこれが目的で早く出てついでに古本屋を回ったが欲しい本が見当たらなかったというのが真相です。
5000円は高いですが、事前にフランスの古書価をネットで調べると、だいたい100ユーロから350ユーロしていたので、送料とも考え合わせて、そんなに高い買い物ではないと決断したわけです。
内容は、表題作「悪魔の人」をはじめ、「影の手」「闇の餌食」「葬儀」などおどろおどろしそうな短編、「水辺の物語」と題した連作?、スペインを題材にした旅行記?などのようです。
オークションでは、最近立て続けに購入している日夏本をまた1冊入手。
日夏耿之介『句集・婆羅門俳諧』(昭森社、昭和19年3月、2200円)
こんな本があること自体知りませんでした。意外と競争相手が誰一人現れずすんなりと落札。巻末の「俳文之部」に収められた「末鄢野(スグロノ)讃」「聖龕讃」は日夏らしい味わいの濃い文章で大変満足です。句の方はチラッと見ただけですが、ゴシックロマンス体とまでは行きませんが、変わった味わいの句があるようです。
あまぎらし地球とよめきぬるその風間
松を樹てず門に倚りて病脳の芽を測る
天龍より風越に時雨るる狗賓かな
天は碧く雲白く狗ひんの鼻に夕日影
秋一夜壺のなかなる龍を琢つ
猫てらや雲間にかすむろくろ首
その他、以下の本を落札しました。いずれも本がきれいな割には値段が安く喜んでおります。
鈴木信太郎『記憶の蜃気樓』(文藝春秋新社、61年3月、300円)
『中原中也全集第5巻翻譯』(角川書店、68年4月、600円)
塚本邦雄『非在の鴫』(人文書院、昭和52年2月、450円)
ジャック・サドゥール鹿島茂・鈴木秀治訳『現代SFの歴史』(早川書房、昭和59年12月、1800円)
澤田瑞穂『中国史談集』(早稲田大学出版部、00年4月、350円)